今回の宅建士になるための過去問対策は、前回の「土地区画整理法1」に引き続き「土地区画整理法」の2回目です。
「土地区画整理法」とは、土地を綺麗に区画整理することで街並みの再生をするために施工者、施工のルール等を定める事業法です。
今回は主にその中でも重要な「仮換地」について学習していきます。
ここで平成28年度の宅建士試験の過去問に挑戦してみましょう。
問題21
(1)施行者は、換地処分を行う前において、換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合においては、施行区域内の宅地について仮換地を指定することができる。
正しいか誤りか?
法令上の制限の科目では難しく点が取りにくい問題なので捨てる人もいますが、点が取れるレベルの問題が出題される年もあります。
他の受験生に差をつけるためにも過去問題を中心に最低限のことはおさえておきましょう。
Contents
宅建の仮換地とは?過去問解説【法令上の制限】
「仮換地の指定」とは、事業の施行上必要がある場合に、従前の宅地について代わりに使用収益できる土地を指定すること。
仮換地の指定により、使用収益権は従前の宅地から仮換地に移ることになる。
仮換地の指定
施行者は換地処分を行う前に、下記であれば仮換地を指定することができる。
1)土地の区画形質の変更
2)公共施設の新設・変動に係る工事のため必要がある場合
3)換地計画に基づき換地処分を行う必要がある場合
4)この場合、従前に宅地に地上権、永小作権、賃借権等の使用収益権を有する者がある時は、その仮換地について仮にそれらの権利の目的となるべき宅地またはその部分を指定しなければならない。
指定の通知
仮換地の指定は、その仮換地となるべき土地の所有者及び従前の宅地の所有者へ
上記の1)~4)の事項を通知して行う。
使用収益権を有する者があるときは、これらの者にも通知しなければならない。
・仮換地の位置及び地積・仮換地の指定の効力発生の日
使用収益開始日を別に定める場合
施行者は、その仮換地に使用または収益の障害となる物件が存在するとき、又その他の特別な事情があるとき
その仮換地について使用または収益を開始することができる日を仮換地の指定の効力発生の日とは別に定めることができる。
仮換地の指定の効果
【従前の宅地の所有者・借地権者等】
1) 仮換地の指定の効力発生の日(仮換地の使用収益開始日が別に定められた場合はその日)
から換地処分の公告がある日まで、仮換地につき従前の宅地においてするのと同様の使用収益をすることができ、
2) 仮換地の指定の効力発生の日から換地処分の公告のある日まで、従前の宅地については使用収益することができない。
(従前の土地に処分権は残っている)
【試験のポイント】仮換地の指定の効力発生の日から仮換地の使用収益開始日までの間は、従前の宅地も仮換地も使用収益することができない。
なおこの場合には損失補償がされる。
仮換地の指定により「使用収益権」は、「従前の宅地 → 仮換地」へ移る。
「処分権」は従前の宅地に残る。
したがって、従前の宅地の所有者は、従前の宅地を売却し、従前の宅地に抵当権を設定できる。
【仮換地の所有者・借地権者等】
仮換地の所有者・借地権者(仮換地を権限に基づき使用し、または収益できる者)は、仮換地の指定の効力発生の日(仮換地の使用収益開始日が別に定められた場合はその日)から換地処分の公告がある日まで、当該仮換地を使用収益することができない。
使用収益の停止と仮換地に指定されない土地の管理
施行者は、事業の施行上必要がある場合には、換地を定めないこととされる宅地の所有者に対して、その期日からその宅地の使用収益を停止させることができる。
仮換地の指定または使用収益の停止により、使用収益することができる者のなくなった従前の宅地については、そのなくなった時から換地処分の公告がある日まで、施行者が管理する。
換地処分
換地処分とは、従前の宅地に所有権その他の権利を有する者に対し、従前の宅地に代え、これに照応する土地を割り当て、その土地に従前の権利を帰属される処分をいう。
その割り当てられる土地が換地である。
