宅建士の過去問解説【不動産物権変動の対抗要件1】登記の効力・権利・対抗要件

今回の宅建士になるための権利関係の過去問解説「不動産物権変動の対抗要件」の1回目を解説します。

不動産物権変動の対抗要件は、毎年出題されている不動産登記に関わる重要項目の一つです。

物権には、今まで出てきた所有権、地上権、地役権など重要な権利があります。

これらの不動産に関する物権などが発生、消滅することを物権変動といいます。

ここで、平成28年度の宅建士試験で出た問題です。

Aが甲土地をBに売却する前にCにも売却していた場合、Cは所有権の移転登記を備えていなくても、Bに対して甲土地の所有権を主張することができる。

正解か誤りか?

これは二重譲渡の場合に、先に購入していた方に所有権があるかどうか?が問われています。

また、Cが悪意(Bに譲渡されることを知っていた)場合はどうなるのでしょうか?

先に悪意の第三者が登記をした場合には、先に購入した立場であっても、対抗できる

正解か誤りか?

先に解答を見る

本文では、問題のヒントを解説します。

また、登記の取得時期や権利、効力、第三者への対抗、取引を安全にするために定められた事項など、毎年、出題の可能性が高い分野をおさえていきます。

宅建士の過去問解説【不動産物権変動の対抗要件1】登記の効力・権利・対抗要件

宅建過去問解説:不動産物権変動とは

民法では、不動産物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみで、その効力が生ずるものとしています。

不動産所有権の売買は、意思主義です。

所有権の移転時期を特約で定めれば、特約の通りになります。

しかし、特約をしなければ、原則、売買契約と同時に売主から買主に所有権が移転します。

物権公示の原則

当事者同士の約束事である債権と違い、物権絶対的で強力な権利です。

そのため、民法では権利の内容が第三者にもわかるように、下記の方法で公示する必要があります。

「登記」:不動産の物権変動

「引渡し」:動産の物権変動

これを備えなければ、第三者に対して物権変動に対抗できず、このことを「物権公示の原則」といいます。

この場合に第三者に物権変動を認めさせる要件対抗要件といいます。

「登記」と「登記できる権利」

登記とは、

国が作成する登記簿(登記記録が記録される帳簿)に物権変動の事実及びその内容を記載(記録)すること、または記載された内容自体のことをいう。

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

登記できる権利

不動産には登記できる権利と、できない権利があります。

種類 該当する権利
登記できる権利

地上権、永小作権、地役権、

((不動産の)所有権、先取特権、質権、抵当権)

登記不要(登記できない)の権利

占有権、留置権、入会権

物権ではないが登記できる権利

(不動産の)賃借権と買戻権

*「買戻しの特約」とは、不動産の売買契約で売主が将来その目的物を買い戻す当事者間の特約のこと

対抗することができない第三者

対抗するとは、自分のものであると対抗(主張)することです。

「対抗することができない」という意味

登記がされていない限り、権利者であっても、当事者以外の者に対しては物権変動のあったことを主張できないことです。

「第三者」の範囲

この「第三者」とは、当事者間以外であれば、全て該当するのではありません。

その物権変動と両立しない利害関係を持つ人、つまり不動産登記で正当な競争関係にある人のみが「第三者」です。

該当する人

・同一不動産を二重譲渡された人

・地上権、抵当権の設定を受けた人

・賃借した人

・差し押さえた債権者

第三者に該当しない人

・不法に占拠している人

・不動産に何ら実質上の権利を持たない人

このような第三者に該当しない者には、登記がなくても対抗できます。

第三者の主張ができない人

詐欺や脅迫の手段で他人の登記申請を妨げる人

・他人のために登記申請をする義務のある

第三者は登記を先にした者勝ち

ここで注意が必要なことは、登記制度は、先に登記した者が勝つことです。

先に登記すれば確定的に権利を取得でき、悪意でも「第三者」の地位は失いません。

例えば、二重譲渡のケースです。

第二の譲受人Cが不動産を取得当時に、既に第一の譲受人Bがいたことを知っていた(悪意)の場合です。しかし、悪意であってもCが先に登記すれば、Cが権利を取得できます。

「背信的悪意者」の登記には対抗できる

しかし、悪意にも例外があり認められない場合があります。

例えば、上記のCが先に譲受人になったBに対して、単にいやがらせをしようとか、自分が取得した後でBに高く売りつける目的などです。

上記の場合は、先に登記していても対抗(主張)できません。

正義公平の観点から好ましくない行為をする場合は「背信的悪意者」といいますが、これに対しては、譲受人Bは登記がなくても対抗できます。

登記の推定力と公信力がない場合

登記は、第三者への対抗力以外の効力は、あるのでしょうか?

登記がなされていれば、一応その権利関係が真実であると推定される。そのことを登記の推定力という。

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

よって、もし登記内容と真実の権利関係とで食い違いがある場合は、登記を信頼して取引していても、権利を取得することはできません。

このことを登記に公信力がないといいます。

しかし、動産の場合は、他人の占有を信じて取引した場合は、公信力があるとされます。

動産の場合は、不動産と違い頻繁に取引が行われるので、取引を安全に行うために保護されます。

この動産と不動産の公信力の違いも、宅建士試験によく出るので覚えて下さい。

宅建過去問まとめ:不動産物権変動の対抗要件

不動産物権変動の対抗要件の説明は、いかがでしたか?

過去問の解答

所有権の移転登記を備えていない者は、第三者(後から二重譲渡で購入した相手)に対抗できるのでしょうか?

誤り。不動産に関する物権の得喪及び変更は、その登記をしなければ、第三者へ対抗することができない(民法177条)。

したがって、Cは、所有権移転登記を備えなければ、Bに対して甲土地の所有権を主張(対抗)できない。

(参照:【平成28年 問3項1】過去問解説より)

本文の解説に戻る

甲土地は、登記していないとCの所有にはなりません。

*得喪とは:物権などを得ること失うこと

また、登記制度は悪意(知らなかった)場合でも、先に登記した者が勝ちでしたね。

先に登記すれば確定的に権利を取得でき、悪意でも「第三者」の地位は失いません。

しかし、後から購入したい人へ高値で売りつけようとする目的があるなど、悪質な場合は、「背信的悪意者」となり、所有権は対抗できません。

下記の過去問も要注意です!

いわゆる背信的悪意者であるEは、所有権移転登記を備えても、Bに対して甲土地の所有権を主張(対抗)することができない。

(参照:【平成28年 問3項3】過去問解説より)

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