今回のシリーズは、宅建試験の過去問解説の全体のまとめです。
宅建試験:直前まとめ【権利関係】では、試験で間違えやすい内容のチェックポイントを解説します。
こんな所が、未だ理解不足だったという確認程度に軽く読んでみてください。
解説する宅建の試験内容の総まとめは、「パーフェクト宅建 基本書」要約のページ「宅建用語」を参照しています。
Contents
【宅建】過去問まとめ:権利関係のポイント
契約上の権利・義務に関する法律知識を勉強する科目です。
かつて「権利関係を制する者は、宅建試験を制する」と言われた通り、合格不合格が左右された科目でしたが、最近では変わってきました。
毎年難解な民法の内容が出題され、勉強しても高得点が取りにくい科目です。
過去の宅建試験に出題された内容で、基礎問題を落とさないことが合格のポイントです。
【試験の得点源にしやすい項目内容】
・意思表示
・代理 (任意代理、法定代理、顕名、復代理、無権代理、表見代理)
・保証債務と連帯債務
・売主の担保責任
・相続
・共有と建物の区分所有法
・借地借家法
制限行為能力者
【未成年者や成年被後見人などの保護者】
・保護者の権限(同意権・代理権・追認権・取消権)
・成年被後見人の権限(代理権はあっても同意権はなし)
【相手方の保護の制度(民法では相手方の立場に一定の保護を与えておく)】
・催告権:1ヶ月以上の期間を定めて追認するか否かを催告
・詐術による取消権の喪失
・法定追認:一定の事実があると、法律上当然に追認
・取消権の消滅時効:追認できる時より5年、行為時から20年
詳しくはこちらから(参考記事:「宅建士の過去問解説:制限行為能力者とは?」)
意思表示
ある法律行為を実現するために、その気持ちを外に向かって表明すること。
無効や取消は善意の第三者にどう影響を及ぼすかの確認が必要。
・表意者:意思表示をした者。
【心理留保】
そのつもりがないのに意思表示をする
相手方が嘘を見抜いた場合(悪意又は有過失)であれば契約は無効にできる。
しかし、善意の第三者には対抗できない。
【虚偽表示】
上記と同じく、第三者は、善意であればよい。(過失や登記の有無は問題にされない)
【錯誤】
表意者のみは無効の主張ができる。
第三者が無効を主張できる場合の条件
・表意者が錯誤を認めているとき
・第三者の債権の保全に必要であること
【詐欺】
詐欺の場合は、取消前か後か?によって「登記」と「無過失」が必要か条件が変わる
・取消前の第三者:善意であればよく、登記や無過失は不要
・取消後の第三者:善悪に関係なく、登記で優劣が決まる。
【強迫】
善意でも悪意でも両方共、取消が可能。
善意の第三者にも主張が可能。詐欺とは違う。
詳しくはこちらから(参考記事:「意思表示:契約という法律行為とは?」)
代理
代理とはB(代理人)が、A(本人)に代わって、C(相手方)と契約を結ぶと、その効果がAとCの間に発生する制度。
宅建試験でよく出題される内容は、代理の有効条件(それを欠く場合の効果も)代理の効果
無権代理の処理の成立条件とその効果などです。
【任意代理と法定代理】
・任意代理:本人が代理権を他人に与える
・法定代理:法律の規定により始める
【自己契約・双方代理】
・自己契約:代理人自身が契約の相手方になる
・双方代理:代理人が当事者双方の代理人になる
債務の履行や本人の承諾があれば、本人に効果が帰属する。
無権代理は、本人の不利益になるおそれがあるので許されない。
【顕名主義】
誰々の代理と告げないといけない。(代理の有効要件の1つ)
顕名しないと、原則としてB個人に契約の効果が生じる。
【復代理】
代理人Bは、業務を遂行できないときに、代わりに代理人Dを専任できる。
このDが復代理。(Bの代理権が消滅するとDの代理権も消滅する)
【無権代理】
無権代理とは、代理権がないのに、勝手に代理人になる行為「A代理B」とやること。
・本人A、無権代理人B、取引相手Cのそれぞれの持つ権利と義務関係
(1)本人A:追認権と追認拒絶権。Bへの追認は、Cが知るまでCに対抗できない。
(2)無権代理人B:履行責任と損害賠償責任、選択権はCにある。制限行為能力者の場合は責任を負わない
(3)取引相手C:催告権(要件不要)、取消権(善意)、Bの責任追及権(善意・無過失)。
