宅建士の過去問解説【共有・区分所有権3】マンション管理運営に必要な基礎知識を紹介!

テスト

今回の宅建士になるための権利関係の過去問解説「共有・区分所有権」3回目です。

前回の「区分所有権2」では、主に共用部分と専用部分の区分所有についての解説でした。

そして今回の3回目では、より具体的にマンションの規約や管理を説明します。

* 2回目の参考記事「宅建士の過去問解説【権利関係】共有・区分所有権2。もし自宅のマンションの半分が焼失したら?」

ここでマンション規約についての過去問題です。

以下の管理者の業務は正しいか誤りか?

1)毎年、1回は集会(管理ついて話し合う会議)を収集しなければならない。

2)区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して集会の招集を請求することができるが、この定数は規約で減ずることができない。

3)集会の招集の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受け取れる場所をあらかじめ通知した場合には、管理者はその場所にあててすれば足りる。

4)集会は区分所有者全員の同意があれば、招集の手続きを経ないで開くことができる。

上記は、平成29年宅建士試験の権利関係の出題です。

この「集会」「管理組合」の内容は、ほぼ毎年、宅建士試験に出るので、ぜひ、押さえておきたい内容です。

過去問題の解説の続きは、本文でみていきましょう!

宅建士の過去問解説【共有・区分所有権3】マンション管理運営に必要な基礎知識を紹介!

宅建の過去問解説:共有・区分所有権

序文の問題の解答は、下記になります。

2)は誤り、1)〜3)は、全て正しいです。

管理者は、少なくとも毎年1回は集会を招集する必要がある。

また、区分所有者の5分の1以上、議決権の5分の1以上を持てる場合は、管理者い対し、会議の目的を示せば、集会の招集を請求できる。

この定数は、規約で減ずることができる

招集の通知は、区分所有者が管理者に対して通知を受けるべき場所を通知したときはその場所に、もし、これを通知しなかったときは、区分所有者の所有する専用部分が存在する場所にあててすれば足りる。

また、区分所有者全員の同意がある場合は、招集の手続きがなくても開ける。

(参照:【平成29年 問13】過去問解説より)

区分所有法では、管理者の業務についても、宅建士試験によく出ます。

他、下記の過去問解説のポイントも覚えて下さい。

・管理組合法人となるには、区分所有者の数は2名以上でよい。

・規約、議事録の保管をしなかった場合は、その行為をした管理者などは、20万円以下の過料に処せられる。

・管理者の資格は、自然人でも法人でも区分所有者以外でもよい

マンション管理の規約とは

建物、敷地、付属施設の管理や使用に関する区分所有者相互間の事項は、規約によって定めることができる(同法30条1項)。

もちろん、規約を定めるかどうかは区分所有者の自由である。

(参照:パーフェクト宅建 基本書より)

規約の設定・変更・廃止とは

規約の設定・変更・廃止をすることは、重要なので特別決議になります。

区分所有者の集会で、区分所有者及び、議決権4分の3以上の多数により決定します。

もし、それらが、一部の区分所有者の権利に特別な影響を及ぼすときは、影響を受ける者から承諾を得なければなりません。

規約の効力

規約は、区分所有者全員に効力が生じ、さらに賃借人などの占有者も、所有者と同じように全て同一の義務を負います。

区分所有者から区分所有権を譲りうけた者を特定承継人といいます。

集会

マンションで何かを決める場合は、管理組合を作り、集会を開かなければなりません。

法人ではない管理組合は任意ですが、法人の場合は、管理者を置かなければなりません。

管理者とは、火災保険の契約をしたりする代表者で、通常は理事長になることも多いです。

また、選任された管理者は年1回の集会を招集しないといけません。

集会の決議は通常は、普通議決です。

通知は、少なくとも一週間前(目安)、に目的を各区分所有者に発信しないといけません。

この期間は規約で伸縮することができ、区分所有者全員の同意がある場合は、招集の続きを経ずに開くことができます。

もし、他の所有者が年に1回以上の集会を開催したいときは、5分の1以上の人数の議決権があればよいです。

議決権のハードルを普通決議よりも下げて、集会を開催しやすくしています。

管理者の選任と解任

区部所有者は、規約に定めがない限りは、集会の決議によって管理者を選任し、また解任することもできます。

管理組合法人

区分所有者は、全員が管理組合に無条件で加入する義務がありますが、任意の団体なので法人格がありません。

そのため、銀行からお金を借りる場合には、法人にする必要があります。

管理組合は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によって、法人になることを定めることができます。

