今回の宅建士の権利関係の過去問解説は「共有・区分所有権」についてです。
「共有・区分所有権」は、共有して使う権利を定めた法律です。
例えば分譲マンションなどは、一つの建物ですが、
全体について一つの所有権しか成立しない場合は、困ります。
各部屋は構造上でもそれぞれ独立しているので、別々の所有権の対象としても良いはずです。
この所有権のことを区分所有権といいます。
そして、共有で使っている場合は、民法だけでは処理できません。
よって共通でみんなで使用するルールを決めたルールが区分所有法です。
ここで平成29年度宅建士試験で出題された「共有」についての問題です。
正解か誤りか?
1) 共有者は、他の共有者との協議に基づかないで当然に共有物を排他的に占有する権限を有するものではない。(「有するものでない」とは、権利を持たないという意味)
2)AとBが共有する建物につき、AB間で協議することなくAがCと使用賃貸契約を締結した場合、Bは当然にはCに対して当該建物の明け渡しを請求することはできない。
3)GとHが共有する建物につき、Gがその持分を放棄した場合は、その持分はHに帰属する
一回目の「共有・区分所有法」では、主に共有について説明します。
これらは毎年、宅建士試験で必ず出題されているので、ぜひ、覚えてください!
Contents
共有と区分所有とは
共有とは
共有とは、1個の所有権が2人以上の人に量的に分属(いわば分割されて帰属)している関係をいう
(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)
共有とは、一つの物に対して、複数の所有権がお互いに制限し合う状態で、その制限に基づく各共有者ごとの割合が必要です。
これを共有持分の割合と言います。
何も定められていなければ、民法では共有物は、それぞれ均等と推定されることになります。
推定ですので、後で持分は変更することもできます。
共有者間の関係
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることをできます。
例えば、建物を使用するときに、ロビーや廊下階段など共通で使用する部分は、それぞれの使用者でごとに分割するのは難しいです。
よって全部使用できる状態にすることです。
また、共有物の保存行為は、各共有者が単独ですることもできます。
例えば、雨漏りをしているなど、
放置しておくと破損が進む場合は単独の判断でできます。
管理行為は、各共有者の持分の価格の過半数で決定します。
管理行為とは、例えば賃貸借契約の締結や解除です。
【注意点】
半数ではダメ。50人いれば、26人以上の同意が必要です。
共有物の処分や変更は共有者全員の同意が必要です。
例えば、共有物全体を売却したり、完全に用途変更、全面改装するなどです。
そして、共有者の不法占拠者に対する損害賠償請求は、各共有者が自己の持分の割合に応じてのみできます。
共有物の負担
共有物の管理費用、公租公課などの負担は、持分に応じて各共有者が負担します。
共有者のうち、もし一年以内にこの負担を履行しない者がいれば、他の共有者は、相応の償金を支払って、その者の共有分を取得することができます。
共有物の譲渡と放棄
共有物の譲渡などの処分とは異なります。
各共有者は、自分が所有する持分を自由に譲渡したり、放棄することができます。
相続の事例を思い出してください。
死亡や相続人がいない場合は、他の共有者か、もし居なれば国庫に帰属しましたね。
共有の場合は、国庫へ帰属することは無いので、他の共有者へ帰属することになります。
共有物の分割
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求できます。
しかし、もし各共有者が、分割の禁止の特約をした場合は5年間は分割は認めれません。
分割方法は3つあります。
・現物分割:共有物自体を分割
・代金分割:共有物を売却して、その売却代金を持ち分に応じて分配
・補償分割:共有物を共有者の一人が単独所有し、他の共有者へ持分に応じて分配
一般的に多く選択され、やりやすい方法は、代金分割だといわれています。
共有物についての債権
共有者が、他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても、その支払い請求をすることができます。
例えば、一人が管理費を滞納していても、新しい共有者は請求できます。
準共有(地上権や賃借権などで共有)
所有権以外の権利を共同でもつ場合を、準共有といいます。
地上権や賃借権がこれに該当します。
例えば、区分所有建物(マンション)の売主(分譲業者)が、地主と地上権あるいは、賃借権の設定を行った後で、その上にマンションを建てる場合です。
この場合、購入者(買主である区分所有者)は、敷地に対して地上権、または賃借権の共同持分を持つことになります。
宅建の過去問解答:共有と区分所有権
以上、「共有」の内容は、いかがでしたか?
「区分所有権」には、「共有」の理解は不可欠です。
序文の問題の解答は、下記になります。
1)正しい。各共有者は、共有者をその持分に応じて使用できるにすぎない(民法249条)
したがって共有者は、他の共有者との協議に基づかないで当然に共有物を排他的に占有する権原を有するものではない。
2)正しい。CはAと使用賃借契約を締結しているから、この点についてAB間に協議がなくても、CはAの持分に基づくものと認められる限度で建物を占有使用する権原を有している。
したがってBは当然にはCに対して建物の明け渡しを請求することができない。(同法252条)
3)共有者の一人が、その持分を放棄したときは、その持分は、他の共有者へ帰属する(同法255条)
(参照:【平成29年 問3】過去問解説より)
2)の賃貸で借りている場合でも、借主は建物を占有する所有権は持っています。
すぐに建物から出て行くのを請求するのは、法律では認められていません。
「共有」のポイントです!
・共有物の保存行為は、各共有者が単独でできる
・管理行為は持分価格の過半数で決定
・共有持分の処分・変更行為は全員の同意
・各共有者は、いつでも分割請求ができる。
(分割禁止は5年を超えては不可)
必ず出題されるので、確実に得点して下さい!
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