今回の宅建試験の直前まとめは、「法令上の制限」過去問解説の2回目です。
前回の「直前まとめ:法令上の制限」は、「都市計画区域・準都市計画区域・都市計画」「開発許可制度」でした。
今回は引き続き「建築基準法」「道路」「用途や高さの制限」など毎年宅建試験で出題されている重要事項を解説します。
Contents
建築基準法
建築基準法とは、建物の構造、設備、敷地等について、その最低限の基準を定めている。
単体規定と集団規定
単体規定 | 全国どこでも適用個々の敷地、建築物の衛生、安全性の確保 |
---|---|
集団規定 |
都市計画区域・準都市計画規定のみ適用良好な集団的建築環境の確保 道路の制限、建築物の高さ、防火地域・準防火地域などの制限 |
集団規定は、他に知事指定区域等でも地方公共団体の条例で規制できる。
建築確認申請が必要な建築物
建築主は、建築物の工事前に確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。
◯=確認必要、 X=確認不要
建築は「新築」「増築」「改築」「移転」を含む
建築物の修理・規模 | 建築 | 修繕模様替 | 用途 変更 |
---|---|---|---|
【全国】 (1)特殊建築物 その用途に供する部分が100㎡を超える |
◯ | ◯ | ◯ |
【全国】(2)木造の大規模建築物 階数3以上、延面積500㎡を超える (3)木造以外の大規模建築物 階数2以上、延面積200㎡を超える |
◯ | ◯ | ー |
【一定の区域】 (4)一般建築物(上記(1)〜(3)以外の建築物) |
◯ | X | ー |
【特定行政庁】
建築主事がいる市町村の区域では「市町村長」、
その他の市町村の区域では「都道府県知事」を言う。
【特殊建築物】
不特定多数の者が出入りする建物で、学校、劇場、百貨店、共同住宅、倉庫、自動車車庫、危険物の貯蔵庫など。
事務所、戸建住宅は特殊建築物とは違う。
構造計算適合性判定
一定の建築計画について、建築基準法20条の構造審査を必要とする場合、建築主は、構造計算適合性判定を求めなければならない。
求められた日から14日以内に、知事等は、その結果を記載した通知書を「申請者」に交付しなければならない。
中間検査
特定工程にかかわる工事が終了した場合に、その都度、建築主が建築主事に求める検査をいう。
中間検査合格証の交付を受けた後でなければ、特定工程後の工事は施工できない。
【特定工程】
3階以上の共同住宅の床・梁に鉄筋を配置する工事工程のうち、2階の床及びこれを支持する梁に鉄筋を配置する工事の工程」などがある。
道路関係等による制限
接道義務
建築基準法上の道路に2m以上接していない土地には、建物を建てられなければ、緊急車両は入れないし、住民も逃げられないので接道義務があり。
敷地の周囲が空地なら適用なし、車両の進入は自在だから。
2項道路
建築基準法上の道路は、原則として幅員4m以上なければならないが、2項道路は4m未満でも接道義務の道路に含まれる。
【指定要件】
・昔からあった道路
・建物が道路沿いに立ち並んでいる
・特定行政庁の指定が必要である
中心線から左右に2m後退したところが道路の境界線
建築物の用途制限
用途地域の指定のない区域(市街化調整区域を除く)内においては、
「床面積の合計が10,000㎡を超える店舗・飲食店・展示場・遊技場等」は建築してはならない。
白地地域(線引きしていない都市計画区域のうち、用途地域の指定のない区域)
【店舗の用途に供する建築物 床面積の合計が10,000㎡超 建築可能な場合】
「近隣商業地域」「商業地域」「準工業地域」は可能
用途地域の制限は覚えておきましょう!
(詳しくは参考記事:「建築物の用途制限:用途地域」)
容積率・建ぺい率
容積率の意味、前面道路の幅員による制限(法定乗数の数値)の整理。
建蔽率の意味、商業地域などの指定建蔽率、緩和規定をチェック!
容積率
法定乗数は、原則として、住居系10分の4、それ以外は10分の6。
延べ面積の不算入に、エレベーターの昇降路の部分は全て、備蓄倉庫や蓄電池に供する部分は、総床面積の50分の1は算入しない。
容積率の制限
容積率の制限は、都市計画で定めた数値によるが、前面道路の幅員が12m未満である場合には、幅員のメートルの数値に10分の6又は10分の4を乗じたもの以下でなければならない。
建蔽率
建築面積(主に1階部分の水平投影面積)を敷地面積で除したもの。
建蔽率が10分の8で、かつ、防火地域内の耐火建築物については、建蔽率が無制限になる。
【建蔽率の緩和規定】
1)建蔽率の限度が8/10とされている地域以外 (商業地域は入らない)で、かつ、防火地域内にある耐火建築物 → 原則+1/10
2)角地等で特定行政庁が指定するものの内にある建築物 → 原則+1/10
3)上記、1)と2)のいずれにも該当する建築物 → 原則+2/10
外壁の後退距離
第1種低層・第2種低層地域においては、都市計画で、建物から敷地境界線までの距離を定めることができる。
この後退距離は、1mまたは1.5mとしなければならない。
敷地面積の最低限度
敷地の細分化を抑制するために、都市計画では建築物の敷地面積の限度を定めている。
建築物の敷地面積の最低限度:200㎡を超えてはならない。
用途地域に関する都市計画で定める。
建築物の高さ制限
【絶対高さ制限】
第1・2種低層地域限定。
しかし、学校等は特定行政庁の許可があれば適用しない。
【道路斜線制限】
都市計画区域・準都市計画区域の全域で適用される。
用途地域の指定のない区域
【隣地斜線制限】
絶対高さ制限のある「第1・2種低層地域」「田園住居地域」以外の地域で適用。
用途地域の指定のない区域
【北側斜線制限】
日影規制のある「第1種・第2種中高層住居専用地域」では適用されない。
・「第1種、第2種低層住居専用地域」 ・「田園住居地域」 |
5m |
---|---|
・「第1種・第2種中高層住居専用地域」 | 10m |
【日影規制】
地方公共団体が条例で指定した区域に適用。
「商業地域」「工業地域」「工業専用地域」には指定されない。
【建築物の高さ制限のポイント復習】
(詳しくは参考記事:「建築物の高さの制限」より)
防火地域・準防火地域の制限
防火地域と準防火地域の規制の違いをおさえる!
【防火地域で規制の対象になる建物】
1)階数が3(地階も含む)以上 2)延面積100㎡超 |
・耐火建築物 |
---|---|
3)その他 | ・耐火建築物または準耐火建築物 |
【準防火地域で規制対象となる建築物】
1)地階を除く階数が4以上 2)延べ面積が1,500㎡超 |
・耐火建築物 |
---|---|
3)延面積500㎡超1,500㎡以下 | ・耐火建築物または準耐火建築物 |
4)地階を除く階数が3 | ・耐火建築物、準耐火建築物 または一定の防火上の技術的基準に適合 |
その他の制限「木造建築物の制限」「両方の地域にわたる場合」についても覚えて下さい!
(詳しくは参考記事:「防火地域・準防火地域内の制限」)
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