宅建の過去問解説【税・その他】印紙税(課税客体、不課税や非課税文書、領収書)

テスト

今回の宅建士になるための「税・その他」の過去問解説は「印紙税」についてです。

不動産取引では、契約書や領収証が作成され、その作成された文書に対して、その作成者に印紙税が課せられます。

「印紙税」は言わば不動産を取得したときの税金です。

ここで平成25年度の宅建士試験の過去問を解いてみましょう。

23問

(1)土地譲渡契約書に課税される印紙税を納付するため当該契約書に印紙をはり付けた場合には、課税文書と印紙の彩紋とにかけて判明に消印しなければならないが、契約当事者の従業者の印章又は署名で消印しても、消印したことにはならない。

正しいか誤りか?

更に近年、出題された過去問を解いてみましょう。

平成28年度 問題23

(1)印紙税の課税文書である不動産譲渡契約を作成したが、印紙税を納付せず、その事実が税務調査により判明した場合は、納付しなかった印紙税額と納付しなかった印紙税額の10%に相当する金額の合計額が過怠税として徴収される。

(2)「 Aの所有する甲土地(価額3,000万円)とBの所有する乙土地(価額3,500万円)を交換する」旨の土地交換契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は3,500万円である。

(3)「Aの所有する甲土地(価額3,000万円)をBに贈与する」旨の贈与契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は3,000万円である。

正しいか誤りか?

直ぐに解説を確認したい場合はこちら

過去問を解くのは、宅建試験のためでなく日常のビジネスにも役立ちます。

本文でポイントをみていきましょう!

宅建の過去問解説:契約書に対する印紙税の概要

印紙税はが課税する

課税客体(何に対して)

変更事由 課税文書 税額
1号文書 1)「不動産売買契約」「土地契約書」など
不動産の譲渡に関する契約書
2)地上権または土地の賃借権の設定か譲渡
3)「金銭消費貸借契約書」
消費貸借に関する契約書
・記載金額(契約金額)
ある契約書。
200円〜60万円
・記載金額なし一律200円
2号文書 「建設工事請負契約書」など請負に関する契約書 上記と同じ

契約書」も「変更契約書」も課税文書となる。

不課税文書

「課税物件表」に記載されていない下記の文章に対しては、印紙税が課税されない。

・動産売買契約書など、不動産以外のものの売買契約書

・建物賃貸借契約書など、土地以外のものの賃貸借契約書

・土地使用貸借契約書など、使用貸借契約書 等

非課税文書

・記載金額が1万円未満の契約書

国、地方公共団体等が作成した契約書

印紙税の特例

不動産売買契約書建設工事請負契約書などの文書については、税額が軽減される特例がある。

不動産の譲渡に関する契約書については、それらのすべてが特例の対象になるが、請負に関する契約書については、建設工事の請負に係るものだけが特例の対象となる。

領収書に対する印紙税の概要

【17号文書】

  課税文書 税額
(1) 「不動産売買代金領収証」
「不動産賃貸料領収証」など、
売上代金に係る金銭または有価証券受取書
・記載金額(契約金額)
ある契約書。
200円〜20万円
(2) 「敷金領収証」など売上代金以外のものに
係る金銭または有価証券の受領書
・記載金額ー受取金額関係なく
一律200円

非課税文書

・記載金額が1万円未満の契約書

国、地方公共団体等が作成した契約書

営業に関しない受取書

*注意:契約書の場合は、「営業に関しない受取書の規定がない」

過去問の解答:「印紙税」

序文の解答です。

平成25年 問23

解答:誤り

(1)印紙の消印は課税文書の作成者が課税文書と印紙の彩紋とにかけて行う(印紙税法8条2項)が、ここに作成者は、自己又はその代理人(法人代表者を含む)、使用人その他の従業員者の印章又は署名で消さなければならない(同法施行令5条)とされる。

したがって、契約当事者の従業者の印章又は署名で消印しても、消印したことにはならないとするのは、誤り。

(引用:パーフェクト宅建「過去問10年間」【平成25年 問23】過去問解説より)

平成28年度 問題23

(1)誤り。

印紙税の課税文書を作成したが、印紙税を納付しなかった場合は、納付しなかった印紙税額とその2倍に相当する金額の合計額が過怠税として徴収される。

なお、納付しなかった額とその額の10%の合計額が過怠税として徴収されるのは、調査による決定を予知してなされたものでないとき(自主的に納付した場合)に限られる。

(2)正しい。

不動産の交換契約書は印紙税の課税文書となる。

そしてその記載金額は、交換対象物双方の価額が記載されているときには、いずれか高いほうの金額とされる。

したがって、本肢では3,500万円のほうが3,000万円よりも高く、こちらが記載金額となり正しい。

(3)誤り

贈与契約書は、価格の記載があっても、譲渡対価がなく契約金額の記載のない契約書として、一律200円の印紙税が課される。

したがって、本肢で3,000万円を記載金額としているのは誤り。

(引用:パーフェクト宅建「過去問10年間」【平成28年 問23】過去問解説より)

本文の解説に戻る

宅建試験のポイント:印紙税

【契約書】

・同一内容の契約書は、それぞれが課税文書となる。

契約書も課税文書となる。

建物賃貸借契約書は、課税文書となる。

・国等と私人とが共同で作成し、互いに取り交わす契約書は、国等が保存するものは、私人が作成したものとみなされることから、課税文書となる。

・消費税額が区分記載されている場合は、その消費税額を記載金額に含めない

・一の契約書で、契約金額を不動産売買と建設工事請負にかかるものとに区分することができるものは、いずれか大きい金額をもって記載金額とする。

不動産交換契約書については、交換金額が記載されている場合は、いずれか高いほうの金額が記載金額となる。

・譲渡金額の変更契約書については、一定の要件のもと、増額契約であれば増加額を記載金額とし、減額契約であれば記載金額がない契約書(印紙税額一律200円)となる。

・土地賃貸借契約書は、権利金等の額が記載金額となり、賃料や敷金は記載金額とならない

・不動産贈与契約書は、記載金額がない契約書(印紙税額 ー 一律200円

・印紙税の消印は、自己またはその代理人・使用人の印章により行うが、署名でも構わない

【領収書】

手付金の領収証も、売上代金となる。

将来返還される敷金の領収証は、課税文書となる。

・自宅の譲渡代金など、営業に関しない領収証は、課税文書となる。

・約束手形等の受取書は、約束手形等を特定できるときは、それらの金額を記載金額とする。

・売上代金の受領について委託を受けた者(受託者)が作成する領収証であっても、その受託者の売上代金の受取書になる。

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