宅建の過去問解説【法令上の制限】土地区画整理法1「施工者と組合・権利の申告・建築の制限」

テスト

今回の宅建士になるための過去問対策は、「法令上の制限」の科目で最も難関の「土地区画整理法」1回目です。

土地区画整理事業とは、不整形な土地や道路付きのよくない地域を、整備改善して宅地の利用を促進する街並み再生の事業のことです。

そして土地区画整理法は、その土地区画整理事業に関し施工者、施工のルール等を定める事業法です。

ここで平成29年度宅建士試験で出題された過去問をみてみましょう。

問題21

(4)組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について借地権のみを有するものは、その組合の組合員とはならない。

正しいか誤りか?

先に解説をみる

農地法に比べれば得点が難しい項目ですが、用語の意味を理解すると解きやすいです。

他の受験生に差をつけられるので、試験まで時間に余裕がある場合は、基礎から理解していきましょう!

宅建の過去問解説【法令上の制限】土地区画整理法1「施工者と組合・権利の申告・建築の制限」

土地区画整理事業とは

「土地区画整理事業」とは、都市計画区域内の土地について、公共施設(道路、公園、広場、河川等)の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため、この法律で定めるところに従って行われる土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業をいう(法2条1項・5項)。

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

事業の流れ

最初は問題文は難しく感じますが、どこの段階であるかを解くと整理されて覚えやすいです。

宅建の過去問解説【法令上の制限】土地区画整理法

土地区画整理法の宅地の定義

土地区画整理法において「宅地」とは、公共施設の用に供されている国または地方公共団体の所有する土地以外の土地をいう。したがって農地や山林もこの法律では、「宅地」になる。

(宅建業法の宅地の定義とは違う)

各地権者との関係

土地区画整理事業では、道路の幅を拡げたり、道路や公園等を申請したり、また、売却して事業費に充てるための保留地を定める。

これらの用地は、「減歩」(従前の宅地の地積を一部減じたうえで換地を定めること)によって生み出される

各地権者にとっては、減歩は無償提供になるが、その代償は、宅地の利用増進による価値の上昇が見返りである。

【試験のポイント】
・土地区画整理事業とは、都市計画区域内においてのみ施工することができ、都市計画区域では施工することができない。

都市計画事業との関係

土地区画整理事業には下記の2つがある

・「都市計画事業であるもの」

・「都市計画事業でないもの」

個人施行者、土地区画整理組合及び区画整理会社はどちらの事業でも施行できるが、

その他施行者は都市計画事業であるものしか施行できない

まとめ:土地区画整理事業の一覧表

・個人施行者

・土地区画整理組合

・区画整理会社

都市計画区域内

(都市計画区域内であれば、どこでも可)

・その他の施行者 市街化区域、または
区域区分が定められていない都市計画区域内

【試験のポイント】
個人施行者・土地区画整理組合・区画整理会社は、市街化調整区域内においても施行することができる。

施行者

土地区画整理事業の施工者として、個人施行者、土地区画整理組合、区画整理会社、地方公共団体(都道府県、市町村)、交通大臣、独立行政法人都市再生機構及び地方住宅供給公社が定められている(法3条、3条の2、3条の3)。

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

個人施行者

1人(「1人施行」という)、または数人で共同して施行すること。

一人施行の場合は、基準又は事業計画を定め、共同施行の場合は規約及び事業計画を定め、

その施行について都道府県知事の認可を受けなければならない。

施行できる者は、宅地について所有権もしくは借地権を有する者、またはこれらの同意を得た者である。

土地区画整理組合

土地区画整理組合に関しての問題は、よく宅建士試験で出題されます。

1)宅地に所有権または借地権を有する者が設立する土地区画整理組合(以下「組合」という)は、一定の区域の土地について、土地区画整理事業を施行することができる。

組合設立には7人以上が必要

共同して定款及び事業計画を定め、都道府県知事の認可を受ける必要がある。

2)組合認可の申請には、宅地所有者及び借地権者のそれぞれの3分の2以上の同意が必要。

この場合、同意した所有者の宅地の地積と同意した借地権者の借地の地積との合計が、その区域内の宅地の総地積と借地の総地積との合計の3分の2以上でなければならない。

未登記の借地権」の場合

その権利を市町村長に申告することにより、同意を得るべき借地権者として扱われる。

3)施行地区内の宅地の所有者及び借地権者は、すべて組合員となる。

ただし、未登記の借地権を有する者は、申告・届出をしないと組合員になれない。

区画整理会社(民間会社)

