宅建士試験「統計問題」の2018年(平成30年度)の傾向についてお伝えします。
統計の問題を攻略するコツは大きな流れを掴むことです。
細かい数字を覚えるのではなく、減った・増えたの大まかな動向を把握して下さい。
統計問題の攻略方法はこちらの記事でも書いています
(参考記事:宅建士になるための過去問解説「統計問題」の覚え方のコツと過去問の傾向)
Contents
地価公示(ちかこうじ)
地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、適正な地価の形成に寄与するために、毎年 1 月 1 日時点における標準地の正常な価格を 3 月に公示するもの
(平成 30 年地価公示では、26,000 地点で実施)
社会・経済活動についての制度インフラとなる価格の基準値になる
■全国平均 :10年ぶりに上昇
住宅地の平均変動率が 10 年ぶりに上昇に転じた。
商業地及び全用途平均は、3年連続で上昇。
■三大都市圏:住宅・商業ともに上昇
住宅地・商業地ともに各圏域で上昇。
大阪圏は、住宅地はわずかな上昇だが、商業地の上昇率は三圏で最も高い。
■地方圏:下落幅縮小傾向。商業地は26年ぶりに上昇
住宅地は下落幅縮小が継続。
商業地は26年ぶりに上昇に転じ、全用途平均でも下落を脱した。
建築着工統計
ほぼ毎年、宅建士試験に出題されている重要項目です。
統計には「年計」(1/1〜12/31)と「年度計」(4/1〜3/31)の2種類がある。
宅建士試験の出題は「年計」が多いが、両方の対策が必要。
平成 29 年の新設住宅着工戸数(概要):年計
平成 29 年の新設住宅着工は、「貸家」及び「分譲住宅」は増加したが、持家が減少したため全体で減少となった。
【総戸数】年計
○平成 29 年の新設住宅着工戸数は 964,641 戸。
○前年比では 0.3%減となり、3 年ぶりの減少。
○新設住宅着工床面積は77,515千m², 前年比0.9%減、 昨年の増加から再びの減少。
新設住宅が減っているので、着工床面積も減少する。
【利用関係別戸数】年計
・持家
○平成 29 年の持家は284,283 戸
(前年比 2.7%減 昨年の増加から再びの減少)
・貸家
○平成 29 年の貸家は 419,397 戸
(前年比 0.2%増 6年連続の増加)
・分譲住宅
○平成29年の分譲住宅は255,191 戸:(前年比 1.9%増 3年連続の増加)
・マンションは114,830戸:(同0.2%増 昨年の減少から再びの増加)
・一戸建住宅は138,189戸:(同3.3%増 2年連続の増加)
平成29年度の新設住宅着工戸数:年度計(3、4月)
平成29年度の新設住宅着工戸数は、前年度と比較すると全体で2.8%の減少となった。
【総戸数】年度計(3、4月)
・29 年度の新設住宅着工戸数は 946,396 戸
・前年度比では 2.8% 減となり、3年ぶりの減少
・新設住宅着工床面積は 75,829 千m², 前年度比 3.7%減, 3年ぶりの減少。
*「年計」も「年度計」もどちらも新設の住宅着工は減少している。
【利用関係別戸数】年度計(3、4月)
・持家
○29 年度の持家は、282,111 戸:(前年度比 3.3%減、3年ぶりの減少)
・貸家
○29 年度の貸家は、410,355 戸:(前年度比 4.0%減 3年ぶりの減少)
・分譲住宅
○29 年度の分譲住宅は、 248,495 戸 ( 前年度比 0.3%減、 3年ぶりの減少)
・マンションは 108,278 戸 (同 3.6%減、 2年連続の減少)
・一戸建住宅は 137,849 戸 (同 2.3%増、 3年連続の増加)
* 新設は、マンションよりも戸建の方が増える傾向
土地白書
「土地白書」もよく宅建試験に出題されている。
過去に最もよく出題されているのが「土地取引件数(売買による所有権の移転登記の件数)」。
【土地取引件数等の推移】
土地取引売買による「所有権の移転登記」の件数
その動向は平成 29 年の全国の土地取引件数は132万件となり、
前年比:2.1%増加(内訳:地方圏「約2万件」、東京圏「約1万件」)
(参照:法務省「登記統計月報」より)
* オリンピック効果もあり日本で全体的に増加。 地方も土地取引は動いている。
【土地利用の動向】
ここをおさえれば特に試験の得点につながります。
平成 28 年における我が国の国土面積は約 3,780 万 ha 。
うち森林が約 2,506 万 ha と最も 多く、それに次ぐ農地は前年より減少して 447 万 ha。
これらで全国土面積の約8割を占 める。
・住宅地、工業用地等の宅地は約 194 万 ha
・道路は約 139 万 ha
・水面・河川・水 路が約 133 万 ha
