今回の宅建士になるための過去問解説は「防火地域・準防火地域内の制限」についてです。
建築物が密集している市街地において火災が発生した場合、延焼や飛び火で大火になる危険性があります。
よって建築物の階数と規模に応じて構造制限が加えられ火災を防ぐ地域を「防火地域・準防火地域」といいます。
平成28年度の過去問題を解いてみましょう。
問題18
3)準防火地域内においては、延べ面積が2,000㎡の共同住宅は準耐火建築物としなければならない。
正しいか誤りか?
宅建士試験の過去10年間で単独では3回程度しか出題されていませんが、点が取りやすい問題が多いです。
試験に出題されれば確実に解答できるように試験に出るポイントをみていきましょう。
Contents
【宅建】過去問解説 : 防火地域内の制限
防火地域内の建築物は、下記の制限を受ける。
【防火地域で規制の対象になる建物】
1)階数が3(地階も含む)以上の建築物または 2)延べ面積が100㎡を超える建築物 |
・耐火建築物としなければならない |
---|---|
3)その他の建築物 | ・耐火建築物または準耐火建築物としなければならない。 |
例外(上記の制限を受けない)
1)延べ面積が50㎡以内の平屋建ての付属建築物で、外壁及び軒裏が防火構造のもの
2)卸売市場の上家または機械製作工場で主要構造部が不燃材料で造られたもの
3)高さ2m以下の門または塀
看板等の防火措置
防火地域内のみ(準防火地域内では適用されない)
1)建築物の屋上に設けるもの
2)高さ3mを超えるもの
主要な部分を不燃材料を作り、又はおおわなければならない。
【試験のポイント】
「看板等の防火措置」は防火地域固有の制限。
準防火地域内ではこのような看板等についての制限はない。
準防火地域内の制限
準防火地域は、防火地域の周辺部等で指定される。
防火地域ほど厳しくはないものの、木造建築物は一定の階数・規模以下に制限され、木造建築物にも防火措置が義務付けられる。
【準防火地域で規制対象となる建築物】
1)地階を除く階数が4以上の建築物または 2)延べ面積が1,500㎡を超える建築物 |
・耐火建築物としなければならない |
---|---|
3)延べ面積が500㎡を超え1,500㎡以下の建築物 | ・耐火建築物または準耐火建築物としなければならない。 |
4)地階を除く階数が3である建築物 | ・耐火建築物、準耐火建築物または一定の防火上の技術的基準に適合する建築物としなければならない。 |
【試験のポイント】
地階を除く階数と延べ面積の両方からみて、厳しいほうの制限が適用される。
例)延べ面積1,000㎡であっても、地上4階建てであれば、耐火建築物にしなければならない。
また地上3階建てであっても、延べ面積が600㎡であれば、耐火建築物または準耐火建築物にする必要がある。
例外(上記の制限を受けない)
・卸売市場の上家
・機械製作工場で主要構造物が不燃材料で造られたもの
・その他こられに類する構造で、これらと同等以上に火災のおそれの少ない用途に供するもの
木造建築物等の防火措置
準防火地域内では、「地階を除く階数が2以下で、かつ、延べ面積が500㎡以下の建築物」は、前述の【規制対象となる建築物】(表)の構造制限は受けない。
しかし、木造建築物にする場合は、下記の制限を受ける。
1)木造建築物等は、その外壁及び軒裏で延焼のおそれのある部分を防火構造とすること。
2)上記1)に付属する高さ2mを超える門または塀で、延焼のおそれのある部分に該当する部分を不燃材料で造りおおうこと。
防火地域・準防火地域に共通する規定
防火地域又は準防火地域内は、市街地の火災を防ぐために一定の構造にしなければならない。
防火地域と準防火地域では「屋根」「外壁の開口部の防火戸」「境界線に接する外壁」の3つの共通の規定ある。
屋根
屋根の性能は、一定の技術基準に適合。
国土交通大臣が定めた構造方法を用いるか大臣の認定を受けたものでなければならない。
外壁の開口部の防火戸
その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に、防火戸その他の一定の構造の防火設備を設けなければならない。
隣地境界線に接する外壁
防火地域又は準防火地域内にある建築物で、外壁が耐火構造のものについては、その外壁を隣地境界線に接して設けることができる
(参照:パーフェクト宅建 基本書 より)
<民法234条>
建物を築造するには、境界線から50cm以上の距離を保たなければならない。
建築物が防火地域または準防火地域の内外になる場合
建築物が防火地域・準防火地域の内外にわたる場合には、原則として、その建築物の全部について制限の厳しいほうの規定が適用される。
建築物が防火地域または準防火地域と未指定区域にわたる場合
原則 (法67条1項) |
建築物の全部について防火地域または準防火地域の建築物に 関する規定が適用される。 |
---|---|
例外 | 建築物が防火地域または準防火地域外において防火壁で区画されている 場合には、その防火壁外の部分については、防火地域又は準防火地域内の建築物に関する規定が適用されない。 |
建築物が防火地域または準防火地域にわたる場合
原則 (法67条2項) |
建築物の全部について防火地域内の建築物に関する規定 が適用される。 |
---|---|
例外 | 建築物が防火地域外において防火壁で区画されている場合には、 その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に 関する規定が適用される。 |
宅建過去問「防火地域・準防火地域内の制限」解説まとめ
耐火建築物と準耐火建築物の防火規制の違いは理解できましたか?
序文の問題の解答と解説
3)準防火地域内においては、延べ面積が2,000㎡の共同住宅は準耐火建築物としなければならない。
答えと解説
問題18(3) 解答:誤り準防火地域内では、地階を除く階数が4以上である建築物又は延べ床面積が1,500㎡超える建築物は、耐火建築物としなければならない(建築基準法62条1項)(参照:【平成28年 問18項3】過去問解説より)
宅建士試験に出るポイント
(1)防火地域内の建築物
・階数3(地階を含む)以上、または延べ面積100㎡超 → 耐火建築物
・その他 → 耐火建築物または準耐火建築物
(2)準防火地域内の建築物
・地階を除く階数4以上、または延べ面積1,500㎡超 → 耐火建築物
・延べ面積500㎡超1,500㎡以下 → 耐火建築物または準耐火建築物
・地階を除く階数3 → 耐火建築物、準耐火建築物または一定の防火上の技術的基準に適合する建築物。
(3)「看板等の防火装置」は防火地域内だけ適用される規定である。
これに対し「屋根」「外壁の開口部の防火戸」及び「隣地境界線に接する外壁」は防火地域・準防火地域に共通する規定である。
(4)建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合には、原則として、その全部について防火地域内の建築物に関する規定が適用される。
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