規準及び事業計画を定め、その施行について都道府県知事の認可を受けなければならない。

上記の組合員と同様の規定があり

・所有者及び借地権者のそれぞれ3分の2以上の同意

未登記借地権の市町村長への申告

その他の施行者

その他の施行者とは、地方公共団体(都道府県、市町村)、国土交通大臣、独立行政法人都市開発再生機構または地方住宅供給公社。

施行規定及び事業計画を定めて都市区画整理事業を施行する。

権利の申告

施行者の正確な調査が困難なため、利用者側からの申告制度が設けられている。

権利の申告

施行地区(個人施行者の施行する土地区画整理事業に係るものを除く)内の宅地の場合。

所有権以外の権利未登記のものを有し、または有することになった者は、書面をもってその権利の種類及び内容を施行者に申告しなければならない。

【権利の変動があった場合】

書面をもってその旨を施行者に届出なければならない。

申告がない場合

個人施行者以外の施工者は、必要な申告(届出)が無い場合は、権利がないものとして、換地計画の決定、仮換地の指定、換地処分等をすることができる。

組合・区画整理会社施行の場合

組合設立の認可の申請または施行認可の申請前に市町村長に対して申告のあった未登記の借地権は、この申告があったものとみなされ、重ねて申告する必要はない。

建築行為等の制限

換地処分の公告がある日まで下記のことを行う場合は、都道府県知事(国土交通大臣が施行者である場合は国土交通大臣)の許可を受けなければならない。

・土地の形質の変更

・建築物その他の工作物の新築・改築・増築

・重量が5トンを超える物件の設置と堆積。

なお、市の区域内において個人施行者、組合もしくは区画整理会社が施行し、または市が施行する土地区画整理事業にあたっては、当該市の長許可を受けなければならない。

【試験のポイント】

土地区画整理事業が始まってから完了するまで(換地処分の公告がある日まで)の制限であり、事業の進行中に仮換地の指定があっても、この制限は解除されない。

換地(かんち)計画とは

換地計画とは、個々の宅地をどのように再配置するかを定める計画であり、換地設計、各筆換地明細のほか、清算金や保留地等もこの換地計画において定められる(法87条1項)。

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

換地照応(かんちしょうおう)の原則

計画で換地を定める場合は、換地及び従前の宅地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境などが照応(従前と同じ機能)するように定めなければならない。

この「換地照応の原則」には、多くの例外がある。

例外)所有者の同意により換地を定めない場合

宅地の所有者の申し出または同意があった場合には、換地計画において、その宅地の全部または一部について換地を定めないこと(換地不交付とすることができる)。

この場合、施行者は、換地を定めない宅地またはその部分について地上権、永小作権、賃借権等の使用収益権を有する者があるときは、換地を定めないことについて同意を得なければならない。

【試験のポイント】

宅地の所有者の申出または同意 ⇒ 換地不交付換地不交付のためには、宅地の「使用収益権者」の同意が必要。

ただし、抵当権者の同意は不要(理由:抵当権は使用収益権ではない)

清算金

換地で不均衡が生ずると認められる場合は、金銭により精算し、換地計画において額を定める。

保留地

換地とは定めない土地で、施行者が取得し、その後第三者に売却処分される土地のこと。

・個人施行者

・土地区画整理組合

・区画整理会社

1)土地区画整理事業の施行の費用に充てるため、

または
2) 基準、規約もしくは定款で定める目的のため、
保留地を定めることができる。

・その他の施行者 土地区画整理事業の施行後の宅地の価格の総額が、
施行前の宅地の価額の総額を超える場合に限り、土地区画整理事業の施行の費用に充てるため
その差額に相当する金額を超えない範囲内で保留地を定めることができる。

宅建士の過去問解説まとめ「土地区画整理法1」

土地区画整理法はいかがでしたか?

特に「換地」など馴染みがない言葉は、最初は難しく感じますが、理解すれば解けるようになります。

また、2年に一度は解けない問題が出題されると言われていますが、得点できる基礎の問題が出題されることもあります。

最初から捨てないで、なるべく学習してください。

過去問題の解答と解説

問題21

(4)組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について借地権のみを有するものは、その組合の組合員とはならない。解答;誤り

組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権または借地権を有するものは、すべてその組合の組合員とする。

(参照:【平成29年 問21項4】過去問解説より)

本文の解説に戻る

【試験に出るポイント】

・土地区画整理事業は、都市計画区域において施行される。

・個人施行者組合及び区画整理会社は、市街化調整区域内においても施行することができる。

・許可権者は、都道府県知事(国土交通大臣が施行者である場合は国土交通大臣、市の区域内において個人施行者、組合もしくは区画整理会社が施行し、または市が施行する土地区画整理事業にあっては、当該市の長)である。

・上記の制限は、換地処分の公告がある日まで有効。

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