前回の「不動産登記1」に引き続き、今回の宅建士になるための権利関係の過去問解説は「不動産登記」の2回目を解説します。
前回の「不動産登記1」の登記簿の構成表題部、権利部の甲区、乙区を覚えていますか?
新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、所有権の保存の登記を申請しなければならない。
正解か誤りか?
所有者は、1ヶ月以内の登記申請が必要なのでしょうか?
また、登記手続きはどのように行うのか?
答えのヒントを本文で解説します。
毎年、必ず不動産登記は、宅建士試験の14問目に出題されるので、対策をして絶対に1点を取って下さい!
宅建過去問解説:登記手続き
登記手続きは、申請情報と添付情報の2つを法務局へ提出します。
添付情報とは、申請情報の内容を証明するために提供する情報のことです。
登記は、当事者の申請または官公署の嘱託によって、はじめてされるのが原則であるが、一定の場合には登記官の職権でされることもある。
(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)
共同申請主義
法令に格別の定めがない限りは、権利に関する登記の申請は、登記権利者と登記義務者が共同して行う必要があります。
これは実体関係とは一致しない虚偽の登記が片方でされるのを防ぐためです。
【登記権利者・登録義務者の例】
登記の種類 | 登記権利者 | 登記義務者 |
---|---|---|
売買による所有権移転登記 |
買 主 |
売 主 |
地役権設定登記 |
地役権者 |
地役権設定者 |
抵当権設定登記 | 抵当権者 | 抵当権設定者 |
共同申請の例外
下記は単独で申請することが認められています。
・判決による登記
・相続登記
・合併による登記
・所有権保存登記
「単独申請」は、登記義務者が「協力しない」、または「いない」場合に行います。
判決による登記
登記義務者が登記申請に協力しない場合は、登記権利者は登記義務者に対して裁判が起こせます。
そして権利者が裁判で勝つと、判決により単独で登記申請ができます。
裁判で言い渡しはされているが、確定しない段階の確認の判決の場合はできません。
「判決」とは、判決主文中で登記手続きを命ずる給付判決で、しかも確定した判決でなければなりません。
相続登記
相続による登記は、本来、登記義務者になる被相続人が死亡していることから、登記権利者である相続人が、単独で登記を申請することができます
登記名義人の表示の変更または更正の登記
登記義務者が存在しない場合です。
また申請に際し、表示(住所、氏名等)の変更または更正を証する書面(住民票等)を登記原因証明情報として提供するため、単独で登記申請をすることができます。
登記申請義務
表示に関する登記のうちの表題登記とは、表題部が作成され、不動産について申請をした時に、最初にされる登記のことです。
表示に関する登記は、原則として登記官が職権で行うことができます。
ただし所有者に申請義務が課せられている場合があります。
なお、申請義務がある所有者が、一カ月以内に登記を申請しない場合は、10万円以下の過料に処せられます。
土地について申請義務が課せられている場合
・新たに生じた土地または表題登記がない土地の所有権を取得したとき → 表題登記
・地目または地積に変更があったとき → 表題の変更登記
・土地が滅失したとき → 滅失登記
建物に申請義務が課せられている場合
建物を新築したとき → 表題登記
複数の建物が合体して一個の建物となったとき → 合体登記
建物の所在、種類、構造または床面積等に変更があったとき → 変更登記
建物が滅失したとき → 滅失登記
権利に関する登記
所有権や抵当権など権利に関する登記については、不動産登記上、申請義務は課せられていないです。
義務が課せられていた表題部とは違うので、注意してください。
所有権移転登記の場合
登記義務者(売主)は登記権利者(買主)に対して登記申請に協力する義務を負います。
よく出てくる登記義務者と登記権利者は、わかりますか?
もう一度、おさえましましょう!
登記義務者とは:不動産売買の売主
登記権利者とは:不動産売買の買主(登記により権利を得る者)
所有者が複数いる場合の「保存行為」
共有で所有され、所有者が複数いる場合でも、表示に関する登記のうち申請義務がある登記については、共有者の1人から申請することができます。
申請の方法
オンラインで申請情報を送信する方法は、認められています。
また、申請の際に書類の不備があったときは、登記官は申請を却下しなければなりません。
しかし、申請人が後から相当期間内に補正(正しい形式に修正する)する場合は、登記することができます。
代理権の消滅、双方代理に関する特則
登記の申請は、代理人によることも認められています。
本人の死亡でも代理権は消滅しません。
双方代理
登記申請の代理人は、登記権利者及び登記義務者の双方の代理になることができます。
宅建過去問解説:表示に関する登記
土地と建物で登記できないものは、なんでしょうか?
【土地】
表示に関する登記ができる土地とは、私権の目的となり得る地表の一部である
(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)
私人の所有物である池沼やため池などは、表示の登記ができます。
しかし、海面の下の土地などは、個人の所有物ではないので、登記することはできません。
【建物】
表示に関する登記ができる建物とは、屋根及び壁等により周囲から遮断され、土地に定着した建築物である。
(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)
* 土地に定着していない、移動式のプレハブや切符売り場などは登記できません。
土地に関する登記
土地の表示に関する登記を申請ができるのは、
・表題部に所有者として記録されている者(=表題部所有者)
・所有権の登記名義人
それ以外の地上権者などは、申請人にはなれません。
職権で登記ができない表示
建物の分割・区分・合併の登記については、登記官が職権で登記することは許されていません。
建物所有者の意思によってされるべきものと定められています。
宅建過去問解説:合筆の登記
合筆の登記の申請には、所有者本人の確認のため、合筆前のいずれか1筆の土地の所有権の登記名義人と登録識別情報の提供を要します。
合筆は、権利の内容が、まったく同じことが原則です。
【合筆の登記できない土地の例(重要)】
・接続していない土地
・地目または地番区域を異にする土地
・所有権の登記のある土地と所有権登記のない土地
(* 所有権の登記のない土地とは:表題部のみの土地)
・「所有権の登記」以外の「権利の登記(乙区の抵当権など)」がある土地
・承役地の登記がある場合
分筆の登記
分筆とは、合筆とは逆に、土地の登記簿上一筆の土地を複数の土地(数筆)に分けて登記することをいいます。
抵当権設定登記のある土地の分筆の登記を申請する場合でも、原則として抵当権者の承諾は必要なく、登記官は、共同担保目録を作成する必要があります。
宅建士過去問まとめ:登記簿
本文の解説は、いかがでしたか?
序文の問題、「登記が1ヶ月以内に必要か?」の解答
誤り。
新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から1月以内に、表題登記を申請しなければならない(不動産登記法47条1項)
「所有権保存登記」ではなく、「表題登記」である。
(参照:【平成28年 問14項1】過去問解説より)
所有権は、権利部の項目になります。
よって登記は義務はありません。
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