宅建士になるための第2ステップは、登録を受けることです。
今回の宅建士になるための宅建業法の過去問対策は、「宅地士制度:登録」についてです。
ここで、平成29年度の宅建士の試験問題です。
宅建士の登録を受けるためには、宅地建物取引資格試験に合格した者で、2年以上の実務経験を有するもの
又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものであり、法に定める自由に該当しないことが必要である
正解か誤りか?
もし、2年以上の実務経験がなければ、宅建士の登録は受けられないのでしょうか?
不動産の実務経験がない受験者にとっては、気になる問題です。
この登録も前回の「宅建取引建物制度の設置や意義」と同様、とても重要な分野です。
答えは本文で確認していきましょう!
Contents
宅建士制度:登録の手続
宅建士の登録は、一度登録をすれば削除されない限り一生有効です。
しかし、実務経験や同等の能力があると認められないと登録ができません。
登録の申請
宅建士試験に合格した者で、宅地若しくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務経験を有するもの又は国土交通大臣が、その実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、当該試験を行った都道府県知事の登録を受けることができる。
登録の申請先と申請方法
試験を行った都道府県知事に、登録申請書とその添付書類を提出します。
登録するか否かは任意ですが、登録しなくても合格の効力が失効することはありません。
また2つ以上の都道府県で試験に合格しても、1つの都道府県でしか登録ができません。
申請書の記載事項
・申請者の氏名、生年月日、住所、本籍(日本国籍でない場合、その者の有する国籍)、性別
・試験の合格年月日、合格証書番号
・実務経験を有する者 ー その実務経験の期間、内容、従事していた宅建業者の商号、名称、免許番号
・宅建業者の業務に従事する者 ー その宅建業者の商号、名称、免許証番号
登録申請書の添付書類
本人確認情報(個人番号以外のものについては住民基本台帳法30条の11による)
これが提出できないとき等は、住民票の抄本、これに代わる書面
緩和措置:認定講習
2年間の実務経験はないが、早く登録の免許を受けたい人のための緩和措置があります。
国土交通大臣の登録を受けた実務講習(登録実務講習)により、登録が行えます。
登録の全体の流れ
(参照画像:「長崎県宅地建物取引業協会」より)
宅建士制度:登録基準 ー 登録の欠格要件
「登録基準」は「免許基準」に類似していて、欠格要件に該当しているか否かで決まります。
形式的欠格要件
宅地建物の取引に関し2年以上の実務経験を有しない者
登録の実質的欠格要件
1)宅建業に係る営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者
「宅建業の免許基準との違い」
宅建業の免許基準は、法定代理人について欠格要件の有無を審査するが、登録基準の場合は、未成年者本人で判断される。
「宅建士の登録」は、成年と同一の行為能力を有しない未成年者は、一般の宅建士だけでなく、専任の宅建士にもなることができない。
逆に、「宅建業の免許」であれば、成年者と同一の行為能力を有しない未成年者であっても、法定代理人に欠格事由がなければ受けられる。
【宅建業の免許基準と同じ欠格要件】
2)成年被後見人、被保佐人
3)破産者で復権を得ないもの
4)免許を取り消され、その取り消しの日から5年を経過していない者
取消しに係る聴聞の期日、場所の公示日前60日以内に役員であった者で、その取り消しの日から5年を経過していない者
5)廃業の届出をした者で、その届出の日から5年を経過しない者
6)5)の期間内に合併により消滅した法人または解散、廃業の届出をした法人の聴聞の期日、場所の公示日前60日以内に役員であった者で、その消滅または届出の日から5年を経過していない者
7)禁錮以上の刑になり、刑の執行が終了した日から5年を経過しない者
8)宅建業法もしくは暴力団員による不当な行為の防止策等に関する法律の規定に違反
または刑法、暴力行為の処罰、罰金刑の執行が終了した日から5年を経過しない者
9)暴力団員等
【宅建業の免許基準と違う欠格要件】
10)登録削除処分を受け、その処分の日から5年を経過しない者
11)登録削除処分が決定する日までの間に、登録の消除の申請をした者で、登録の消除された日から5年を経過しないもの
12)事務禁止処分を受け、その禁止期間中に、本人からの申請により登録が消除され、まだその禁止期間が満了しない者。
登録と宅建士資格登録簿
登録
都道府県知事は登録したとき、または変更の登録をしたときは、遅滞なくその旨を申請者に通知しなければなりません。
登録の時期・効力
登録は、宅建士となりえる資格を認定するもので、登録は強制ではありません。
