宅建士の過去問解説【相続2】遺言・遺産分割と遺留分:骨肉の争いの勝つ方法とは!?

前回の宅建士の権利関係の過去問解説相続1」では、相続人の範囲や順位について解説しました。

今回の「相続2」では、遺言や遺留分制度、遺言能力、方式及び撤回など、宅建士試験で毎年、最もよく出題される分野を解説します。

ここで問題です。

甲建物を所有するAが死亡し、相続人がAの子であるBとCの2名がいます。

問1)Cが単純承認したときは、Bは限定承認をすることができない。

問2)Bが自己のために相続の開始があったことを知らない場合であっても、相続の開始から3ヶ月が経過したときは、Bは単純承認をしたものとみなされるか?

問題の解説を先に見る場合はこちらから

単純承認限定承認の意味の違いは、わかりますか?

本文では、このような聞き慣れない法律の専門用語を整理しながら、解説していきます。

宅建士の過去問解説【相続2】遺言・遺産分割と遺留分

宅建士過去問解説:遺言とは

遺言とは

遺言者の死亡とともに一定の効果を発生させることを目的とする単独行為であって、法律で認められた事項について意思を表明する要式の法律行為である。

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

遺言は、本人の意思を尊重しようという制度です。

民法では制限行為能力に関する一切の規定は適用されないものとしています。

この理由は、遺言の効力が生じた後で、法定代理人や他の相続人が取り消しないようにするためです。

未成年者は年齢15歳に達すれば、単独で遺言することができます。

被保佐人・被補助人も保佐人・補助人の同意要せずに遺言をすることができます。なぜならば、本人の意思を尊重したいからです。

また、成年被後見人であっても、判断能力を一時的に回復した時には、医師2人以上の立会の下、単独で遺言することができます。

遺言の方式

遺言の効力が生ずるときは、遺言者は既に死亡しています。

そこで民法では、遺言者の真意を明確にし、後日の揉め事を防ぐために、一定の方式に従って遺言を作成すると定めています。

遺言書の方式は3つあります。

自筆証書遺言:全て直筆で書く

公正証書遺言:役場の役人が書いて公の場で書く

秘密証書遺言:内容を秘密にして公証人に「存在」を証明してもらう

遺言は、必ず1人が1つの証書で作成します。

もし、2人以上の者が、同一の証書で遺言をしても無効です。

これを共同遺言の禁止と言います。

なお、自筆証書遺言と秘密証書遺言は、

家庭裁判所の方で、本人のものであるか?チェックを受けなければなりません。

これを検認といいます。

検認された後で、はじめて遺言書は有効になります。

遺贈

遺言者が、遺言でその財産の全部、または一部を無償である人に与えることを遺贈と言います。

遺贈前に、受遺者(財産を与えられる人)が死亡してしまった場合は、効力が生じません。

もし、遺贈の効果が生じないときや、受遺者が遺贈を放棄によって、効力がなくなったときは、法定相続になります。

撤回

民法では、いつでも遺言の方式に従って、遺言の全部または一部を撤回できることとしています。

遺言者が前にした遺言と抵触する遺言をしたときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したとみなされます。

