宅建士は、法律系の国家資格の中でも毎年20万人以上が受験する人気資格です。
その理由は、資格の知名度も高く就職先が多い。
また、集中して勉強すれば、短期間で合格できる中難易度の資格だからです。
ここでは、宅建士の科目ごとの難易度と合格率の紹介だけでなく、他の国家資格と費用対効果を比較します。
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宅建士の難易度:宅建の合格率は毎年15%前後
宅建は、令和元年では過去最高の27万人以上の人が、受験申し込みをしました。
しかし、10月の本試験では、約2割の5万人以上がリタイアしています。
ここ数年間の合格率は、平均15%前後でしたが、令和元年は17%でした。
過去の傾向をみていると5年に一度、合格率が、17%台に上がる傾向があります。
実施年度 | 申込者数(名) | 受験者数(名) | 合格者数(名) | 合格率 | 足切点 | |
宅地建物取引士試験 | 令和元年 | 276,019 | 220,797 | 37,481 | 17.0% | 35点 |
平成30年度 | 265,444 | 213,993 | 33,360 | 15.6% | 37点 | |
平成29年度 | 258,511 | 209,354 | 32,644 | 15.6% | 35点 | |
平成28年度 | 245,742 | 198,463 | 30,589 | 15.4% | 35点 | |
平成27年度 | 243,199 | 194,926 | 30,028 | 15.4% | 31点 | |
宅地建物取引主任者試験 | 平成26年度 | 238,343 | 192,029 | 33,670 | 17.5% | 32点 |
平成25年度 | 234,586 | 186,304 | 28,470 | 15.3% | 33点 | |
平成24年度 | 236,350 | 191,169 | 32,000 | 16.7% | 33点 | |
平成23年度 | 231,596 | 188,572 | 30,391 | 16.1% | 36点 | |
平成22年度 | 228,214 | 186,542 | 28,311 | 15.2% | 36点 | |
平成21年度 | 241,944 | 195,515 | 34,918 | 17.9% | 33点 |
(引用参照:「不動産適正取引推進機構」より)
過去の17%台の合格率の高い年の特徴をみると、32点、33点と全体的に足切り点が低いです。
足切点が低い年は、宅建試験の難易度が高い傾向にあります。
しかし、試験の難易度が上がったとしても受験生の正解率が低いです。
よって結果的には合格率は変わらないです。
令和元年は17%の合格率だが難易度は上がる
令和元年は35点が足切り点でした。
足切り点は平均ラインですが、前年(平成30年)の足切り点37点よりも2点も下がっています。
実際に令和元年度は17%の合格率でしたが、前年よりも全体の難易度が上がりました。
権利関係では、不法行為に関する未出題判例や弁済や時効中断に関して初出題の問題が出ました。
また、宅建業法では個数問題が、3問から6問に倍増しました。
法改正のインスペクションは平成30年にも出題されましたが、令和元年でも同様に近年の法改正への対応が必要になりました。
しかし難易度が上がった反面、令和元年は、基礎問題の出題も多い年でした。
難易度の高い問題が出題される年は、基礎を固めている受験生はチャンスです。
受験者数は年々増加。女性の躍進が目立つ
平成30年度(2018年度)の宅建士の受験者数も平成29年度に比べると、平均3%増と堅調に増加しています。
とりわけ近年に目立つのは、女性の受験者の増加です。
【2018年度の前年比の伸び率】
申込者数 |
265,444 人 前年比 2.7%増 |
男 181,499 人 |
前年より 2,470 人、1.4%増 |
女 83,945 人 |
前年比 4,463 人:5.6%増 |
||
登録講習修了者 |
56,315 人 | 男 37,401 人 | ー |
女 18,914 人 | |||
受験者数 |
213,993 人 前年比 2.2%増 |
男 145,245 人 | 前年比 0.9%増 |
女 68,748 人 | 前年比 5.1%増 |
(参照:「平成30年度宅地建物取引士資格試験の実施結果」より)
男性の受験者数は、男 145,245 人と女性の68,748 人の2倍以上、まだ男性の受験者数が多い資格です。
しかし、受験者数の対前年比の伸びが、女性は増加してくると予想できます。
男性は 0.9%増、女性は5.1%増と、女性の伸び率は男性の約5倍です。
そして令和元年(2019年)でも前年(2018年)以上に女性の伸び率は高かったです。
【2019年度の前年比の伸び率】
申込者数 |
276,019 人 前年比 2.7%増 |
男 187,164 人 |
前年より 5,665 人:3.1%増 |
女 88,855 人 |
前年比 4,910 人:6.0%増 |
||
登録講習修了者 |
58,105 人 | 男 38,116 人 | ー |
女 19,989 人 | |||
受験者数 |
220,797 人 前年比 2.2%増 |
男 148,765 人 | 前年比 2.3%増 |
女 72,032 人 | 前年比 5.4%増 |
(参照:「令和元年度宅地建物取引士資格試験の実施結果」より)
女性が増えた理由は、不動産業界をはじめ、男性社会と言われていた業界でも女性の社会進出が増えたことが理由です。
今後、ますます女性の宅建士は増えると予測できます。
2021年(令和3年)の宅建の難易度の予測
2020年度は大規模な民法の改正があります。
ここでは2021年度の難易度の予測をしてみました。
令和元年の宅建受験者の申込は増加。2021年は微増?
