【行政書士+宅建士】のダブル取得で、本当に年収アップできるのか?
宅建士から行政書士をめざす人には、ダブル取得が具体的に仕事で有利になる点は、気になります。
ここでは、法律系の資格試験に挑戦する受験生を多くみてきた講師や現場で働く行政書士のリアルな声を集めてみました。
宅建士と行政書士のダブルライセンスの強みや実際に年収アップできたかどうか?を徹底検証します。
Contents
行政書士が宅建士のダブル資格で年収アップできる理由
行政書士は、若い人だけでなく、中高年の定年退職後の独立開業をめざす資格として幅広い世代に人気の資格の一つです。
民法など共通の試験範囲もあることから、宅建士を取得した後に行政書士をめざす人も多いです。
(参考記事:宅建士と行政書士の合格率と難易度を徹底比較!独立や転職はどちらが有利?)
行政書士の資格の強みは、1万種類以上の許認可業務など幅広い分野の書類作成業務ができることです。
業務範囲が広い反面、専門分野がないと多くのライバルの中で埋もれてしまう結果になります。
自分の専門分野を早く確立することの重要性は、現場で働く多くの行政書士が、指摘しています。
単に行政書士の資格を取得しただけでは、決して年収は高くならないです。
行政書士の正社員の平均年収は400万
行政書士の正社員の平均年収は、見習い中も合わせると400万円というデータもあり、平均年収は、それほど高くないです。
(画像引用:求人ボックス 給料ナビより)
給料情報の算出について
記載の給料情報は2019年7月に求人ボックス上で掲載されていた求人情報から算出した給料情報です。
※平均年収(時給):集計対象求人における給与水準の中央値を示しています。
※日本の平均年収:国税庁の平成29年度「民間給与実態統計調査結果」に基づいています。
(引用:「求人ボックス 給料ナビ」より)
正社員の年収の幅が、271〜696万円と勤務先や経験・求められるスキルによっても大きな差が出ます。
独立する行政書士は格差が激しい
その一方で、独立して成功している行政書士は、年収1000万円を超えるのも珍しくありません。
業務範囲が広い行政書士は、専門分野を確立して優良な顧客を開拓できれば年収が上がりやすいです。
しかし、行政書士の現場で聞く話では、年収が300万円にも届かず、ギリギリで生活している年収レベルの人も多くいます。
せっかく独立しても、顧客がいなければ廃業の危機になるのは、宅建士の独立と同じです。
新人の行政書士の半分近くが3年以内に仕事を辞めてしまう厳しい世界でもあります。
行政書士の報酬(申請手数料)は内容によって差があり
行政書士の仕事は幅広い分野の申請を手がけるので、案件によって業務報酬(申請手数料)に差が出ます。
現段階では、「日本行政書士会連合」では、明確に行政書士の業務報酬額を定めていません。
あくまで業務報酬は、基準値の公開だけなので、行政書士の報酬は、各自が自由に決めて営業できます。
個人の裁量次第で、得られる報酬が変わることも、行政書士の年収格差の一因です。
以下、参考までに業務報酬の申請手数料の基準値を紹介します。
業務報酬(申請手数料)が高い分野
独立するまでに業務報酬の高い分野の申請業務を手がけていて経験が豊富。
また、コネがないと仕事が取りにくい業界に人脈がある人も高収入を得やすいです。
【申請手数料が高い分野】
業務内容 | 平均の申請料 |
薬局開設許可 | 1,233,333 |
産業廃棄物処理業許可申請 | 678,342 |
知的資産経営報告書作成 | 674,118 |
帰化許可申請 | 651,429 |
遺留分特例に基づく合意書の作成 | 566,000 |
事業承継計画書の作成 | 493,333 |
学校法人設立認可申請 | 485,000 |
宗教法人設立 | 456,820 |
風俗営業許可申請 | 370,797 |
(参照資料:平成27年度報酬額統計調査より)
「薬局開設許可」や「産業廃棄物処理業許可申請」は、申請に専門の知識が必要とされ、また申請許可が難しいことから報酬も高いです。
ただ、特殊な分野なので、案件数なども行政書士全体の仕事の中では、限られています。
これから伸びる業界と宅建士との相乗効果
これから伸びていく分野は、高齢化社会になり、介護や福祉や医療の分野です。
また、相続関係の仕事も増えていくと予想されています。
申請書類の手続きだけでなく、実際に店や会社を開業する場合や土地の処分などは、不動産の知識が必要です。
宅建士があれば、これらの分野にも参入しやすくなります。
宅建士や不動産の経験があれば特に有利な分野
宅建士の資格や知識があれば、営業しやすい申請業務です。
業務内容 | 平均の申請料 |
開発行為許可申請(第29条) | 1,174,108 |
開発行為許可申請(第34条) | 434,437 |
河川関係許可申請 | 151,784 |
宅地建物取引業者免許申請(新規)大臣 | 141,056 |
宅地建物取引業者免許申請(新規)知事 | 107,195 |
農地法第5条許可申請 | 103,623 |
農地法第4条許可申請 | 80,114 |
(参照資料:平成27年度報酬額統計調査より)
また、その他の建築士業の事務所開設や更新手続きなど、それほど報酬は高くなくても
宅建士などの免許申請に慣れていれば、手がけやすい分野です。
これらは会社や事務所の数が多いので、申請業務の需要が一定数見込めます。
行政書士の業務は不動産関連の書類手続きの仕事が多い
その中でも不動産関連の仕事や公共事業の入札の書類作成などは、特に業務量が多いと言われています。
業務の中には、農地転用等の各種書類手続から宅地売却まで、不動産売却に関する案件も少なくありません。
行政書士だけでなく、宅建士の資格も合わせ持つことで、請けられる仕事の幅が大きく広がります。
コンサルティングを含む許認可手続の代理業務まで、身近な街の法律相談家として活躍できます。
宅建士と行政書士のダブル資格で年収がアップするか?
以上のことから、業務的には行政書士と宅建士のダブル取得は、仕事をする上では有利です。
では、ダブル資格で、実際に年収アップできるか?を今まで、私がお世話になった行政書士に実際に聞いてみました。
得られた回答は、資格を取得するだけでは、直ぐに年収が上がる訳ではないということです。
ただ、下記のメリットはあります。
・仕事のチャンスが多い宅建の分野に強いと、安定した収入源が持ちやすい。
・物件売却まで進むと別の仲介手数料を得られることができる
何よりも専門分野ができることは、営業する時も顧客にアピールしやすいそうです。
不動産関連の仕事の相談を受けているうちに、専門家として認知されるようになり、書類申請以外の仕事も増えていきます。
専門分野を手がけるうちに気がついたら数年後は、年収が倍以上になった人もいます。
短期的なことではなく、長い目で見ると、宅建士+行政書士の両方ができることは、年収アップに確実に貢献してくれます。
宅建士の次のキャリアアップの資格としても行政書士は有効な国家資格です。
きっかけは資格取得という小さな一歩でも、人よりも努力をすることが、年収アップに確実につながっていきます。
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