宅建の過去問解説【法令上の制限】都市計画の内容2「用途地域・準都市計画区域」

テスト

今回の宅建士になるための過去問解説は前回の都市計画の内容1に引き続いて2回目です。

ここでは主に都市計画区域の「用途地区」や「準都市計画区域」について解説します。

ここで平成28年度の宅建士試験で出題された問題を解きましょう!

問題16
3)高度利用地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区である

正しいか誤りか?

「用途地区」は、重要項目の暗記量が多いので不安になるかもしれませんが、全部を覚えようとしなくても大丈夫です。

都市計画で定められる関連事項などは、建築物の形態等に関する建築基準法上の制限と関連付けて整理しましょう。

宅建の過去問解説【法令上の制限】都市計画の内容2「用途地域・準都市計画区域」

宅建の過去問解説:用途地域

用途地区には下記の13種類がある。

用途地域

用途地域 内容(法9条1項~13項)
第1種低層住居専用地域 低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため
定める区域
種低層住居専用地域 主として低層住宅に係る良好な住居の環境を保護
するため定める区域
第1種中高層住居専用地域 中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため
定める区域
種中高層住居専用地域 主として中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護
するため定める区域
第1種住居地域 住居の環境を保護するため定める地域
種住居地域 主として住居の環境を保護するため定める地域
準住居地域 道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の
利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境
を保護するため定める地域
田園住居地域 農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅
に係る良好な住居の環境を保護するため定める区域
近隣商業地域 近隣の住宅地の住民に対する日用品の供給を行うこと
を主たる内容とする商業その他の業務の利便を増進
するため定める地域。
商業地域 主として商業その他の業務の利便を増進するため
定める地域。
準工業地域 主として環境の悪化をもたらすおそれのない工業
利便を増進するため定める地域。
工業地域 主として工業の利便を増進するため定める地域
工業専用地域 工業の利便を増進するため定める地域

【試験のポイント】

・第種になれば「主として」がつく

用途地域で定める都市計画の事項

用途地域に関する都市計画には、種類、位置等のほか、下記の事項が定められる。

用途地域 都市計画で定める事項

・第1種低層住居専用地域

・第2種低層住居専用地域

・田園住居地域

1)建築物の容積率
2)建築物の建蔽率
3)建築物の敷地面積の最低限度(必要な場合)
4)外壁の後退距離の限度(必要な場合)
5)建築物の高さの限度

・商業地域

1)建築物の容積率
2)建築物の敷地面積の最低限度(必要な場合)

・その他の地域

1)建築物の容積率
2)建築物の建蔽率
3)建築物の敷地面積の最低限度(必要な場合)

【試験のポイント】

・各用途地域(13地域)に関する都市計画には「建築物の容積率」を定めなければならない。

商業地域を除く用途地域(12地域)に関する都市計画には「建築物の建蔽率」を定めなければならない。

・各用途地域(13地域)に関する都市計画には、必要な場合には「建築物の敷地面積の最低限度(200㎡を超えない範囲)」を定めることができる。

第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域・田園住居地域に関する都市計画には、「建築物の高さの限度(10mまたは12m)」を定めなければならない。

また必要な場合には「外壁の後退距離の限度(1.5mまたは1m)」を定めることができる。

【用途地域が定められた場合】

建築基準法の規定により、その地域ごとに建築物の用途が制限され、また、都市計画に定められた容積率、建蔽率等によって、建築物の形態等が規制される。

特別用途地区

特別用途地区は、用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区(法9条14項)。

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

特別用途地域は、用途地域内で定められ、地区の特性に応じたきめ細かい用途規制を行う。

地方公共団体は、その地区指定の目的に応じて、条例で、用途地域で定める建築物の用途に関する制限を強化、または緩和することができる。

ただし、緩和する場合には、国土交通大臣の承認が必要である。

特定用途制限地域

特定用途制限地域は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域(法9条15項)。

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

特定用途制限地域は、特定の用途の建築物等、例えば大規模な店舗・工場・ホテル、レジャー施設、風俗関係施設等)を規制するためにある。

用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)内において定められる。

具体的な建築物の用途の制限は、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で定められる(建築基準法49条の2)。

特例容積率適用地区

特例容積率適用地区は、下記の地域で建築物の容積率の限度からみて未利用となっている建築物の容積の活用を促進し、土地の高度利用を図るために定める地区。

【特例容積率適用地区を定めることができる地域】

・第1種中高層住居専用地域

・第2種中高層住居専用地域

・第1種住居地域

・第2種住居地域

・準居住地域

・近隣商業地域

・商業地域

・準工業地域又は工業地域内

この地区内では、土地所有者等の申請に基づき、特定行政庁が複数の敷地について特別の容積率の限度を指定することにより、敷地間の容積率の移転が可能となる。

高層住居誘導地区

高層住居誘導地区は、住居と住居以外の用途とを適正に配分し、利便性の高い高層住宅の建設を誘導するため、建築物の容積率の最高限度、建築物の建蔽率の最高限度及び建築物の敷地面積の最低限度を定める地区。