・原野等が約 34 万 ha
(参照:「平成 29 年度土地に関する動向・平成 30 年度土地に関する基本的施策」より)
法人企業統計
財務省が発表する数値をとりまとめたもので、平成30年の今年は平成28年度分の資料が最新になります。
不動産業は非製造業の区分に入り、建設業に比べると小さいですが規模の大きい業界です。
売上高は、平成25年、26年は減少でしたが、27年から連続増えています。
今まで宅建試験には、売上高と経常利益率の数字が出ているので、増減の数値の推移をおさえて下さい。
【平成 28 年度の不動産業】
・売上高は、約43兆円、対前年度比 (27年度に比べて)9.1%増、2年連続増加
・経常利益は、約5兆3000億円、前年度対比24%増、2年ぶりの増加
・売上高経常利益率は、12.4%、対前年度比 1.5%増、2年ぶりの増加
(参照:法人企業統計調査結果(平成28年度)、財務省、平成29年 9/1より)
国土交通白書
宅建業者数の増減が国土交通白書から公表されています。
宅建士試験への出題の頻度は上記に比べて低いですが、2〜3年に一度は出題されているので対策が必要です。
不動産業の現状
宅地建物取引に係る消費者利益の保護と流通の円滑化を図るため、「宅地建物取引業法」の的確な運用に努めている。
宅建試験によく出題されるのは下記の数字です。
不動産業の動向
大まかな割合の数字を覚えておくだけで十分です。
・不動産業は、全産業の売上高の 3.0%、・法人数の 11.6% (平成 28 年度)を占める重要な産業の位置付けの一つ。
(参照:平成 29 年度国土交通白書 (国土交通省、平成 30 年 6 月 30 日公表より)
【参考資料】(暗記の必要はないが、苦情や紛争も同様に増加している動向だけおさえる)
国土交通省及び都道府県は、関係機関と連携しながら苦情・紛争の未然防止に努めるとともに、同 法に違反した業者には、厳正な監督処分を行っており、28 年度の監督処分件数は 251 件(免許取消168 件、業務停止 55 件、指示 28 件)となっている。
(引用:平成 29 年度国土交通白書より)
住宅・土地統計調査
「住宅・土地統計調査」は 5年に1回ごとに実施され、昭和38年から行われている。
直近が25年なので、5年に一回なので今年ぐらいに試験に出題されるかもしれません。
【目的】
我が国の住宅とそこに居住する世帯の居住 状況、世帯の保有土地等の実態を把握し、その現状と推移を明らかにする調査。
平成 25 年 10 月1日現在における我が国の総住宅数は 6063 万戸、
総世帯数は 5245 万世帯。
平成 20 年比:総住宅数は 304 万戸、5.3%、総世帯数は 248 万世帯、5.0%、それぞれ増加。
(5年前に比べるとそれぞれ増加している)
また、第1回調査が行われた昭和 23 年の総住宅数:1391 万戸
その後の 65 年間で約 4.4 倍に増加。(1391 万戸 → 6063 万戸)
平成 25 年の調査では、総住宅数が総世帯数を 818 万上回って、
一世帯当たりの住宅数は 1.16 戸。
※総住宅数の 13.5%が空き家(820 万戸)。特に近年では、地方の空き家が問題になっている。
(参照:「平成25年住宅・土地統計調査 総務省統計局 平成27年2月26日公表」より)
指定流通機構の活用状況について
指定流通機構の新規登録件数などが宅建試験に出題される可能性が高いです。
指定流通機構制度とは
指定流通機構制度とは、
一定の媒介契約を締結した宅地建物取引業者に対し、国土交通大臣が指定する 不動産流通機構に不動産物件情報を登録し、オンラインシステム(レインズ)を通じて物件情報の交換を行うことを義務付けるものです。
平成 2 年 5 月よりスタートした。
現在、全国で4指定流通機構 が不動産取引に活用。
これにより、迅速な不動産取引の成立や、適正な価格付け等が期待 される。この指定流通機構の平成 29 年(平成 29 年 1 月~平成 29 年 12 月)における活用状況は、次のとおりである。
【指定流通機構の新規登録件数】
【平成 29 年の新規登録件数の合計】
5,369,841 件( 前年比 1.9%減)、月平均 447,487 件の物件登録
【内訳】
・売り物件 1,607,995 件(前年比 2.7%減)
・賃貸物件 3,761,846 件(前年比 1.6%減)
(参照:「平成 28 年分指定流通機構の活用状況について」より)
以上、不動産業界にかかわる統計数字の大まかな流れをつかめましたか?
宅建士試験の直前に、「統計」は再度、見直してください。
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