今回の宅建士の過去問解説は、最近、広告表示で話題になっている「景品表示法」「不当表示防止法」についてです。
不動産広告では2つの規制があります。
1)宅地建物取引業法による規制
2)不当景品類及び不当表示防止法による規制
「税・その他」の科目からの出題は、2)になります。
平成29年度の宅建士試験で出題された過去問題をみてみましょう!
問題47
(3)取引しようとする賃貸物件から最寄りの甲駅までの徒歩所要時間を表示するため、当該物件から甲駅までの道路距離を80mで除して算出したところ5.25分であったので、1分未満を四捨五入して「甲駅から5分」と表示した。
この広告表示が不当表示に問われることはない。
正しいか誤りか?
この問題47の「景品表示法」「不当表示防止法」は最も点が取りやすい穴場の問題です。
本文で試験に出題されるポイントを解説していきます。
(この47問は、宅建実務の経験者で登録免除講習会を修了済みの人は、宅建士の試験では免除されます)
宅建過去問の傾向:景表法と不当表示防止法
「不動産広告で、インチキな表示を防止する」事です。
(不当表示防止法には、不動産の表示に関する公正競争規約を含む)
物件の購入者が損をしない様に、また不動産業者が不当な利益を得ない様に「景品表示法」「公正競争規約」で禁止しています。
過去問10年分の景品表示法(以下:景表法という)や「不当表示防止法」では、主に4つの内容が出題されます。
・規制の対象となる表示
・禁止される表示
・表示の基準
・表示の仕方
次は過去問からの出題内容をみていきましょう。
宅建で規制の対象となる広告表示とは?
公正競争規約(以下:表示規約という)は、一般の消費者が実際の物より優良・有利と誤認する表示をすれば、不当表示になります。
規制の対象となる広告は、モデルルームなどの物の表示や、インターネット広告も含まれます。
最近では、特にインターネット上の広告トラブルが増加しています。今後不動産業界でもこの取り扱いが、焦点になってきます。
宅建で禁止される広告表示とは?
広告では、消費者を誤認させる様な表示規約を禁止しています。
また、購入後に消費者が不利になる事項は、予め広告で表示する事が定められています。
ここでの宅建士試験の出題ポイントは2つです。
【景品類の表示】と【不当表示防止法(以下;表示規約という)】
【景品類の表示】
1つ目の景品類とは、内閣総理大臣が指定するものです。
宅建業者は懸賞(くじや抽選など)以外の景品類を提供する時は、景品の金額の範囲が決められています。
【景品類の金額の範囲】
下記の金額を超えてはならず、どちらか低い金額にする必要があり。
・取引の価格の10分の1
・100万円
* 抽選の場合は、取引金額の20倍以下、または10万円以内。
不当な表示は禁止されている。
【宅建試験のポイント】
・範囲を超えた場合には、景品類の提供が禁止されます。
・景品は10分の1か100万円迄(超えてはいけない)と数字を覚えましょう。
そして「マンション2,000万円が今なら割引1,500万円!」などの「二重価格表示」の不動産広告も規制の対象になる。
以前は二重価格は全面禁止でしたが、平成24年の法改正で緩和されました。
『二重価格表示』が適法となる物件の種類が変更、二重価格表示が利用できる物件などが増えました。
しかし、誤認を与える広告は禁止するなど、細かい規定が定められています。
【不当表示防止法(以下;表示規約という)】
2つ目の「不当表示防止法(表示規約)」では、不利な条件の表示が義務付けられています。
不動産業界で別途定めれた規約です。
特定事項の明示義務
事業者は、一般消費者が通常良きすることができない物件の事項を
【建築と再建築が不可と表示が必要】
・市街化調整区域(宅地造成が不可)16ポイント以上の文字で表示
・道路に2メートル以上接していない場合
(「再建築不可」、「建築不可」と表示)
【建築の制限事項の表示が必要】
・2項道路(道路幅4m以下)セットバックが敷地10%以上
・道路予定地を含む土地
・土地上に古家や廃屋等がある場合
・高圧電線路下、工作物の建築が禁止の場合
・区分地上権が設定されている(地下鉄の線路など)
・30%傾斜地を含む土地(マンション及び別荘地を除く、また30%以下でも阻害される場合は必要)
・不整形画地、地盤面が2段以上に分かれている
・建築工事を中断した場合、着手した時期と中断した機関
・沼沢地、湿地など、他、建築に不利な条件
・途中で建築工事が中断していた場合、建築工事の着手時期及び中断時期
・国土利用計画法
上記は、建物を建てる際に不利な条件になる当たり前の事ばかりです。
自分が家を建てる時に、どんな状況ならば建築できないか?をイメージしながら暗記すると覚えやすいです。
「法令上の制限」の科目の建築の法令とも絡む内容なので、確実に覚えておきたいです。
不動産広告の表示の基準とは?
