今回の宅建試験の直前まとめは、「法令上の制限3」です。
2回目の「法令上の制限2」では、建築基準法、道路、用途制限など過去の出題範囲を中心に宅建試験に出る要点をまとめました。
今回は「国土利用計画法」「農地法」「土地区画整理法」「換地計画・仮換地」「宅地造成等規制法」「その他の法令」などを解説します。
暗記量が多いですが、過去問を解く(アウトプット)と間違った箇所をテキスト等で確認する(インプット)を続けると覚えられます。
国土開発利用法
土地取引の規制措置のこと。「規制区域」「注視区域」「監視区域」の違いをおさえる。
土地売買等の契約とは
許可や届出を要する「土地売買等の契約」とは下記3つの条件を満たす。
・土地に関する権利の移転または設定であること。
・対価の授受を伴うこと。
・契約により行われること
【権利に該当するもの(届出が必要)】
予約完結権、買戻権、土地の所有権、地上権、賃借権、これらの権利取得を目的とする権利
【権利に該当しないもの(届出が不要)】
地役権、永小作権、抵当権、質権等は土地に関する権利に含まれないので該当しない。
対価の授受
贈与、信託の引受けまたは終了等による権利の移転または設定は、対価の授受を伴わないので、「土地売買等の契約」に該当しない。
例外(届出を要しない)
次の面積未満の土地の土地売買等の契約を締結した場合
市街化区域 | 2,000㎡ |
---|---|
市街化区域以外の都市計画区域 ・市街化調整区域 ・区域区分が定められていない都市計画区域 |
5,000㎡ |
都市計画区域外の区域 ・準都市計画区域 ・都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域 |
10,000㎡
|
契約(予約を含む)
契約には、予約のほか停止条件付・解除条件付の契約も含まれる。
また売買に限らず、譲渡担保、代物弁済、交換等の契約も含む。
【事後届出制・事前届出制・許可制のまとめ】
事後届出制 | 事前届出制 | 許可制 | |
適用される区域 | 右の3区いずれにも 該当しない区域 |
注視区域 監視区域 |
規制区域 |
届出(許可申請)時期 | 契約締結後2週間以内 | 契約締結前 | 契約締結前 |
勧告時期 | 届出後3週間以内 | 届出後6週間以内 | 許可申請後 6週間以内 |
勧告内容 | 土地利用目的の変更 | 契約締結の中止、 予定対価の引下げ、 土地利用目的の変更 |
ー |
違反の場合 罰則 |
6ヶ月以下の懲役、 または100万円 以下の罰金 |
6ヶ月以下の懲役、 または100万円 以下の罰金 |
ー |
【注意点】
届出制(事前・事後)では、必要な届出をしなかった場合でも契約は有効。
届出制(事前・事後)において、都道府県知事等の勧告に従わなかった場合、公表されることがあるが、罰則はない。
農地法
農地とは、地目とは関係なしに、土地の現況状態と、継続的状態で判断する。
権利移動・転用の制限
3条許可 | 使う人が変わる 「採草放牧地 → 農地」農地に転用する目的のもの抵当権設定は当たらないが、その競売による取得は当たる。【例外】相続、時効取得、遺産分割、特定遺贈では許可は不要だが、 農業委員会への届出が必要。 |
農業委員会の許可 |
---|---|---|
4条許可 | 使い方が変わる(使う人は同じ) 農地の転用(権利移動は伴わない)* それ以外への転用は許可が必要だが、国または都道府県と等と知事等との協議が成立すれば、許可があったものとみなす。(違反の罰則:3年以下の懲役または300万円以下の罰金) |
都道府県知事の許可 |
5条許可 |
使う人と使い方が変わる・農地の権利移動で転用を目的とする ・採草放牧地の権利移動で、転用を目的とするもの * と(罰則)は4条と同じ |
都道府県知事の許可 |
【ポイント】
・農地法は、権利移動を伴わない採草放牧地の転用については制限していない。
・農地の賃貸借期間は50年以内で設定できる。
・相続による農地の取得については、許可を要しないが(農地法3条1項)、その取得した農地を転用する場合には、許可が必要となる(同法4条1項)
市街化区域内の特例
転用目的で、市街化区域にある農地を取得する場合、あらかじめ農業委員会への届出を行えば、法第5条第1項の許可を受ける必要はない。
【過去問例】
・3条は許可が必要
法3条には、法4条・5条の場合と異なり、市街化区域内の農地を採草放牧地に係る届出の特例はない。
・市街化調整区域は許可が必要
【過去問例】
農業者が、自らの養畜の事業のための畜舎を建設する目的で、市街化調整区域内にある150㎡の農地を購入する場合は、第5条第1項の許可を受ける必要がある。