催告してAの確答がなければ追認拒絶、取り消せばBへの責任追及はできない。
Bが他の共同相続人Dと2人でAを共同相続した場合、BDが共同して追認しない限り、Bの相続分に相当する部分についても、無権代理は同然に有効にならない。
【表見代理】
本人Aが、Bに白紙の委任状を交付してしまい、Bがそれを悪用して無権代理をすれば、Aに落ち度がある。
そこで、相手方Cが善意・無過失の場合には、有効な代理にしてしまえという制度が「表見代理」。
3つの種類がある
・代理権授与の表示(上記の例)・権限外の小売
・代理権消滅の代理(破産した代理人が、そのまま代理行為を行った場合)
「C:取引相手」は、無権代理と表見代理のどちらを主張してもよい。
「代理」の詳しい解説はこちらから(参考記事:「権利関係の代理とは」)
契約の成立・手付金・条件と期限
宅建業の手付金は解約手付にもなり得る。
契約の成立要件や成立時期についての理解、解約手付の解除ができなくなる場合や履行の着手時期などをおさえる。
「停止条件」と「解除条件」の違い、特に「停止条件」は重要
到達主義と発信主義
意思表示は相手に到達した時に効力が生じることを「到達主義」。郵便受けに入れば、相手が実際に読まなくても「到達」になる。
「発信」された時点で効力が生じることを「発信主義」。
返事が郵便時効で遅延しても「発信」時に契約は成立してしまう。
解約手付の解除のできる時期
・「解約」は相手方が履行に着手する前に行う必要がある。
・売主側が解除する場合:倍額償還で解除は、倍額を現実に提供する必要がある(倍返し)。
停止条件と解除条件
・停止条件:条件成就までは、契約の効果が停止すること。(例:試験に合格すれば車を買ってやる。これは試験に合格しない限りは生じない約束)
・解除条件:条件成就により、発生していた効力が消滅する。
「契約の成立・手付金・条件と期限」の詳しい解説はこちらから(参考記事:「契約の成立条件とは」
売買・売主の担保責任・買戻しの特約
売主の担保責任の態様と内容について整理しておいて下さい。
特に買主が悪意の場合にも認められている責任追及権が重要。
同時履行の抗弁権
「商品を渡してくれなければ、代金は払わない。」と主張できる権利。
この抗弁権を主張している限り、履行期を過ぎても債務不履行にはならない。抗弁中の不履行は違法ではない。
【抗弁権を主張できない場合】
・抵当権の抹消と弁済・敷金の返還と家屋の明け渡し
・造作買取請求権と建物の明け渡し
売主の担保責任
売主が買主に対して負う責任。(無過失責任で必ず負わないといけない)
【内容】
・代金減額請求
・損害賠償請求権
・解除権
・修補請求権はなし
瑕疵担保責任
【民法と宅建業法では期間が変わる】
民法では瑕疵を知った時から1年以内
宅建業法上では、買主が業者でない場合は、瑕疵を知った時から2年以内
・損害賠償請求権は、引き渡しから10年で時効により消滅する。
(債権の消滅の時効も10年間と同じ)
担保物件一般・質権
・各担保物件の意義とその有する性質(物上代位性など)をまとめておきましょう。
・留置権は、借地借家法の建物買取請求権などとの関連に注意が必要。
・不動産の先取特権については、「保存・工事」の先取り特権の特殊性を理解しよう。
・質権では、要物契約であること。
不動産質権の使用収益権、債権質権の直接取立権について確認。
物上保証人
自己所有の物的担保(土地や建物)を差し出してくれる人を物上保証人という。
保証債務や連帯債務などは、人的担保(保証)になる。
主たる債務者が借金を返さないと、自分の不動産を競売される立場の人
質 権
債権者が、担保として債権者の物を弁済まで預かり、弁済されないときは、その物を売り飛ばして債権を回収できる権利。
不動産質権では、質権者が使用収益できるが、管理費を負担し、また利息も請求できない。
効力は最長10年となっている要物契約。
なお、債権質は、設定者に代わって直接取り立てができる。
他に「担保物件一般・質権」の詳しい解説はこちらから(参考記事:「宅建士の過去問解説:【権利関係】担保物権一般・質権。貸し倒れを防ぐ方法とは?!」
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※ 権利関係の続きは 次の「直前まとめ権利関係2」に続きます!