【宅建】過去問解説【法令上の制限】容積率・建蔽率等の制限

前回の「建築物の用途制限」に引き続き、今回は、集団規定の1つである「容積率・建蔽率等の制限」の規定を主に解説します。

建築基準法では、建築物の延べ面積をその敷地面積との関係で制限する「容積率の制限」、

そして敷地内に一定割合の空地を確保することを求める「建蔽率の制限」があります。

これらの規制の目的は、市街地で建築物の規模を制限することで、近隣の日照や通風が悪くなるなどの弊害を防いでいます。

ここで平成29年度の宅建士試験の過去問題に挑戦してみましょう!

問題19

(4)建築物の前面道路の幅員により制限される容積率について、前面道路が2つ以上ある場合には、これらの前面道路の幅員の最小の数値(12m未満に限る。)を用いて算定する。

正しいか誤りか?

本文では、上記のように宅建士試験で過去に出題された重要項目を中心にまとめています。

主に「容積率の制限」について計算問題と一緒に解説していきます。

また過去の試験で出題された「建蔽率の制限」、「建築物の敷地面積の最低限度」、「外壁の後退距離の限度」などの重要事項も解説していきます。

宅建過去問解説【法令上の制限】容積率・建蔽率等の制限

容積率の制限とは

容積率とは、建築物の延べ面積(各階の床面積の合計)の敷地面積に対する割合をいう

容積率 = 建築物の延べ面積 / 敷地面積

* 床面積とは:建築物の各階またはその一部で壁その他の区域の中心線で囲まれた部分の水平投影面積

都市計画で定められる容積率は下記の2つのうち厳しい方を採用する。

・地域・地区の都市計画の容積率

前面道路の幅員による容積率

前面道路による制限を受けない場合の容積率の最高限度

制限対象になるのは、前面道路の幅員の最大のもの

12m以上の道路は前面道路の容積率は計算しなくてもよい。

この場合は、地域・地区の都市計画の容積率を採用

前面道路による制限を受ける場合の容積率の最高限度

宅建士の試験によく出題されるのは、こちらの方です。

12m未満の場合は、「都市計画の容積率」と「前面道路幅員の容積率」で求めた数値のうち、いずれか小さい方(厳しい方)を採用。

【前面道路の幅員の場合の計算式】

前面道路の幅員のメートルの数値 × 次表中の数値(乗数)

【用途地域によって変わる】

地域・区域

数値(乗数)

・第1種低層住居専用地域
・第2種低層住居専用地域
または田園住居地域

10分の4(10/4)

・第1種中高層住居専用地域
・第2種中高住居専用地域
または第1種住居地域・第2種住居地域・準住居地域

10分の4(10/4)

(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内では10分の6)

その他の用途地域
用途地域の指定のない区域

10分の6(10/6)
(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域内では、10分の4、10分の8のうち特定行政庁が定めるもの)

<ポイント>

「住居系は10分の4」「その他の地域・商業系は10分の6」と覚える。

【例題】前面道路の幅員12m以下の場合

第1種中高層住居専用地域

・都市計画で定められた容積率:30分の10(30/10)

(その他の条件はないものとする)

宅建過去問解説【法令上の制限】容積率・建蔽率等の制限

【解答】

6(m)×4/10=24/10:この数値と都市計画で定められた容積率30/10のうち、小さい方の数値24/10(240%)が、この敷地の容積率の最高限度となる。

【例題】2方向に前面道路(幅員12m以下)がある場合

2方向に道路がある場合は、幅員が大きい方の道路を基準にして計算する。

【宅建】過去問解説【法令上の制限】容積率・建蔽率等の制限

容積率の異なる地域・区域にわたる場合

建築物の敷地が2以上の異なる容積率の制限を受ける場合は、それぞれの地域の加重平均による。

【計算手順】

1)前面道路の幅員が12m以下の場合その部分ごとに「都市計画で定められた容積率」と「前面道路の幅員で計算した容積率」とを比較して、小さい数値を採用。

2)1)で確定した数値で、面積による加重平均計算をする。

【例題】容積率が異なる地域

都市計画で定められた容積率

近隣商業地域:40/10

第1種住居地域:30/10

(他の条件はないものとする)

【宅建】過去問解説【法令上の制限】容積率・建蔽率等の制限

近隣商業地域の部分:5(m) × 6/10=30/10<40/10 → 30/10採用

第1種住居地域の部分:5(m) × 4/10=20/10<30/10 → 20/10採用

加重平均計算をすると (敷地全体の面積:200㎡)

(30/10×150/200)+20/10 × 30/10=2.75(275%)