物件を購入する上で、資産価値にもなる下記の物件情報は、とても重要です。
・駅などの路線が近いか?
・市場で新築と認定されるレベルはどのぐらいか?
公正な商売ができる様に共通の表示基準が定められています。
【新設の路線や駅からの所要時間】
・新設予定の駅等は、その路線の運行主体が公表したものに限り有効
・駅から徒歩による所要時間の算出方法
道路距離80mにつき1分間を要すると計算(1分未満の端数は1分とする)
団地と駅その他の施設の距離または所要時間は、駅等から最も近い団地内の地点を、起点または着地点として算出した数値を表示すること。
【新築物件の表示】
「新築の定義」は、下記の2つの要件を満たす必要があります。
・建築後1年未満
・居住で使用されていない
他にも「新発売」として広告が出せる基準も決まっています。
新たに造成された宅地又は新築の住宅について、一般消費者に対し、初めて購入の申込みの勧誘を行うことをいいます。
売れ残った新築住宅を、何度も「新発売」と広告している会社は要注意。
【建物をリフォーム又は改築した場合】
リフォームまたは改築したことを表示する場合は、そのリフォームの内容及び時期を明示する。
【宅地と建物の写真】
写真は取引するものの写真を掲載する。
まだ物件が未完成など事情がある場合は、当該建物と同一の写真を掲載することは可能。
ただし、この写真が他の建物である旨を写真と一緒に明示
【土地の価格】
原則として1区画あたりの価格を表示。
しかし分譲住宅地で、全ての価格の表示が不可能な場合は、最低価格と最高価格を表示。
物件数が10以上のときは、それに加えて最多価格帯とその価格帯が属する販売区画数を表示すること
賃貸住宅の賃料の表示方法も同じ、
原則として1区画あたりの価格を表示し、最低価格と最高価格を表示する。
管理費・共益費及び修繕積立金
原則としては1戸あたりの月額(予定額も含む)を表示すること。
なお全ての表示が困難なときは、最低額と最高額のみで表示することができる。
割賦販売による支払い条件
実質年率を表示すること。
アド・オン方式による年率のみの表示方法は不当表示となる。
不動産広告の表示の仕方とは?
一般消費者が、通常予測できない物件の不利な条件などを理解できる為に広告では決まりが定められています。
【必要な表現事項と特定事項の明示義務】
広告主、物件内容、物件価格等の取引条件、交通などの利便や地質、形質、立地環境などの事項は、下記の様な表示の義務があります。
・見やすい場所
・見やすい大きさ
・見やすい色彩
・わかりやすい表現で明瞭に
宅建過去問まとめ「景品表示法」「不当表示防止法」
解説はいかがでしたか?
購買者が不利ならないように広告はわかりやすく表示するのは、当たり前の事ばかりだと感じた人も多いのではないでしょうか?
過去問の解答と解説
問題47
(3)取引しようとする賃貸物件から最寄りの甲駅までの徒歩所要時間を表示するため、当該物件から甲駅までの道路距離を80mで除して算出したところ5.25分であったので、1分未満を四捨五入して「甲駅から5分」と表示した。
この広告表示が不当表示に問われることはない。
解答:誤り
徒歩による所要時間は、道路距離80mにつき1分とし、1分未満の端数が生じた時は1分として算出する。四捨五入はできない(同施行規則10条(10))。6分と表示しなければならない。
(参照:【平成29年 問47項3】過去問解説より)
宅建試験に出るポイント
・新設予定の駅等は、その路線運行主体が公表したものに限り、新設予定時期を明示して表示することが可能
・市街化調整区域内の土地または接道要件に適合しない土地については、建築または再建築ができない旨を表示しなければならない。
・高圧電線路下地または区分地上権の設定されている土地については、その旨等を表示しなければならない。
・セットバックを要する土地、または道路予定地を含む土地については、その旨等を表示しなければならない。
・新築とは、建築後1年未満であって、居住の用に供されたことがないものをいう。
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