今回の宅建士になるための過去問解説は「都市計画の内容1」についてです。
前回の記事「都市計画区域・準都市計画区域・計画都市」が指定されると、その都市計画区域・準都市計画区域ごとに必要な都市計画が算定されます。
都市計画とは、いわば「総合的な街づくりの計画」であり、11種類あります。(参考記事:「都市計画」)
ここでは、その11種類の「都市計画の内容」のなかに含まれる「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」「区域区分」「地域地区」について具体的に解説します。
平成28年度に出題された過去問題に挑戦してみましょう。
問題16
(1)市街地開発事業等予定区域に係る市街地開発事業又は都市施設に関する都市計画には、施行予定者をも定めなければならない。
正しいか誤りか?
「都市計画の内容」は、宅建士試験の過去10年間、ほぼ毎年出題されています。
本文で試験に出題されるポイントを中心におさえていきましょう!
Contents
宅建の過去問解説:都市計画のポイント
都市計画区域の「整備、開発及び保全の方針」「区域区分」「地域地区」を以下、整理していきます。
都市計画区域の整備、開発及び保全の方針
都市計画法は、計画的な街づくりを進めるための基本法である。
その仕組み作りに都市計画を算定し、必要な施設の整備に関する事業や市街地の開発事業(都市計画事業)を実施する。
都市計画区域全域を対象として都市計画の基本的な方針を定めるもの
都市計画法の目的と概略
都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もって国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする
(参照:パーフェクト宅建 基本書 より)
(都市計画マスタープラン)は、都市計画区域全域を対象として、都道府県が、一市町村を超える広域的見地から都市計画の基本的な方針を定めるもの
都市計画区域について定められる都市計画(区域外都市施設に関するものを含む)は、当該都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に即したものでなければならない。
区域区分
都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、必要に応じ都市計画区域を下記の2つに区分(「区域区分」)することができる。
・市街化区域
・市街化調整区域
必要に応じ「市街化区域」と「市街化調整区域」とに区分(通称:「線引き」)しなければならない。
「線引き都市計画区域」:区域区分が定められている都市計画区域
「非線引き都市計画区域」:区域区分が定められていない都市計画区域
市街化区域 |
既に市街地を形成している区域及びおおむね10年 以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域。 |
---|---|
市街化調整区域 | 市街化を抑制すべき区域。 |
【試験のポイント】
指定都市の区域の一部を含む都市計画区域であって、その区域内の人口が50万未満であるものについては、区域区分を定めなくてよい(都市計画法施行令3条)。
この区域区分を行うかどうかは、原則として都市計画の決定者である都道府県にゆだねられているが、次の都市計画区域については、この区域区分が義務づけられている
区域区分が義務づけられる地域
(1)下記を含む都市計画区域
・「首都圏整備法」に規定する「既成市街地」または「近郊整備地帯」
・「近畿圏整備法」に規定する「既成市街地」または「近郊整備地帯」
・「中部圏開発整備法」に規定する「都市整備地帯」
(2)指定都市の区域の全部または一部を含む都市計画区域
(区域内の人口が50万未満であるものを除く)
【試験のポイント】
区域区分は、必ずしも全ての都市計画区域に定める必要はない。
・一定の大都市等に係る都市計画区域・・・義務づけ
・その他の都市計画区域・・・選択制
日本の国土区分
【国土】
都市計画区域 |
区域区分あり |
・市街化区域 ・市街化調整区域 |
---|---|---|
都市計画区域 | 区域区分なし |
・区域区分が定められていない 都市計画区域(線引き都市計画区域) |
・準都市計画区域
・都市計画区域及び準都市計画区域外の区域
都市再開発方針等
都市計画区域について定められる(指定都市の区域においては、指定都市が定める)都市計画(区域外都市施設に関するものを含む)は、都市再開発方針等に即したものでなければならない。
(参照:パーフェクト宅建 基本書 より)地域
地域地区
都市における土地利用を計画的に実現するため、用途地域をはじめ各種の地域・地区・街区を定めるもの
一定の「地域地区」や「準都市計画区域」についても定めることができる。
地域地区に関する都市計画が定められると、建築物の用途・形態・構造等に関して、建築基準法等に基づく制限が働くことになる。
【都市計画区域について定める主な地域地区】
・用途地域
・特別用途地区
・特定用途制限地域
・特例容積率適用地区
・高層住居誘導地区
・高度地区又は高度利用地区
・特定街区
・防火地域又は準防火地域
・風致地区
・臨港地区
【試験のポイント】
市街化区域・・・必ず用途地域が定められる市街化調整区域・・・原則として用途地域は定められない
下記2つの都市計画は、その都市計画の決定後、一定の手続きを経て「都市計画事業」が施行され、その内容が実現。
「地区計画等」
比較的狭い地区を対象とした個性ある街づくりのための土地地用に関する計画。
地区の実情に合うきめ細かい規制等を行うことが内容。
「都市施設」
道路や公園等都市の骨格となる施設の整備
「市街化開発事業」土地区画整備事業等の開発整備事業の実施
まとめ:過去問題の解説「都市計画の内容1」
「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」「区域区分」「地域地区」は理解できましたか?
序文の問題の解説
問題16
(1)市街地開発事業等予定区域に係る市街地開発事業又は都市施設に関する都市計画には、施行予定者をも定めなければならない。
過去問の解答
(1):正しい
市街地開発事業等予定区域に係る市街地開発事業又は都市施設に関する都市計画には、施行予定者を定めなければならない。
なお、その施行予定者は、市街地開発事業等予定区域に関する都市計画に定められた施行予定者でなければならない。
(参照:【平成28年 問16項1】過去問解説より)
他にも下記の「区域区分」の要点は、必ず覚えてください。
(1)区域区分は、一定の大都市等に係る都市計画区域では義務付け、その他の都市計画区域では選択制である。
(2)市街化区域 ー 「すでに市街地を形成している区域」及び「おおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」
(3)市街化調整区域 ー 「市街化を抑制すべき区域」
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引き続き「都市計画の内容2」を読んでみてください!