遺言は一番、日付が新しいものが優先されます。

また、遺言をした後にその内容と抵触する処分、その他の法律行為をしたときも同様です。

遺言者が故意に遺言書や、その目的物を破棄した時も、遺言を撤回したとみなします。

次は遺言とは違い、必ず近親者に残す必要がある遺留分についてお伝えします。

宅建士過去問解説:遺留分とは

遺留分とは、

被相続人の一定の近親者に必ず残さなければならない相続財産の一定の割合の額のことをいう。

いわば被相続人の処分によっても奪われることがなく、相続人が必ず承継できる割合のことを言います。

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

遺留分を有する者を遺留分権利者といいます。

第3順位の兄弟姉妹以外の相続人が、これに該当します。

兄弟姉妹以外の相続人とは、配偶者、子(代襲相続人もふくむ)、直系尊属の事です。

「兄弟姉妹は遺留分は相続できない」は、よく試験に出題されるので覚えてください。

もしこれを侵害する贈与や遺贈があれば、それを否認する手段は認められています。

この手段は具体的には、遺留分減殺請求という形をとります。

例えば、財産を他人に譲るという遺言があったとしても、

遺留分として権利を主張できることです。

しかし、遺言自体は、遺留分減殺請求自体では、無効にはなりません

遺留分の割合

・直系尊属のみが相続人である場合 1/3

・配偶者・子の場合 1/2

兄弟姉妹が相続人の時は、遺留分はありません。

権利が行使できる期間

遺留分権利者が、権利を行使できるのは、相続の開始及び減殺すべき遺贈または、贈与のあることを知った時から1年です。

また相続開始の時から10年を経過すると、遺留分減殺請求権は消滅し、もはや遺留分の主張はできません。

遺留分を侵害する遺言がある場合

もし遺留分を侵害するような遺言がなされたとしても、

遺留分権利者からその減殺請求がなされる事なので、

その遺言自体が無効になることはありません

遺産分割とは、相続財産を共同相続人の間で、その相続分に応じて分割することである。

遺産分割がされるまでの間は、相続財産は、共同相続人の共有に属します。

よって各相続人は、遺産分割前は、勝手に相続財産を処分することはできません。

遺産分割の方法

遺産の共有とは、分割するまでの過渡的な(暫定的な)形態であるため、共同相続人はいつでも遺産の分割を要求することができます。

もし、一人の共同相続人が申し出た場合、他の共同相続人は、これと協議を進める義務を負います。

協議が無理な場合は、家庭裁判所の審判によって分割を実現することができます。

遺産分割には、3つの方法があります。

・指定分割

・協議分割

・家庭裁判所の審判による分割

遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼって、その効力を生じます。

指定分割

被相続人が、遺言で分割方法を定めることができることを指定分割といいます。

被相続人は、遺産の全部または一部について、一定期間は分割をしないように遺言できるが、その期間は相続開始の時から5年を超えることはできません。

協議分割

遺言による指定がない場合は、分割は共同相続人が全員参加し、協議で行われる。

その方法を協議分割という。

家庭裁判所の審判による分割

共同相続人は1人で、または共同して分割を家庭裁判所へ請求することです。

共同相続人の協議が、どうしても調わないとき、または行方不明者がいて協議ができない場合に採用されます。

相続の承認・放棄

相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ケ月以内に、家庭裁判所において相続の承認または放棄の申述をしなければならない(915条1項)

