今回の宅建士になるための過去問解説は「道路関係等による制限」についてです。
前回の記事、全国に適用される「単体規定」から、都市計画区域及び準都市計画区域でしか適用されない「集団規定」に入ります。
この「集団規定」では、建築物の敷地は、建築基準法上の道路に2m以上接しなければならない「接道義務」などの「道路の制限」があります。
ここで平成29年度の宅建士試験で出題された問題を考えてみましょう。
問題19
3)幅員4m以上であり、法が施行された時点又は都市計画区域もしくは準都市計画区域に入った時点で現に存在する道は、特定行政庁の指定がない限り、法上の道路とはならない。
正しいか誤りか?
道路の制限は、単純な問題が多いので覚えれば確実に点が取れる項目です。
本文で宅建士試験に出題されるポイントをおさえていきましょう!
Contents
道路の定義:【宅建】過去問解説【法令上の制限】
建築基準法上の「道路」とは幅員4m以上のもの(地下にあるものを除く)下記のもの
1)道路法による道路
2)都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法
3)建築基準法第3章の規定が適用されるに至った際、すでに存在した道路
それ以外の道路は、「建築基準法上の道路」として扱われない。
【特例:2項道路】
幅員4m未満の道で特定行政庁の指定したものは、上記1)〜3)の規定にかかわらず道路とみなされる。
これを「2項道路」という。
この「2項道路」の場合には、その道路の中心線から左右に水平距離2mずつ後退(セットバック)した線が道路の境界線とみなされる。
(下記の図を参照)
(* 上記の図の赤色の部分は、敷地面積に算入されない。)
ただし、道路の中心線から2m未満で一方が崖地、川、線路敷地等に沿っている場合は、その線から4m後退した線が道路の境界線になる。
(下記の図を参照)
(* 上記の図の赤色の部分は、敷地面積に算入されない。)
【6mの区域】
特定行政庁が、その地域の気候や風土の特殊性、または土地の状況により必要と認めて、都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内においては、幅員4m以上ではなく、幅員6m以上のものを、原則的な「道路」とする
接道義務
建築物の敷地は道路に2m以上接しなければならない。
ただし、例外もあり、以下の条件の場合は接していなくてもよい
特定行政庁が、交通上、安全上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの。
【条例による制限の付加】
地方公共団体は、下記の建築物の場合は、必要と認めるときは、条例で必要な制限を付加することができる。
しかし、制限を緩和することはできない。
・特殊建築物
・階数が3階以上の建物
・延面積が1,000㎡を超える建築物
必要な制限とは、その敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地または建築物と道路の関係など
特殊建築物とは:学校、体育館、病院、共同住宅、旅館、百貨店、競技場
(事務所は特殊建築物ではない)
私道の変更または廃止の制限
私道の変更又は廃止によって、その道路に接する敷地が法43条1項の規定又は同条2項の規定に基づく条例の規定に抵触することとなる場合においては、特定行政庁は、その私道の変更又は廃止を禁止し、又は制限することができる(法45条1項)。
(「パーフェクト宅建 基本書」より)
私道の変更や廃止は、本来は自由に行うことができるが、接道義務に抵触する場合は、特定行政庁が、変更または廃止を禁止することができる。
道路内の建築制限
道路内に、または道路に突き出して建築することができない。
ただし例外もある。
【例外(建築できるもの)】
1)地盤面下に設ける建築物
2)公衆便所、巡査派出所、特定行政庁が認め建築審査会の同意を得て許可したもの
3)公共用歩廊、その他一定の建築物で特定行政庁が認め建築審査会の同意を得て許可したもの
(アーケードなど)
壁面線による建築制限
住環境の保護、商店街の買い物客の通行スペースの拡大等の目的で、道路境界線と建築物の間に一定の空間を確保するために壁面線が指定されることがある。
壁面線の指定
特定行政庁は、必要があると認めるときは、建築審査会の同意を得て、壁面線を指定することができる
壁面線指定がある場合の建築制限
高さ2mを超える門・へいは、一定のものは、壁面線を超えて建築してはならない。
【例外(建築できるもの)】
1)地盤面下に設ける建築物
2)公衆便所、巡査派出所
3)公共用歩廊、建築審査会の同意を得て許可したもの
【宅建】過去問解説のまとめ「道路関係等による制限」
序文の過去問題の解説です。
問題19
3)幅員4m以上であり、法が施行された時点又は都市計画区域もしくは準都市計画区域に入った時点で現に存在する道は、特定行政庁の指定がない限り、法上の道路とはならない。
解答:誤り。
建築基準法が施行された時点又は都市計画区域若しくは準都市計画区域に入った際に、現に存在する幅員4m以上の道は、特定行政庁の指定がなくても、建築基準法上の道路である(同法42条1項3号)。道路として長年の実績があるからである。
(参照:【平成29年 問19項3】過去問解説より)
【ポイント】
1)建築基準法の道路
原則:道路法による道路その他一定の道のうち、幅員が4m(6m区域では6m)以上
特例:幅員4m未満の道で、特定行政庁が指定したもの(2項道路)
2)建築物の敷地は、原則として道路に2m以上接しなければならない。
3)地方公共団体は、特殊建築物については、その敷地または建築物と道路との関係につき、条例で、必要な制限を付加することができる。
4)地盤面下に設ける建築物その他一定の建築物は、道路内に、または道路に突き出して建築することができる。
地盤面下の建築物は、特定行政庁の許可を必要としない。
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