宅建士の過去問解説【宅建業法】8種制限・クーリングオフ

テスト

今回の宅建士になるための過去問解説は、「業者自ら売主となる場合の規制(1)」についてです。

宅建業者が自ら売主となる場合には、消費者を保護するために、業者側に様々な規制をかけています。

「業者自ら売主となる場合の規制」は毎年、試験に出題されています。

これから3回の記事で解説する予定ですが、1回目は「8種制限」の中のうち2つの規制「物件売買の規制」と「クーリング・オフ」について解説します。

ここで、平成29年度の宅建士試験の過去問題を解いてみましょう。

問題31

宅地建物取引業者Aが、自らを売主として、宅地建物取引業者でないBとの間でマンション(代金3,000万円)の売買契約を締結しようとする場合

ア)Bは自ら指定した自宅においてマンションの買受けの申込みをした場合においても、法第37条の2の規定に基づき、書面により買受けの申込みの撤回を行うことができる。

イ)BがAに対し、法第37条の2の規定に基づき、書面により買受けの申込みの撤回を行った場合、その効力は、当該書面をAが受け取った時に生じることとなる。

ア)とイ)は、正しいか誤りか?

解説をみる

「クーリング・オフ」の制度は、宅建士の試験以外にも、消費者の立場から役立つ知識です。

宅建試験に毎年出題される「8種制限」をマスターしていきましょう!

宅建士の過去問解説【宅建業法】8種制限・クーリングオフ

8種制限とは

宅建業者が売主となり、買主が業者でない素人の一般消費者である場合の取引のみ適用されます。

この法律の目的は、知識の無い消費者と業者の知識格差のハンディーを補い、不利な取引をしない為です。

【8種制限】

※ 注意:  8種制限は、宅建業者間取引では適用除外となる

1)自己の所有に属しない物件の売買の制限

2)クーリング・オフ制度

3)損害賠償額の予定等の制限

4)手付額の制限

5)瑕疵担保責任の特約の制限

6)手付金等の保全

7)割賦販売契約の解除の制限

8)所有権留保等の制限

次は、1)と2)について詳しく解説していきます。

自己の所有に属しない宅地・建物の売買契約締結の制限

<業者間取引では適用除外

1・原則

宅建業者は自己の所有に属さない宅地・建物について自ら売主として売買契約(予約も含む)を締結することができない。

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

例外(売買契約が締結できる場合)

宅建業者は、他人の所有する物件を、自ら売主として売却する契約を締結することができないのが原則であるが、下記は例外である。

・宅建業者が、その宅地または建物を取得する契約を締結効力の発生が条件に係るものを除く)しているとき。

・その他宅建業者が当該宅地または建物を取得できることが明らかな場合で、国土交通省令で定める場合。

契約締結の例外が適用されるためには、物件を取得する契約の効力さえ生じていればよく、当該物件の引き渡しまで受けている必要はない

※ 注意:  8種制限は、宅建業者間取引では適用除外

自己の所有に属しない宅地・建物とは?

他人が所有している宅地・建物のこと。

また未完成物件で所有権の帰属が議論できないもの。

しかし、法36条の行政庁の許可等を得た未完成物件は、宅建業者が手付金等の保全措置を講じていれば、自ら売主として売買契約を締結することができる。

国土交通省令が定める場合とは?

宅建業者が都市計画法・土地区画整理法等の法律によって、将来、宅地・建物の所有権を取得することが確実である場合をいう。

クーリングオフ制度

<業者間取引では適用除外

申し込みをした買主が、告知を受けた日から8日以内であれば無条件で、申込みの撤回または、契約の解除ができる制度。

ただし、事務所等以外の場所で、宅建業者自らが売主となって売買契約を行った場合に限られます。

申し込みの撤回等の方法とその効果

買主が申込みの撤回をする場合には、書面で行わなければならない。

また、その効力は、書面を発した時に生じる。

【申込みの撤回等の告知書の記載事項】

1)買主等の氏名・住所

2)売主である宅建業者の商号・名称・住所・免許証番号

3)クーリング・オフができる旨等

クーリング・オフ制度の適用のない場所(案内所等)

その場所が、専任の宅建士を設置しなければならない場所であれば、クーリング・オフ制度は適用できません。

この判断には、実際に専任の宅建士がいたか?クーリング・オフ制度の適用がある旨の標識が提示してあったか、案内所の届出の有無は問題にならない。

また、マンション分譲を行うモデルルーム、戸建分譲を行うモデルハウス等は、案内所に含まれ、撤回はできません。

案内所は、土地に定着する建物内に設けられるものに限られます

過去問解説「業者自ら売主となる場合の規制(1)

序文の問題の解説は、クーリング・オフ制度が適用できない場合になります。

問題31

ア 誤り。

買主が自ら指定した自宅においてマンションの買受けの申込みをした場合、法37条の2の指定(クーリング・オフ)に基づき、買受けの申込みの撤回を行うことはできない。(宅地建物取引業法37条2、施行規則16条の5第2号)。

イ 誤り。

法37条の2の法定に基づき、書面により買受けの申込みの撤回を行った場合、その効力は当該書面を発したときに生じる(同法37条の2第2項)

(参照:【平成29年 問31】過去問解説より)

* 本文に戻る

基本、買主に不利な特約は認められていません。

例)クーリング・オフをしていても宅地造成が完成しているときは、手付金を返還しない」

クーリング・オフ制度は、買主に無条件で解約を認めるものです。

もし、旅行招待付販売をした宅建業者の場合、申込みの撤回等が行われた場合でも、申込みまでにかかった旅費等を相手に請求することができません。

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宅建試験のポイント

1)自己の所有に属しないものには、①他人所有物の場合と、②未完成物件の場合がある

2)他人所有物の場合の適用除外となる物件取得契約には、「売買の予約」が含まれるが、「効力の発生が条件に係る契約(停止条件付契約等)」は含まれない。

3)事務所等以外の場所で行われた宅建業者自らの売主となる売買契約は、告知を受けた日から8日間以内であれば、無条件で解除できる。

4)買主が指定した自宅または勤務先で締結した売買契約は、クーリング・オフ制度による解除ができない。

5)事務所等以外の場所で売買契約を締結した場合でも下記の場合は、、クーリング・オフ制度による解除はできない。

・告知された日から8日間を経過したとき。

・履行関係が終了(全額を支払い済、引き渡し後)したとき。

6)クーリング・オフする旨の意思表示は「書面」で行い、「発信」した時から効果が生じる。

7)クーリング・オフされると、宅建業者は手付金、申込証拠金を変換しなければならず、損害賠償違約金の請求はできない。

売主になる場合の規制「8種制限」の続きの記事はこちらから

参考記事:「宅建士になるための過去問解説【宅建業法】業務 ―業者自ら売主となる場合の規制(2)」

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