今回の宅建士になるための過去問解説は、「法令上の制限」である「開発許可制度」についてです。
都市計画法では、無秩序な市街化や乱開発を防止し、良好な環境の市街地整備を目的として、開発許可制度を設けています。
この箇所は「都市計画法」の中では、特に重要な項目で試験に毎年出題されています。
平成29年度の宅建士試験で出題された「開発許可制度」の問題です。
問題17
誤りか正しいか?
1)準都市計画区域内において、工場の建築のように供する目的で1,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。
2)市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で、1,000㎡の土地の区画形質の変更を行おうとする者は、あらかじめ、都道府県知事の許可を受けなければならない。
本文では、出題される箇所を解説していますので、整理して覚えていきましょう!
Contents
開発行為とは
開発行為とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいう(法4条12項)
(参照:「パーフェクト宅建基本書」 より)
あくまでも建築物の建築または、特定工作物の建設の目的で行う土地の区画形質の変更が「開発行為」に該当する。
他の目的、(例:青空駐車場を作る)などの目的で行う土地の区画形質の変更は、開発行為に該当しない。
建築物・特定工作物
「建築物」とは建築基準法2条1号で定める建築物のこと。
「特定工作物」は2種類あり、重要なので覚えましょう!
第1種
|
・コンクリートプラント(製造施設) |
---|---|
第2種 |
・ゴルフ場 ・1ha(10,000㎡)以上の運動・レジャー施設 ・1ha(10,000㎡)以上の墓園 (1ha以下の面積は、工作物に該当しない) |
・市街化調整区域内では、一定規模未満の開発行為を許可不要とする規定はない。
(全て許可必要)
土地の区画性質の変更
・「区画」の変更:区画の統合・分割等区画の物理的な変更
・「形状」の変更:切土・盛土等の造成工事
・「性質」の変更:農地等から宅地への変更など
開発行為の許可
開発行為をしようとする者は、あらかじめ、都道府県知事(指定都市、又は中核市で知事がいない区域内は、それぞれの市長)の許可を受けなければならない。
都市計画区域の内外を問わず、全国に及ぶ。
開発許可の適用除外等(許可が不要)
開発許可を要しない開発行為
【規模】
・市街化区域 |
1,000㎡未満 |
---|---|
・区分区域が定められていない都市計画区域 ・準都市計画区域 |
3,000㎡未満 |
・都市計画区域及び準都市計画区域外の区域 |
1ha未満 |
【市街化区域以外の区域内】
・農業・漁業 林業の用に供する一定の建築物
これらの業務を営む者の居住用建築物
【公共建築物】
・駅舎 その他の鉄道施設、公民館、変電所
その他、上記に類する公共上必要な一定の建築物
【事業の施行】
・都市計画事業の施行
・土地区画整理事業
・市街地再開発事業
・住宅街区整備事業または防災街区整備事業の施行
非常災害のため必要な応急措置
国等の特例
公共(国または都道府県、指定都市等)が開発行為をする場合は、建築物・特定工作物の開発行為が許可不要になる。
その他の開発行為については、協議が成立することをもって、開発許可があったものとみなされる。
公共とは:国または都道府県、指定都市等、もしくは事務処理市町村(以下、「都道府県等」という)
開発許可の申請手続き
公共施設の管理者の同意
1)開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。
2)開発行為又は開発行為に関する工事により設置される公共施設を管理することとなる者と協議しなければならない。
ポイント
・既存の公共施設の管理者の同意
・新設される公共施設を管理することとなる者と協議
3)開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、関係権利者の相当数の同意を得ておく必要がある(全員ではない)
申請書の提出
【申請書の記載事項】
1)開発区域の位置、区域及び規模
2)開発区域内において予定される建築物または特定工作物(予定建築物等)の用途
3)開発行為に関する設計
4)工事施行者
5)その他一定の事項
この申請書には、下記を添付しなければならない。
・同意を得たことを証する書面
・協議の経過を示す書面
・相当数の同意を得たことを証する書面等
設計者の資格
1ha以上の規模の開発行為
一定の資格を有する者が作成しなければならない
【宅建】過去問解説まとめ:開発許可制度
本文の解説はいかがでしたか?
開発許可制度も覚えることが多いので、流れを把握すると覚えやすいです。
序文の問題の解説です。
1)誤り。
準都市計画区域内で開発許可が必要なのは、開発行為の規模が3,000㎡以上の場合である。
1,000㎡では、開発許可の必要な面積に達していない。
2)正しい
市街化調整区域、区域区分が定められていない都市計画区域又は準都市計画区域内で行う開発行為で、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行うものについては開発許可は不要である。
しかし、市街化区域内では、開発行為の規模が1,000㎡以上であれば、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為についても、開発許可を受けなければならない。
(参照:【平成29年 問17項1、2】過去問解説より)
市街化調整区域か市街化地域の違いに注意してください。
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