【構想住居誘導地区を定めることができる地域】

下記の地域で、容積率が40/10、又は50/10に定められたものである。

・第1種住居地域

・第2種住居地域

・準居住地域

・近隣商業地域又は準工業地域

高層住居誘導地区内では、住宅割合が2/3以上の建築物について、その容積率が緩和される(建築基準法52条1項5号)。

タワーマンションなどが該当する。

高度地区

高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区(法9条18項)。

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

ここでは、建築物の高さは、高度地区に関する都市計画において定められた内容に適合しなければならない。

高さの規制には「高さの最高限度」「高さの最低限度」の2つの場合がある。

高度利用地区

高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区(法9条19項)。

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

建築物の壁またはこれに代わる柱は、建築物の地盤面下の部分等を除き、高度利用地区に関する都市計画において定められた壁面の位置の制限に反して建築してはならない。

【試験のポイント】

・「特別用途地区」「高度地区」「高度利用地区」は、用途地域内で定めることができ、用途地域では定めることができない

・「高度地区」・・・・「高さ」の規制のみ

・「高度利用地区」・・「高さ」についての規制はなし。「容積率」「建蔽率」「壁面の位置の制限」の規制。
(宅建士試験では「高度地区」と「高度利用地区」の内容を逆にした問題がよく出題される。)

・「特例容積率適用地区」「高層住居誘導地区」は、一定の用途地域内で定めることができる。

特定街区

特定街区は、市街地の整備改善を図るため街区の整備又は造成が行われる地区について、その街区内における建築物の容積率並びに建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定める街区(法9条20項)。

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

特定街区は、霞ヶ関ビル、浜松町の貿易センタービル、池袋のサンシャインシティなど超高層ビルが建つ街区が該当。

特定街区内では、「建築物の容積率」「建物の高さの最高限度」及び「壁面の位置の制限」が都市計画で個々に定められていて、その制限を受ける。

しかし、建築基準法による一般的な形態規制は適用されない。

防火地域または準防火地域

防火地域又は準防火地域は、建築基準法の規定により、建築物の構造制限等が加えられている。

市街地における火災の危険を防除するため定める地域のこと。

風致地区

都市の風致を維持するため定める地区。

地方公共団体が条例で、都市の風致を維持するために建築物の建築、宅地の造成、木竹の伐採等の行為を規制できる。

その他の地域地区

景観地区 市街地の良好な景観の形成を図るため定めることが
できる地域

緑地保全地域

都市計画区域または準都市計画区域内の緑地

無秩序な市街化の防止、公害、災害の防止のため、適正に保全
する必要があるもの等について定める。

特別緑地保全地域

都市計画区域内の緑地。

無秩序な市街化の防止、公害、災害の防止のため必要な遮断地帯、
緩衝地帯または避難地帯として適切な位置、規模及び形態を有す
るもの等について定める。

生産緑地地区

市街化区域内の一定の要件に該当する農地等について、その保全
を図るため定めることができる地区。

伝統的建造物群
保存地区

伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している
環境を保存するため定める地区。

準都市計画区域について定める地域地区

準都市計画区域内で定められるのは、下記の8つの地域地区に限られる

1)用途地域

2)特別用途地区

3)特定用途制限地域

4)高度地区

5)景観地区

6)風致地区

7)緑地保全地域

8)伝統的建造物群保存地区

準都市計画区域内において定める高度地区は、「建築物の高さ最高限度」を定めるものとされる

「建築物の高さの最低限度」は定めることができない。

宅建過去問解説まとめ:都市計画

序文の過去問題の解説

問題16
3)高度利用地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区である

過去問の解答

(3):誤り

本肢の記述は高度地区に関するものである(都市計画法9条18項)。

高度利用地区とは、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区である(同法9条19項)

(参照:【平成28年 問16項3】過去問解説より)

宅建の科目別の勉強法!カリスマ講師達が教える合格の学習法とは?

テキストを探している人は、【宅建テキスト2021】独学におすすめは?人気の出版社別4シリーズを徹底比較!

過去問攻略が合格の鍵

【宅建】過去問おすすめ勉強法と問題集!私は過去問攻略で1ヶ月で合格した

 

通信講座の費用を安くしたい人は

フォーサイトの教育給付金制度で受講料が20%戻った申請方法と注意点

独学で悩んでいる人は、効率よく宅建対策ができる通信講座もおすすめです。

通信講座「宅建合格のコツがわかる無料の体験講座べスト5」で、宅建試験の攻略ポイントがわかります!

宅建合格者がおすすめの合格率の高い宅建【スタディング:STUDYing】、 宅建【フォーサイト】【ユーキャン】なども見逃せません。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加