今回の宅建士になるための宅建業法の過去問対策は、「免許制度:免許の基準と条件」です。
免許がないと宅建業が行えず、特に欠格要件の理解は重要です。
「免許制度」は宅建士の試験で毎年、常連の問題です。
その中でも「免許の基準」は、過去10年間のうち、5回以上、出題されています。
ここで、平成27年度の試験問題です。
H社の取締役Iが、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員に該当することが判明し、宅地建物取引業法第66条第1項3号の規定に該当することにより、H社の免許は取り消された。
その後、Iは退任したが、当該取消しの日から5年を経過しなければ、H社は免許を受け取ることができない。
正しいか誤りか?
宅建業を営む事務所が、もし不正行為をする暴力団員を雇っていれば、宅建免許は取り消しになります。
問題は、その後、一度でも暴力団がらみで、免許が取り消されると復権する機会が、いつ与えられるかどうか?です。
答えの続きは本文でみていきましょう!
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Contents
宅建業の免許の基準とは
宅建業を営もうとする場合は、国土交通大臣または都道府県知事に免許を申請しなければなりません。
そして、免許を受ける条件は、免許の欠格要件に該当しないことです。
宅建業の欠格要件とは
欠格要件には「形式的欠格要件」と「実質的欠格要件」の2つがあります。
形式的欠格要件
単なる書類上のミスです。
申請書や添付書類について、重要事項に記載漏れや虚偽がある場合です。
実質的欠格要件
よく試験にでるのはこちらです。
合計14項目ありますが、試験に特に出題される項目だけを紹介します。
申請者本人の欠格要件の場合
1)成年被後見人、被保佐人・破産者ので復権を得ないもの(補助人は関係ない)
2)免許を取り消され、その取消し日から5年を経過しない者
3)解散、廃止届出をして処分を免れた者で、届出の日から5年を経過しないもの
4)上記の法人の公示前60日以内に役員であった者
その消滅または届出の日から5年を経過しないもの
5)禁固以上の刑に処せられて、その刑執行が終わる、また刑の執行を受けることがなくなった日から5年間を経過しない者
6)宅建業法、暴力団員による不当な行為防止等の法律の規定に違反
刑の執行を終わり、また受けない日から5年を経過しない者
7)免許の申請前5年以内に宅建業に関し、不正または著しく不当な行為をした人
本人以外(法定代理人や政令使用人)の欠格要件の場合
・宅建業に係る営業に関し、成年と同一の行為能力を有していない未成年者で、その法定代理人が上記の事由に該当する場合
・法人で、その役員または政令で定める使用人が、上記に該当する場合
・事務所に法定数の選任の宅地建物取引士をおいていない者
成年者と同一の行為能力を有さない未成年者の場合は、法定代理人(法人の場合は役員も含む)が、欠格要件に該当すると、免許が受けられません。
免許取消し後に5年間は受けられない場合
5年間免許を受けることができないのは、下記の場合です。
法66条1項8号から9号に該当する場合
・不正の手段により宅建業の免許を受けたとき
・業務停止事由に該当し、情状が特に重い場合
・業務停止処分に違反して、宅建業をおこなったとき
(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)
成年被後見人、被保佐人・破産者で復権を得ない場合:いつから免許を受けられるか?
成年被後見人・被保佐人は、下記の場合は、翌日から免許を受け取ることができます。
・後見開始・保佐開始の審判が取り消された時、・また破産者が復権を得たとき
未成年と被補助人は欠格要件に該当しないので注意してください。
未成年者の扱い
未成年の扱いは「婚姻した者」「営業許可を受けた者」「単なる者」の3者二分類できます。
【免許と登録 ― 未成年者等の扱い】 ○・・可、×・・不可
免許 | 登録 | 専任の取引士 | |
成年者 | 〇 | 〇 | 〇 |
婚姻した未成年者 | 〇 | 〇 | 〇 |
営業許可を受けた未成年者 | 〇 | 〇 | ×(※) |
単なる未成年者 |
〇 (法定代理人も審査される) |
× | × |
※ 成年者である専任の宅地建物取引士とみなされる者
婚姻している者、個人である宅建業者又は法人である宅建業者の役員が宅地建物取引士である場合。
自ら宅建業を営み、又は宅建業者の役員であるときは、営業許可を受けた未成年者である宅地建物取引士でも、成年者である専任の宅地建物取引士として扱われます。
法律違反を犯し、罰金の刑になった場合
刑法犯罪(傷害罪、暴行罪、背任罪など)の違反は、罰金の刑に処せられると欠格要件になり、5年間免許が受けられません。
しかし、それ以外の法律違反は、禁錮刑以上でなければ、欠格要件にはなりません。
よって道路交通法違反などは、該当しません。
上訴中(控訴・上告)の者は、免許が受けられるか?
刑に処せられていない限りは欠格要件に該当しません。
上訴中であれば、免許を受けることができますが、禁錮刑以上の刑が確定すれば、免許が取り消される場合があります。
恩赦(大赦、特赦)の者は免許が受けられるか?
この場合は、刑の言渡しが効力を失います。
結果的にはけいに処せられなかったことになるので、翌日から免許を受けることができます。
しかし、刑の執行猶予期間中は、免許を受けることができません。
また恩赦の中の減刑、刑の執行の免除、復権については、5年間を経過しなければ、免許を受けることができません。
免許の条件
免許権者(国土交通大臣または、都道府県知事)は、免許(免許の更新も含む)に条件を付けて、またこれを変更することもできます。
免許権者の立場は強く、例えば、下記のような条件がつけられます。
・暴力団員を社員にせず、暴力団の支配下に入らないこと
宅建過去問まとめ:免許基準・免許条件
欠格要件や取消し後の条件などの内容は、いかがでしたか?
覚えることが多いですが、共通事項を整理すれば、楽に覚えられます。
例)免許取消し、廃止解散の届出、刑に処せられた場合は「なくなった日から5年間」、5年の共通の数字を覚えましょう。
序文の問題、答えは誤りです。
宅建業の免許取消後、5年間は免許を受けられないの3つの場合を思い出してください。
・不正手段により宅建業の免許を受けたとき、
・業務停止事由に該当し、情状が特に思いとき、
・業務停止違反処分に違反して宅建業を行ったとき
それ以外であれば、5年を経過しなくても免許を受けることができます。
H社は、役員および政令で定める使用人に免許欠格要件に該当する者がいなければ免許を受けられる。
(参照:【平成27年 問27項4】過去問解説より)
暴力団員の社員が、会社からいなくなれば、すぐに免許は復権できます。
宅建士試験には、下記のポイントも出題されるので、覚えて下さい。
・成年被後見人・被保佐人・破産者のときは、5年の経過期間がない。
・傷害罪でも過失になる場合は該当しない。
・行為能力を有しない未成年者は、本人ではなく、法定代理人の欠格要件の有無によって可否がきまる。
・宅建業者が、免許の条件に違反した場合には、免許権者は、当該宅建業者の免許を取り消すことができる(任意的免許取消事由)
特に欠格要件はよく出題されるので、必ずおさえてください!
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