前回の宅建試験:直前まとめ【権利関係1】では、
「制限行為能力者」、「意思表示」、「代理」、「契約の成立・手付金・条件と期限」、「売買・売主の担保責任」
上記の宅建試験でよく出る内容のポイントについて解説しました。
今回の「権利関係2」では続きの項目の試験内容のまとめを解説していきます。
Contents
【宅建】過去問まとめ:債務不履行・契約解除・危険負担
金銭債務の特殊性を整理しておきましょう。
特に契約を解除する方法とその効果は重要です。
危険負担と債務不履行の区別、債権者主義・債務者主義を理解しましょう。
債務不履行
債務者が約束の行為を行わないこと。
ただし債務者に責任(故意・過失)があり、その約束違反が違法でなければならない。
違法でなければ債務不履行ではない。(例、同時履行の抗弁権を主張している場合など)
履行遅滞
約束の期日に履行しないこと。
不確定期限付き債務は、債務者が期限の到来(例・人の死亡)を知った時から遅滞となる。
不法行為に基づく損害賠償債務は、損害発生時から履行遅滞となる。
履行不能
債権の成立後に、債務者の責任で履行が不能になったこと。
売主の火の不始末が原因で建物が焼失した場合や二重譲渡で、もう一方の買主に登記を移転した場合など。
火で焼失した場合は、催告なしで直ちに解除できる。理由は催告しても、燃えた建物が復活するわけではないからである。
【契約締結上の過失】
もし、契約時にすでに建物が焼失していれば、契約は不成立で履行不能の問題ではない。
契約締結上の過失になり、過失のある当事者は信頼利益を賠償しなければならない。
債権者代位権
債務者(B)が第三者(C)に対して有する権利を、債権者(A)がBに代わって行使する権利。
【行使の要件】
・A(債権者)の債権保全に必要であること
・B(債務者)の一身に専属する権利でないこと
・A(債権者)の債権が弁済期にあること
・B(債務者)が自ら権利の行使をしていないこと
解 除
相手方の約束違反(債務不履行)などを理由に、さかのぼって契約を消滅させる制度。
解除できる権利を解除権という。
契約は解除するまでは有効だが、解除すると初めからなかったことになる(遡及効という)。
その結果、お互いに元の状態に戻す義務(現状回復義務)を負う。
受領された金銭には、受領時からの利息をつける。
解除前の第三者(登記を具備した)は保護される。
解除不可分の原則
契約の当事者が複数いる場合、解除は、全員から全員に対して行う。
誰かの解除権が消滅(放棄など)すると、他の者も解約できなくなる。
危険負担
危険負担の内容は、最近の宅建試験では単独で出題される事は、ほとんど無いですが、民法の考え方を知っておく必要があります。
売買契約の成立後で、引き渡し前までに、売主に責任のない事情(自然災害など)により、建物が滅失・損傷した場合等の買主の支払い義務について
基本的な民法の考え方では「買主は代金の金額を払う(債権者主義)」。
もし滅失などにより、売主が出費を免れた場合には(売主が内装工事をせずに済んだなど)、買主は、その工事費の償還を請求できる(代償請求)。
債権譲渡・弁済・相殺その他の債権消滅原因
債権譲渡は、対応要件と判例(二重譲渡の処理)をおさえましょう。
弁済は、第三者の弁済や債権の準占有者に対する弁済を整理しておこう。
相殺は、相殺適状を理解したうえで、支払期日や時効消滅の関係など。
以上、上記の内容が、宅建試験に特に出題されます。
債権譲渡
Aが、Bに対して有する債権を、同一性を保持したまま、Cに移転する契約を債権譲渡という。
・保証なども随伴性によりCに移転する
・譲渡禁止特約付き指名債権 ー 重過失のある買主は取得できない。
・「債務引受」については、民法に規定はない。
弁済と第三者の弁済
債務者が、約束を実現(借金の支払など)することで、その結果、債権は消滅することを弁済という。
「弁済の提供」は、原則として現実の提供(相手が受け取れる状態にすること)が必要であり、口頭の提供では足りない。
【第三者の弁済】
債務者以外の者が弁済することを「第三者の弁済」という。
第三者にも、法律上の利害関係を持つ者と持たない者(単なる身内)があるが、法律上の利害関係を持つ者のみ、債務者の意思に反して弁済はできる。(持たない者はできない)
相 殺
互いに金銭の貸し借りをしている者同士が、対等額でチャラにすること。
「自働債権」:相殺を主張するAが、相手方Bに対して持っている債権
「受働債権」:反対にBがAに対して持っている債権
弁済期の到来、時効消滅した債権、不法行為絡みと論点が多い。
「加害者」からは相殺はできない。被害者側からは相殺ができる。
保証債務・連帯債務
保証債務では付従性が重要。また、保証と連帯保証の違いの内容も宅建試験に出題される。
連帯債務では、絶対的効力事由の種類と内容が重要。
保証人は、原則として制限行為能力者でもOKであり、契約は自由にできる。
付従性
主たる債権がなければ保証債務も成立せず、主たる債務が消滅すれば、保証債務も消滅するという性質。債務の承認で主たる債務者の時効が中断すると、保証人の時効も中断する。
付従性により保証人は、主たる債務者の反対債権で相殺できる。
随伴性
債権者が、債権を他人に譲渡すれば、保証債務もそれに伴って移転する性質。
譲受人は、主債務とともに保証債務も取得できる。
補充性
保証債務は、主たる債務に対して二次的な地位にあり、主たる債務者が履行しないときに、履行すればよいとする性質。
【内容】
「催告の抗弁権」:主たる債務者(本人)へ先に請求してくれと主張できる権利。
「検索の抗弁権」:主たる債務者の財産から先に執行してくれと主張できる権利。
連帯保証人には、この2つの「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」も分別の利益もない。
分別の利益とは
保証人が複数(3人)いる場合(共同保証)、主債務の額(90万円)は保証人に平等に分割され、保証人は、その分割額(30万円)についてだけ保証債務を負担すればよいというもの。
連帯保証人には分別の利益がない。(請求されれば全額の90万円を支払う必要があり)
連帯保証
保証人が、主たる債務者と連帯して保証債務を負う内容の保証をいう。
【普通の保証と異なる点】
・補充性(「催告の抗弁権」と「検索の抗弁権」)がない。
・分別の利益がない。
・連帯保証人への履行請求や混同は、主たる債務者にも効力を及ぼす(絶対効力)
・連帯保証人への請求で、主たる債務者の債務が時効中断する。
・連帯保証人への債務の免除は、主たる債務者の債務に影響しない。
連帯債務
複数の債務者が、同一の債務を連帯して負担すること。
債権者は、どの債務者に対しても、全額を請求できる。
誰かが払うと、他の連帯債務者へ負担部分(内部的な負担額)だけ求償できる。
債務の承認や時効利益の放棄は相対的効力。
絶対的効力事由(暗記要)
セ(請求)コ(更改)ソ(相殺)メ(免除)コン(混同)ジ(時効)
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