参照「パーフェクト宅建 基本書より」
換地処分の時期
換地処分は工事が完了した後において遅滞なくしなければならない。
ただし、基準、規約、定款または施行規定に別段の定めがある場合は、工事が完了する前でも換地処分はできる。
換地処分の通知・公告
換地処分は関係権利者に換地計画において定められた関係事項を通知して行う。
換地処分があった場合は、都道府県知事(国土交通大臣が施行者である場合は国土交通大臣)により、その旨の公告(換地処分の公告)が行われる。
換地処分の効果
1)換地計画において 定められた換地 |
・換地処分の公示があった日の翌日から従前の宅地と みなされる |
---|---|
2)従前の宅地の所有権及び地役権以外の権利(借地権、抵当権等) |
・権利は、その公告があった日が終了した時において 消滅する |
3)換地計画において換地を定めていなかった 従前の宅地について存する権利 (換地不交付の場合) |
・換地処分の公告があった日が終了した時において |
4)施行地区内の宅地について存する 地役権 |
・換地処分の公告があった日の翌日以後においても、 なお従前の宅地の上に存する。 ただし、土地区画整理事業の施行により行使する |
5)清算金 | ・換地処分の公告があった日の翌日において確定 |
6)保留地 | ・換地処分の公告があった日の翌日において 施行者が取得する |
土地区画整理事業の施行により設置された公共施設
1)公共施設の管理
設置された公共施設は、換地処分の公告があった日の翌日において、その公共施設が所在する市町村の管理に属する
換地処分に伴う登記等
・施行者は、換地処分の公告があった場合において、施行地区内の土地及び建物について土地区画整理事業の施行により変動があったときは、
遅滞なく変動に係る登記を申請し、または嘱託(しょくたく)しなければならない。
・換地処分の公告があった日後においては、上記の変動に係る登記がされるまでは、他の登記をすることができない。
登記は施行者が一括して行う
【例外】
登記の申請人が、確定日付のある書類により、その公告前に登記原因が生じたことを証明した場合は例外となる。
まとめ「土地区画整理法2」宅建の過去問解説
仮換地は整理できましたか?
整理すれば簡単に解ける問題が多いのではないでしょうか?
序文の問題の解説をみていきましょう。
過去問題の解答と解説
問題21
(1)施行者は、換地処分を行う前において、換地計画に基づき換地処分を行うため必要がある場合においては、施行区域内の宅地について仮換地を指定することができる。
解答:正しい
施行者は、換地処分を行う前において、土地の区画形質の変更若しくは公共施設の新設若しくは変更に係る工事のため必要がある場合又は換地計画について仮換地を指定することができる。
(参照:【平成28年 問21項1】過去問解説より)
「仮換地」と「換地処分」の試験のポイント
【仮換地】
・仮換地の指定により、従前の宅地から仮換地に移るのは「使用収益権」であり、処分権は従前の宅地に残る。
・仮換地の使用収益開始日が別に定められた場合であっても、従前の宅地の所有者等は、仮換地の指定の効力発生の日から従前の宅地の使用収益をすることができなくなる。
【換地処分】
・換地処分の時期 ⇒ 換地計画に係る区域の全部について土地区画整理事業の工事が完了した後。
ただし例外があり。
・【換地処分の効果】
換地処分の公告があった日 の終了時 |
・換地を定めなかった従前の宅地について存する権利が消滅。 ・地役権の消滅(事業の施行により行使する利益がなくなる) |
---|---|
換地処分の公告があった日の翌日 |
・換地が従前の宅地とみなされる ・清算金が確定する ・施行者が保留地を取得する |
・施行地区内の土地・建物の変動に係る登記 → 換地処分の公告後、施行者が申請または嘱託する。
換地処分の公告があった日後は、施行地区内の土地・建物に関しては、変動に係る登記がされるまでは、他の登記をすることができない(ただし、例外がある)。
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