宅建士の過去問解説:営業保証金制度2ー営業保証金の保管替え・還付・取戻し

今回の宅建士の宅建業法の過去問対策は、営業保証金制度2「営業保証金の保管替え・還付・取戻し」です。

前回の「営業保証金制度1」は、消費者(購入者)保護が目的である営業供託金の供託について解説しました。

さらに今回では、移転した場合の営業保証金の還付、保証金から還付を受けた後の不足額をどう補充するか?など、より実務内容を解説します。

ここで、平成29年度の宅建士の2つの試験問題です。

問題32

1)宅地建物取引業者は、主たる事務所を移転したことにより、その最寄りの供託所が変更になった場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、従前の供託所から営業保証金を取り戻した後、移転後の最寄りの供託所に供託しなければならない。

3)宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、6月以上の期間を定めて申し出るべき旨の公告をしなければならない。

上記の1)と3)は、正解か誤りか?

営業保証金の供託額は、本店1,000万、支店1箇所につき500万だったことは覚えていますか?

上記の問題に絡む「営業保証金の保管替え」は、過去5年間の宅建試験で4回も出題されており、最近の出題率が高いです。

本文で続きをみていきましょう!

宅建士の過去問解説:営業保証金制度2ー営業保証金の保管替え・還付・取戻し

営業保証金の保管替え等

宅建業者が主たる事務所を、営業保証金を供託している最寄りの供託所の管轄区域外に移転したときは、金銭の供託かそれ以外(地方債や有価証券など)によって変わる。

* 保管替えとは:保証金を従前の事務所から、新しい事務所へそのまま移管すること

【営業保証金が金銭かそれ以外の違い】

金銭の供託の場合 営業保証金の保管替え
その他の場合 営業保証金の新たな供託

金銭のみは営業保証金の保管替えが可能

金銭のみで営業保証金を供託していた場合】

費用をあらかじめ納めていた従前の供託所に対し、移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求しなければならない。

【保管替え】従前の供託所 ⇒ 移転後の事務所の最寄りの供託所

その他は保管替えができない(一時的に二重供託)

その他の場合(金銭のみの供託以外)はできない。

併用も不可(金銭➕有価証券)

その他の場合は、遅滞なく、移転の主たる事務所の最寄りの供託所に営業保証金を新たに供託しなければならない。

(この場合は一時的に二重供託になる)

新規供託後、その供託書をもって移転の主たる事務所の最寄りの供託所に行けば、供託してあるもとの営業保証金は、公告なしに取り戻すことができる

営業保証金の還付

営業保証金の還付とは

宅地建物取引業者と宅地建物取引業に関し取引をした者(業者を除く一般消費者)は、その取引により生じた債権に関し、宅地建物取引業者が供託した営業保証金について、その債権の弁済を受ける権利を有する

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

還付が受けられる債権とは

下記の債権(宅建業者と宅地業に関し取引したもの)が還付の対象

・建物の売買代金請求権

・宅建業者の債務不履行

・不法行為に基づく損害賠償請求権

還付が受けられない債権

宅建業の取引と関係のない債権は対象外

・工事代金債権・銀行の融資債権

・使用人の給料債権

・広告代理店の広告代金

還付が受けられる範囲

宅建業者が供託した営業保証金の額が限度。

例)主たる事務所のみを設置している業者と宅建業に関する取引をした場合、

2,000万円の損害を被った場合でも、1,000万しか還付を受けることができない。

債権の額の方が営業保証金よりも大きい場合

普通の一般債権者と同じく、宅建業者の一般財産から弁済を受ける。

宅建業者が供託した営業保証金の額が限度になることは変わらない。

補充供託

補充供託とは、営業保証金の還付が行われ、その還付額分の営業保証金に不足が生じた場合に、補充の供託をすること。

補充供託の手続き

宅建業者は、免許権者から営業保証金の補充供託の通知書の送付を受け、その通知の受領日から2週間以内に、不足額を補充供託しなければならない。

有価証券でも不足額は供託できる。

補充供託した日から2週間以内に、その旨を免許権者に届出なければならない。

【流れ】

還付 →  通知受領日― 2週間以内 →補充供託― 2週間以内→届出

通知を受けてから2週間以内に補充供託をしない場合

この場合は免許停止処分、情状が特に重いときは免許取消処分を受けるが、罰則はない。

営業保証金の取り戻し

不法の手段により免許を受けたことが理由で、免許を取り消されるなどの理由があったとしても、営業保証金には関係がない。

営業保証金は下記の理由があれば取り戻せる。

営業保証金の取戻し事由

1)更新手続きをとることなく免許の有効期間が満了したとき

2)破産手続開始の決定・解散・廃業の届けにより免許が失効したとき

3)(個人の場合)死亡、(法人の場合)合併により消滅したとき

4)免許取消し処分を受けたとき

5)一部の事務所を廃止したため、営業保証金の超過額を生じたとき(事務所の減少した分のみ)

6)主たる事務所の移転に伴い、新たに営業保証金を供託したとき(二重供託)

営業保証金の取戻し手続き

6ヶ月以上の期間を定めて官報で広告後、所定期間内に還付請求権者からの債権の申出がなければ営業保証金を取り戻せる。

また公告したときは、免許権者遅滞なく届け出なければならない。

公告の必要がなく取戻しできる場合

・取戻し事由発生後10年を経過したとき

・主たる事務所の移転に伴い、新たに営業保証金を供託したとき(二重供託)

・宅建業者が保証協会の会員になったとき

廃業または免許取消しでも営業保証金は取り戻せる

残務整理を行っているときは、その取引が結了するまでは、営業保証金の取戻しができない。

しかし、取引が結了した場合は、取引結了の日から10年を経過すれば、公示なしに営業保証金を取り戻せる。

宅建過去問まとめ:営業保証金制度2

今回の営業保証金制度2はいかがでしたか?

序文の問題の解説です。

1)誤り

宅地建物取引業者は、主たる事務所を移転したことにより、その最寄りの供託所が変更となった場合において、金銭のみをもって営業保証金を供託しているときは、遅滞なく、費用を予納して営業保証金を供託している供託所に対し、保管替えの請求をしなければならない(宅地建物取引業法29条1項)。

3)正しい

宅地建物取引業者は、一部の事務所を廃止し、営業保証金を取り戻そうとする場合には、供託した営業保証金につき還付を請求する権利を有する者に対し、6月以上の期間を定めて申し出るべき旨の公示をしなければならない。

(参照:【平成29年 問32項1、3】過去問解説より)

宅建暗記ポイント「営業保証金の保管替え・還付・取戻し」

・営業保証金の保管換え請求ができるのは、営業保証金を金銭のみで供託した場合、それ以外の場合は新たに営業保証金の供託が必要で一時的に二重供託になる。(新規供託後で公示なしで取り戻せる)

・営業保証金から還付を受けられる者は、宅地建物取引そのものから生じた債権を有する者(宅建業者を除く)

補充供託は、宅建業者が免許権者から通知を受け取った日から2週間以内にしなければならない

・営業保証金は、免許取消処分を受けた場合でも取り戻すことができる

・営業保証金は、取消し事由が発生してから10年を経過したときは、公示なしで取り戻せる

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