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

この3カ月の期間を「考慮期間」または「熟慮期間」と呼びます。

その期間の起算点は、相続の開始時ではなく、自分のために相続がの開始があったことを「知った時」からになります。

そして、この期間内であっても、一旦なされた承認・放棄は、原則として撤回することはできません。

形態

相続の形態は3つあります。

・単純承認

・限定承認

・相続の放棄

単純承認とは

単純承認とは、民法の本来の相続の形態です。

相続人が被相続人の権利義務を無限に承認する相続形態ことをいい、権利だけでなく、債務についても全て承継することになります。

もし相続人が、3カ月の考慮期間内に限定承認も相続放棄もしない場合は、単純承認の相続をしたとみなされます。

法定単純承認とは

民法では、一定の事由が生じたときに、相続人は、相続する意思があるとみなされ、限定承認も相続放棄もできなくなります。

これを法定単純承認といいます。

下記の行為をした時は、法定単純承認をしたとみなします。

・相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき

・相続人が相続財産の全部または一部を隠匿し、ひそかにこれを消費し、または悪意でこれを財産目録に記載しなかった場合。

・考慮期間の3ケ月を通過したとき

限定承認とは

限定承認とは、財産だけでなく、借金も一緒に相続するときに使われます。

相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の債務及び遺贈を弁済する形態です。

プラスの限度内でマイナスも引き継ぐ意味です。

限定承認するためには、考慮期間中に相続財産の目録を作成して、これを家庭裁判所に提出し、定承認する旨を申述しなければなりません。

相続人が数人いるときは、共同相続人全員が共同して行わないと、限定承認はできません。

これは、清算の法律関係が複雑化するのを防止するためです。

相続の放棄

相続の放棄とは、相続の開始によって発生した相続人の権利義務の承継という効力を拒絶する行為です。

相続放棄をしようとする者は、考慮期間中にその旨を家庭裁判所に申述しなければなりません。

たとえ被相続人が生前に、被相続人や他の共同相続人となるべき人に、相続人が相続放棄の意思を表明していても、それは法律上効力がありません。

相続を放棄した者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなされます。

これは、相続を自分に有利にするような悪用を防ぐためです。

しかし、相続放棄と異なり、遺留分は、家庭裁判所の許可があれば、相続開始でも放棄することは可能です。(* 相続放棄の場合は、相続開始前にはできない。)

放棄者は、共同相続人または次順位の相続人が相続財産の管理を始めることができるまで、

自己の財産におけるのと同一の注意をもって、管理する義務を負います。

この「自己の財産と同一の注意」は、留置権者で出てきた「善良な管理者の注意」ほどは、管理する義務は、厳しくはないです。

相続人の不存在

相続人が存在するかどうか不確定なことを「相続人の不存在」といいます。

民法では、相続財産それ自体を清算しながら相続人の出現を待つという目的をもった法人で、相続財産を管理し、被相続人の債務者に弁済を行う処理をします。

この法人のことを「相続財産法人」と呼びます。

相続財産法人が成立すると、利害関係人または検察官の請求により、

家庭裁判所は相続財産の管理人を選出し、遅滞なく公示します。

特別縁故者への分与

相続人捜索の告示後、一定の期間に相続人が現れない場合、関係者は

家庭裁判所が請求を認めると、相続財産の全部または一部を分与することができます。

この関係者とは、被相続人と生計が同じ者です。(内縁の妻、事実上の養子、配偶者の連れ子など)

生計が違っても被相続人の療養看護に努めた者、その他特別な縁故があった者(老人ホーム)などです。

国庫(こっこ)への帰属

特別縁故者から所定の期間内に請求がなく、

また請求があっても相続財産を分与しなかった場合は、

その相続財産は国庫に帰属します(国へ財産が没収される)。

しかし、共有の持ち分だけは、国庫ではなく、他の共有者に帰属します。

例えば、別荘など共有で所有していた不動産などは、国へ行かず、他の所有者へ行くことになります。

宅建過去問まとめ:相続2(遺言・遺産分割と遺留分)

以上、相続の内容は理解できましたか?

序文の問題の解説です。

甲建物を所有するAが死亡し、相続人がそれぞれAの子であるB及びCの2名である。

問1)Cが単純承認をしたときは、Bは限定承認をすることができない。

共同相続人の全員が共同してのみこれを行うことができる。

(参照:【平成28年 問10-3項】過去問解説より)

本文の解説に戻る

単純承認とは、相続人が被相続人の権利義務(借金も含め)を無限に承認する相続形態のことでしたよね。

一方、限定承認は、相続で得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁償する相続形態になります。

単純承認は何もしなければ、承認したとみなされてしまいます。

甲建物を所有するAが死亡し、相続人がそれぞれAの子であるB及びCの2名である。

問2)Bが自己のために相続の開始があったことを知らない場合であっても、相続の開始から3ケ月が経過したときは、Bは単純承認したとみなされる。

(参照:【平成28年 問10-4項】過去問解説より)

単純承認の場合は何もしなくてもなりますが、限定承認の場合は共同で行う必要があります。

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