合格後いつ受けてもよいです。
また、登録には有効期間がないので、一度登録されれば一生有効な永久登録制です。
不正手段により登録を受けた者は、登録が削除されますが、罰則はありません。
(不正免許取得とは異なります)
宅建士資格登録簿の登載事項
【資格登録簿】
① 登録申請書の記載事項
(イ)申請者の氏名、生年月日、本籍、性別、住所
(ロ)宅建業者の従業員 ー 当該宅建業者の商号または名称(注)、宅建証番号
(ハ)試験合格年月日、合格証番号等その他
② 登録番号、登録年月日
③ 指示処分、事務禁止処分を受けた場合 ー 年月日、内容
(イ)(ロ)のみが変更の登録の対象となる。
(②③は登録後で付け加える事項である)
宅建士資格登録簿は、一般の閲覧に供されない(宅建業者名簿とは異なる)
変更の登録 ー 登録事項の変更
変更の登録は「遅滞なく」登録している知事へ申請しなければならない。
(宅建業者の変更届は「30日以内」)
宅建業者と宅建士の変更届の違い
試験には下記の違いがよく出題されます。
【業者と宅建士の変更届の違い】
◯:必要、✖️:不要
変更事由 | 業者の変更届 | 宅建士の変更登録 |
---|---|---|
宅建士の氏名 | ◯ | ◯ |
宅建士の住所・本籍 | ✖️ | ◯ |
業者の名称・商号 | ◯ | ◯ |
事務所の名称・商号 | ◯ | ✖️ |
業者の免許証番号 | ✖️ | ◯ |
宅建士は勤務する宅建業者を変更(転職など)したときは、変更登録の対象となります。
登録の移転
登録の移転の手続
当該事務所を管轄する都道府県知事に対し、現在、登録を受けている都道府県知事を経由して、登記の移転の申請をすることができます。
ただし、事務禁止期間中の者は、宅建士として事務を行うことも登記の移転の申請をすることもできません。
停止期間中でも更新できる宅建業者とは違います。
宅建士証の登録有効期間は残存時間になる
例えば、3年を経過した時点で、登録を移転した場合、移転後の宅建証の有効期間は2年となります。
有効期間は登録の移転がされた時点での、従前の宅建士証の残存期間が有効な期間になります。
現に有する宅建士証と引き換えに、従前の宅建士証の残存期間を有効期間とする新しい宅建士証の交付を受けます。
勤務先の変更した場合の登録の移転申請は任意
登録の移転は、他の都道府県内の宅建業者に就職する場合の便宜を図るためです。
よって登録の移転の申請は、強制ではなく、任意です。
破産した場合の届出義務者
宅建士の破産は、個人の資格に関するものであるので、本人が届出をしなければなりません。
(宅建業者の場合は、社会的、経済的影響が大きいことから、破産管財人が廃業届の届け出義務者となっています。)
死亡等の届出
届 出 事 由 | 届出義務者 | |
1 | 死亡した時 | 相続人 |
2 | 成年被後見人となった時 | 後見人 |
3 | 被保佐人となった時 | 保佐人 |
4 |
<上記以外の理由> イ)宅建業に係る営業に関し成年者と同一の行為 ロ)破産者になったとき ハ)宅建業の免許を取り消された時 |
本人 |
登録の削除
法22条による登録の消除については、公開聴聞を行う必要はありません。
その日(上記の表1の死亡の場合は、真実を知った日)から30日以内に、登録している知事に届出が必要。
宅建まとめ:宅地建物取引士の登録
宅地建物取引士の登録については、いかがでしたか?
序文の問題、「宅建士の登録に2年以上の実務経験が必要か?」
解答:正しい。
宅地建物取引士の登録については、宅地建物取引し資格試験に合格した者で、宅地建物の取引に関し、2年以上の実務経験を有する者、
又は同等以上の能力を有すると認められた者であれば、試験を行った都道府県知事の免許を受けることができます。
(参照:【平成29年 問37項3】過去問解説より)
宅建試験に良く出る「登録」の復習のポイント
・登録の申請は、試験を行った都道府県知事に対して行う。
・資格試験合格者でも、登録するためには原則、2年以上の実務経験が必要
・未成年者は、成年者と同一の行為能力を有する未成年者を除いて、登録が受けられない。
・登録には有効期限はない。消除されない限り、一生有効である。
・宅建士資格登録簿は、宅建業者名簿と異なり、一般の閲覧に供されない。
・宅建士の氏名・住所や勤務先の宅建業者の名称、商号、免許番号を変更した場合は、遅滞なく、登録している知事を経由して、移転先の知事にする。
・登録の移転の申請事由は勤務先の変更に限られるが、登録の移転を申請することは任意である。ただし、事務禁止期間中は登録の移転を申請できない。
・登録の移転をした場合に、新たに交付される宅建士証の有効期限は、残存期間とされる。
・宅建士が破産したときは、本人がその日から30日以内に届け出なければならない。
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