これを管理組合法人といいます。

法人になるには下記のことが必要です。

・理事を監事を置く

・「管理組合法人」の文字を含む名称と事務所を定める

・主たる事務所の所在地で登記をする

法人格のない管理組合では管理者は「できれば置く」と定められているので、管理者は任意です。

議決権

議決権の割合は、規約に定めがなければ、各所有者の専有部分の割合によります。

専有面積が広く、共有費をより多く支払っている者が、より議決権に影響力を持つように定められています。

議決権は、書面で、または代理人によって行使することもでき、全員が同意すれば、電磁的方法も可能です。

1つの専有面積(1室)を数人で共有している場合は、議決権を行使できるので代表者の1人になります。

議決権の行使
原則 ・区分所有者本人が行使する
例外 ・書面または代理人によって行使できる
専有部分が共有の場合

・議決権を行使すべき者1人を定めなければならない。

賃借人の扱い

賃借人など区分所有権者からの承諾を得て専有面積を占有する者は、集会で意見を述べることはできます。

しかし、所有者ではないので、議決権を行使することはできません

決議の要件

通常は、過半数で決定できる普通決議が開催されます。

しかし、区分者の利害に重要な影響がある場合は、集会の特別決議が必要です。

区分所有者及び議決権各4分の3以上が必要

・共有部分の変更(軽微な変更は除く)

・規約の設定・変更・廃止

・建物、敷地、共有部分以外の付属施設の変更

・管理組合法人の設立・解散

・専有部分の使用禁止の請求

・建物価格の2分の1を超える滅失の場合の建物の共用部分の復旧

建替えは最も重要な事項なるので、5分の4以上の多数が必要です。

建替え決議

集会では、5分の4以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、その建物の敷地の全部もしくは一部を含む土地に新たな建物を建築する旨の決議「建替え決議」を行うことができます。

建替え決議を目的とする集会を招集するときは、会日よりも少なくとも2ヶ月前に、招集通知を発しなければなりません。

また、少なくとも1ヶ月前までに、当該招集する際に通知すべき事項について、区分所有者に対し、説明会を開催しなければなりません。

建替えの決議は、老朽、損傷、一部滅失などの理由は、必要ではありません。

建て替え決議は、特に誰から誰にできるか?を押さえておく必要があります。

買取請求と売渡請求の違い

「大規模滅失の復旧」の場合と「建替え決議」の場合は、行わない者に対しての物件の買取と売渡の請求が変わります。

下記の流れは重要です。

・大規模滅失の復旧:反対者 →→→→→ 賛成者 買取請求可能

・建替え決議:賛成者 →→→→→ 反対者 売渡請求可能

大規模滅失の復旧とは

建物の価格の2分の1える部分が、滅失(大規模滅失)したときの場合を大規模滅失といいます。

この場合は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議により、共有部分を復旧することができます。

議長及び議事録

ここで、管理組合の議長や議事録について必要事項を押さえておきます。

・議長

規約に定めがある場合、別段の決議をした場合を除けば、区分所有者の1人が議長となる

・議事録

議長は、書面又は電磁的記録により、議事録を作成する必要があります。

・署名押印

議事録が書面で作成されている時は、議長及び集会に出席した区分所有者の二人がこれに署名押印しなければなりません。

電磁的記録の場合は、署名押印に代わる措置を執らなければなりません。

・報告義務

管理者は、集会において、毎年一回一定の時期にその事務に対する報告をしなければなりません。

義務違反者に対する措置

有害な行為や利益に反する行為をする人に対して、以下の法的措置をとることができます。

・普通決議が必要

1)違反行為の停止の請求

・4分の3以上の特別決議が必要

2)専有部分の使用禁止。1)の停止をしても困難な時は、利用を禁止を請求できます

3)区分所有者の競売請求

4)占有者の義務違反の場合。所有者ではないので、専有部分の使用収益を目的とする

「共有・区分所有権3」宅建過去問まとめ

以上、3記事にわたり「共有・区分所有権」について紹介してきましたが、いかがでしたか?

特に、集会の招集方法や、どの決議内容に、どれだけの議決権が必要か?などは、宅建士試験にも出題されるので、絶対に覚えて下さい。

また、下記のポイントも宅建士試験によく出題されます。

区分所有者および議決権

普通決議事項:規約で別段の定めができる(議決に必要な定数を下げることができる)

特別決議事項:重大変更の区分所有者の定数(過半数まで減じることができる)を除き、規約で別段の定めはできない

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【終わりに】

今まで私の夫は、約2年間、マンションの管理組合の役員になったので、私もマンションの管

理組合業務を手伝った経験があります。

その間に建物の大規模修繕がありましたが、住民同士の意見の集約は大変でした。

また、改装工事だけでなく、駐車場やゴミの問題など、様々な事が議題に上がりました。

契約している管理会社とは、メンテナンス不備やお金の問題が発生したこともあります。

「マンションは管理を買え」と言われるのも、わかる気がします。

今回の内容は、宅建士の試験だけでなく、自分の所有するマンションを守るためにも必要な知識です。

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