今回の宅建士になるための過去問解説は、「契約履行上の規制」についてです。
これは、宅地建物の取引(契約)が成立した場合に履行するルールを決めた法律です。
契約内容を書面に記載し、その内容を当事者間で義務づけたり、宅建業者が速やかに履行するように不当行為を禁止しています。
前回の「契約の締結に付随する規制」と同様に宅建業務で重要です。
ここで前回までの復習を兼ねて問題を解いてみましょう。
問題38 ア
Aが売主を代表して中古マンションの売買契約をした場合において、瑕疵担保責任の履行に関して構ずべき保証保険契約の締結その他の措置について定めがあるときは、Aは、その内容を37条書面に記載しなければならず、当該書面を売主及び買主に交付しなければならない
正しいか誤りか?
上記は平成27年度の宅建士試験で出題されています。
続きは本文で解説していきます!
Contents
書面(契約書)の交付
宅地建物取引士は宅地や建物の売買又は交換に関し、下記の義務があります。
遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない(法37条1項)。
(2項省略)
宅地建物取引業者は、前2項の規定により交付すべき書面を作成したときは、宅地建物取引士をして、当該書面に記名押印をさせなければならない(3項)。
(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)
交付すべき書面の記載事項
【必要的記載事項】
37条書面だけの記載事項 (重要事項35条は無)
1) 当事者の氏名(法人にあってはその名称)・住所
2) 宅地・建物を特定するため必要な表示
3) 既存建物―建物の構造耐力上主要な部分等について、当事者の双方が確認した事項(平成28年法改正)
4) 代金・交換差金の額(消費税額を含む)、その支払の時期・方法
5) 宅地・建物の引渡しの時期
6) 移転登記の申請の時期
【任意的的記載事項】
37条と35条の共通事項、(赤字:35条は無)
7) 代金・交換差金以外の金銭の授受に定めがあるときは、その額、授受の時期・目的
8) 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
9) 損害賠償額の予定・違約金に関する定めがあるときは、その内容
10) 代金・交換差金についての金銭の貸借(ローン)のあっせんに関する定めがあるときは、当該ローンの不成立のときの措置
11) 天災その他の不可抗力による損害の負担(危険負担)に関する定めがあるときは、その内容
12) 瑕疵担保責任について定めがあるときは、その内容
13) 瑕疵担保責任の履行に関して構ずべき保証保険契約の締結その他の措置について定めがあるときは、その内容
14) 宅地・建物に係る租税その他の公課の負担に関する定めがあるときは、その内容
※ 注意:
法令上の制限や私道負担、手付金等の保全措置は重要事項35条の説明対象となるが、37条書面の記載内容ではない。
重要事項の説明義務(法35条)と書面の交付義務(37条)の違い
35条書面は宅建士をして説明させなければならない。
それと異なり、37条書面は、宅建業者に交付義務はあるが、宅建士をして説明させる義務はない。
なお、35条、37条の共通事項でも、上記の表 7)~10)は重要事項として必ず説明しなければならない。
しかし、37条の交付すべき書面には、定めがある場合にのみ記載すれば足りる。
瑕疵担保責任の定め
売買・交換の場合には、瑕疵担保責任の定めは、任意的記載事項であるが、法35条の重要事項の対象とならない。
しかし、契約解除の定めや瑕疵担保責任の履行に関する措置等は法35条、37条の両方の対象となる。
まとめ:宅地業法「契約履行上の規制」解説
法35条と37条の違いは理解できましたか?
序文の問題の解説です。
問題38 ア 正しい
瑕疵担保責任の履行に関して構ずべき保証保険契約の締結その他の措置についての定めがあるときは、その内容を37条書面に記載しなければならず、当該書面を、売主及び買主に交付しなければならない(宅地建物取引業法37条1項11号)
(参照:【平成27年 問38項1】過去問解説より)
瑕疵担保責任や天災その他の不可抗力による(危険負担)などは、重要事項35条には無かったですね。
暗記のポイント「契約履行上の規制」
(1)宅建業者の代理により売買契約が締結された場合、宅建業者は契約成立後、遅滞なく、売主と買主双方に宅建士の記名押印のある契約書面を交付しなければならない。
(2)交付すべき書面は、「必要的記載事項」と「任意的記載事項」の2つ。
(3)貸借は下記の確認事項は記載不要(売買は必要)
・移転登記の申請時期
・金銭の貸借のあっせん等
・瑕疵担保責任の定め
・租税等に関する定め
・既存建物についての双方の確認事項
(4)宅建業者は、①登記、②引渡し、③対価の支払について不当の遅延する行為をしてはならない。
(5)宅建業者と従業員は、廃業後でも秘密保持の義務がある
(6)秘密保持義務を負わない「正当な理由」場合
・法律上陳述義務がある
・告知義務がある
・本人の承諾がある
「37条の書面の交付」は「重要事項説明35条」と同様に最重要事項ですので、必ず覚えてください。
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