この敷地の容積率の最高限度は2.75(275%)となる

特定道路による前面道路幅員の緩和

【条件】

1)建築物の前面道路の幅員が6m以上12m未満であり、

かつ

2)その前面道路に沿って幅員が15m以上の道路(特定道路)に接続し、特定道路までの延長が70m以内である敷地

【容積率の最高限度】

その前面道路の幅員(m)に特定道路までの延長距離に応じて求める数値(m)を加えたものに4/10、6/10または8/10を乗じた数値

【宅建】過去問解説【法令上の制限】容積率・建蔽率等の制限

容積率は厳しい方の10/30となる。

容積率の計算の特例

容積率の最高限度の計算において、建築物の一定部分の床面積をその建築物の延べ面積に算入しなくても済む容積率制限の緩和措置がある。

【緩和措置(延べ面積に1部を算入しない)対象】

住宅、老人ホーム地階 (天井が地盤面から高さ1m以下にあるもの):3分の1

・エレベーター、共用住宅の共用廊下、階段:全部

・車庫、駐車場:(当該敷地内の各階の床面積の合計)5分の1

許可による容積率制限の緩和

特定行政庁が交通上、安全上認めて、建築審査会同意を得て許可したものは、その許可の範囲内において容積率制限が緩和される。

1)同一敷地内の建築物の機械室等の部分の床面積の合計の建築物の延べ面積に対する割合が著しく大きい場合、その敷地内の建築物

2)その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空き地を有する建築物

建蔽率

「建蔽率」とは、

建蔽率 = 建築物の建築面積 / 敷地面積

建蔽率は、容積率の場合と異なり、道路幅員によって制限を受けることはない。

商業地域

8/10

その他の用途地域

都市計画で定められた数値

用途地域の指定のない区域

特定行政庁が定める数値

建蔽率制限の緩和

建蔽率には下記の緩和規定がある

1)建蔽率の限度が8/10とされている地域外 (商業地域は入らない)で、

かつ、防火地域内にある耐火建築物 → 原則+1/10

2)角地等で特定行政庁が指定するものの内にある建築物 → 原則+1/10

3)上記、1)と2)のいずれにも該当する建築物 → 原則+2/10

建蔽率制限が適用されない建築物

下記のいずれかに該当する建築物は、建蔽率の制限が適用されない。

(敷地一杯まで隣地とギリギリまで建ててよい建築物)

1)建蔽率の限度が8/10とされている地域で、かつ、防火地域内にある耐火建築物

2)巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊

3)公園、広場、道路、川その他これに類するものの内にある建築物で、特定行政庁が安全上、防火上、認めて建築審議会の同意を得て許可

【試験のポイント】

「商業地域」:建蔽率の限度は8/10

商業地域内で、かつ、防火地域内にある耐火建築物」については、常に建蔽率の制限が適用されない。

建蔽率の異なる地域・区域にわたる場合

建築物の敷地が2以上の異なる建蔽率の制限を受ける地域にわたる場合には、加重平均によって建蔽率の限度を算定する。

上記の容積率と計算方法は同じ。

【宅建】過去問解説【法令上の制限】容積率・建蔽率等の制限

・商業地域の容積率は8/10

・敷地全体の面積 200㎡

この敷地の建蔽率の最高限度は、加重平均の計算がされ

(8/10 × 120/200)+(6/10×80/200)=0.72(72%)となる。

建築物の敷地面積の最低限度

用途地域(13地域)に関する都市計画には、敷地の細分化(ミニ開発)を防止し、市街地の環境を確保するため、建築物の敷地面積の最低限度が定められることがある。

建築物の敷地面積は、用途地域に関する都市計画において建築物の敷地面積以上の最低限度が定められたときは、当該最低面積以上でなければならない。

「建築物の敷地面積の最低限度」は、すべての用途地域(13地域)を対象として、都市計画で200㎡を超えない範囲で定めることができる。

最低限度の制限を受けない

1)建蔽率の限度が8/10とされている地域で、かつ、防火地域内にある耐火建築物

2)巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊

3)公園、広場、道路、川その他これに類するものの内にある建築物で、特定行政庁が安全上、防火上、認めて建築審議会の同意を得て許可

低層住居専用地域内における外壁の後退距離の限度

「外壁の後退距離の限度」は、第1種・第2種低層住居専用地域・田園住居地域のみを対象。

都市計画では必要な場合、1.5mまたは1mと定めることができる。

壁面後退が多い街並みの方が庭が多く取れるので、住宅地としては良好な環境、閑静な住宅地を維持する目的ために定められている。

「壁面の後退距離」:建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離

まとめ「容積率・建蔽率等の制限」

容積率・建蔽率等の制限は理解できましたか?

計算問題は、やや複雑に感じるかもしれませんが慣れれば早く解けるようになります。

序文の問題の解答です。

問題19(4)建築物の前面道路の幅員により制限される容積率について、前面道路が2つ以上ある場合には、これらの前面道路の幅員の最小の数値(12m未満に限る。)を用いて算定する。

答え:誤り

建築物の前面道路の幅員によって制限される容積率について、前面道路が2以上あるときは、前面道路の幅員の最大の数値を用いて行う(建築基準法52条2項)

(参照:【平成29年 問19項4】過去問解説より)

重要ポイント

【容積率の制限:下記の表の数値が容積率の最高限度】

前面道路の幅員が12m以上

都市計画で定められた数値(用途地域の指定のない区域では、特定行政庁が定める数値)

前面道路の幅員が12m未満

次の1)と2)のうち、いずれか小さい方の数値

1)都市計画で定められた数値(用途地域の指定のない区域では、特定行政庁が定める数値)

2)前面道路の幅員に基づき計算した数値

・建物の敷地が2以上の異なる容積率の制限を受ける地域にわたる場合は、加重平均によって、容積率・建蔽率の限度を算定する。

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