土地区画整理法
土地区画整理事業とは、都市計画区域内で行われる。
使い勝手の悪い土地について、道路や公園をつくったり、土地の区画を整理して、使いやすい土地にする事業をいう。
【組合施行手続きの流れ】
換地処分
工事の終わった宅地を、前の宅地の所有者に割りあてることが、土地区画整理の目的。
換地処分は、関係権利者に一定事項を通知することで行われ、工事一部残っていてもできる。
換地処分の公告日の終了時に換地を定めなかった従前の宅地上の権利や不要な地役権は消滅する。
また、公告日の翌日には、換地は従前の宅地とみなされる等の効果が発生する。
換地処分の効果
換地計画で 定められた換地 |
・換地処分の公示の翌日から従前の宅地 |
---|---|
・従前の宅地の所有権 ・地役権以外(借地権、抵当権等) |
・権利は公告があった日の終了時に消滅 |
換地計画において換地でない従前の宅地の権利(換地不交付の場合) | ・換地処分の公告日の終了時に消滅。 |
宅地の地役権 |
・換地処分の公告日の翌日以後も、なお従前の宅地上に存する。 <例外> |
清算金 | ・換地処分の公告があった日の翌日に確定 |
保留地 | ・換地処分の公告があった日の翌日 ・施行者が取得 |
仮換地の指定
・組合施行の場合、仮換地の指定には総会の同意が必要。
・所有権は従前の宅地に残り、使用収益権のみが仮換地に移転。
仮換地の指定により、使用収益する者のなくなった従前の宅地については、換地処分の公告のある日まで、施行者が管理する。
・個人の施行者であっても仮換地を定めることができる。
土地を保留地として定める場合
土地区画整理事業の施行者である株式会社を区画整理会社という。
区画整理会社が施行する土地区画整理事業の換地計画においては、土地区画整理事業の施行の費用に充てるため、一定の土地を換地として定めないで、その土地を保留地をして定めることができる。
宅地造成等規制法
・「宅地造成」とは宅地以外の土地を宅地にするため、または宅地において行う土地の区画形質の変更
(宅地を宅地以外にするために行うのは含まない)
届出が必要な工事
切土 | 高さ2mを超える崖を生じる |
---|---|
盛土 | 高さ1mを超える崖を生じる |
切土と盛土を同時 | 高さ2mを超える崖を生じる |
上記に該当しない | 切土または盛土する土地の面積が500㎡を超えるもの |
届出義務者と届出期間
宅地造成工事規制区域内では、宅地造成に関する工事の許可を要しないときでも、一定の行為については都道府県知事への届出が義務づけられている。
届出義務者 | 届出期間 | 届出先 |
---|---|---|
(1)宅地造成工事規制区域の指定の際、その区域内で 宅地造成に関する工事を行っている造成主 (工事に既に着手し「施行中」に指定があったケース) |
指定があった日から 21日以内 |
都道府県知事 (事後) |
(2)宅地造成工事規制区域内の宅地において、 一定の擁壁等の除却工事を行おうとする者 |
工事に着手する日の 14日前までに |
都道府県知事 (事前) |
(3)宅地造成工事規制区域内において、 宅地以外の土地を宅地に転用した者 (宅地造成に関する工事を伴わないときは、 許可を受ける必要はなく、転用後で届出をすれば足りる) |
転用した日から 14日以内 |
都道府県知事 (事後) |
【例外】(2)と(3)の場合
・宅地造成に関する工事の許可を受けた者、変更の許可を受けた者、及び変更の届出をした者は、届出は不要。
届出と許可が不要な場合
・宅地造成工事規制区域外で宅地造成工事をする場合には、宅地造成等規制法上、届出も許可も不要である。
造成宅地防災区域内
「宅地造成工事規制区域内」の土地は除く。
指定の解除
・都道府県知事は、擁壁等の設置又は改造その他宅地造成に伴う災害の防止のため必要な措置を講ずることにより、
造成宅地防災区域の全部又は一部について造成宅地防災区域の指定の事由がなくなったと認めるときは、当該造成宅地防災区域の全部又は一部について指定を解除する
詳しくは参考記事:「過去問解説【法令上の制限】宅地造成等規制法」より
法令上の制限の問題は、どこの法令の部分についての問いか?把握して解くのがコツです。
他にも得点を取りやすい宅建業法についても読んでみてください!
参考記事:「宅建試験の直前まとめ:宅建業法」
独学をめざす人は【宅建独学】におすすめの勉強法を宅建の合格者が考察してみた!」が参考になります。
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