2019年(令和元年)の受験申込者数が発表されました。
申し込み者数は下記になります。
2019年度(令和元年) | 2018年度(平成30年) | |
一般申込者 | 217,914人 | 209,129人 |
講習修了者 | 58,105人 | 56,315人 |
合計 | 276,019人 | 265,444人 |
(参照:「平成30年度宅地建物取引士資格試験の実施結果」より)
申込者は、合計276,019人です。
昨年度の265,444人から4.9%(10,575人)も増加しています。
2020年度の法改正前に、2019年度中に合格したい人が多い結果が現れていました。
注目の2020年の受験者数の予測ですが、微増することはあっても大きく減少することは無いと思います。
その理由は、宅建士が仕事で汎用性が高く、転職や開業に有利な資格であることに変わりはないからです。
2020年度の合格率15%?難易度は前年並み?
注目の2020年度の合格率と難易度はどうでしょうか?
宅建士の受験者数は、ここ近年、増加が続いているので、宅建の難易度が下がることは、あまり期待できません。
過去と同様の難易度と合格率15%前後は変わらないと思います。
2020年度は、改正民法で新傾向の問題が多くなり、権利関係で苦戦する受験生が多いとも予測できます。
しかし、試験内容が難しくなっても、合格者のレベルは毎年変わらないので、恐れることはありません。
逆に大きな法改正がある年に、民法改正の対策を万全にする受験生は圧倒的に有利です。
今までの傾向をみていると、受験生の上位15%以内に入れば、宅建は合格できます。
合格できない心配する暇があれば、少しでも勉強して上位に入る努力をする方が建設的です。
★ フォーサイトの受講生だった私の体験から>>>【宅建フォーサイト】評判と口コミは?元受講生の私が合格率71.5%の理由を語る!
宅建は知名度が高く取得すれば有利な国家資格
宅建は、欠格事由に該当しない限りは、特別な受験資格が無く、誰でも平等に挑戦できる試験です。
宅建士とは、不動産の業務を行う国家資格者です。
宅地建物取引士(正式名称)とは、宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格者であり、
宅地又は建物の売買、交換又は貸借の取引に対して、法に定める事務(重要事項の説明等)を行う、不動産取引法務の専門家である。
(参照引用:ウィキペディア(Wikipedia)より)
国家資格である事も宅建士を取得する利点の一つです。
そして、合格率は、各資格の難易度を判断する基準の1つです。
法律系の国家資格が人気の理由は独占業務があること
日本には国家資格 · 公的資格 · 民間資格など、主催元によって資格試験の種類が幾つかあります。
これらの資格の中で最も権威があると一般的に認識されているのが国家資格です。
国家資格とは、一般に、国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明されるものとされる
(引用:ウィキペディア(Wikipedia)より)
国家資格の良い面は、独占業務がある資格が多い事です。
この業務独占資格とは、その資格を取得している者のみが業務を行うことができる権限がある事です。
例えば医師でないと患者を診察する事ができない。
建築士でなければ、設計できる建築物に制限があるなどです。
このような独占業務がある国家資格は、専門性が高いほど希少性も高く取得が難しいです。
知名度が高い国家資格は難易度が高く合格率は10%以下
下記は、資格の難易度を段階別に表したピラミッドです。
法律系の国家資格であれば、司法試験や司法書士が、上位になり難易度が高いです。
(参照画像:資格キングより)
法律系で1番難しいのが、弁護士や検事、裁判官になれる司法試験です。
「損害賠償請求業務」や「刑事事件の弁護人になれる」などは、弁護士しかできない独占業務になっています。
予備試験からの受験者の最終合格率は、毎年3%程度と非常に難関な試験です。
また、「裁判所や検察庁、法務局等に提出する書類作成や登記の代理などを行う」独占業務がある司法書士も同じです。
毎年の合格率は3%と司法試験と同様に狭き門です。
「労働保険・社会保険の手続き」や「厚生労働省系の助成金の申請」などの独占業務がある社労士(社会保険労務士)の合格率は5~10%程度です。
近年は易しくなったと言われる行政書士であっても合格率は、おおよそ6~10%(平成29年度は15%)です。
この資格も弁護士や司法書士と同様に独占業務があります。
許認可申請や事実証明や権利義務関係など、行政書士が取り扱える書類の数は1万点以上になります。
宅建士は人気の法律系の資格の中では取得しやすい難易度
宅建士(宅地建物取引主任者)の難易度は、社労士や行政書士よりも低いピラミッドの底辺です。
上記で紹介した他の資格に比べると、宅建士は難易度が高くなく、資格取得の手間が、他の難関資格に比べると少ない勉強時間で済みます。
しかし、世間の認知度が高く、どの資格よりも求人需要がとても多い超穴場の国家資格です。
不動産系の資格の中でも宅建は知名度が高くコスパ抜群
法律系の資格だけでなく、他の不動産系の資格と比較してみても、この中でも宅建の知名度が、一番高いです。
下記が不動産系の4つの資格です。
資格名 | 受験者数(2018年度) | 合格率 |
・不動産鑑定士 | 2,273名 | 5.1% |
・マンション管理士 | 12,389名 | 7.9% |
・宅建(宅地建物取引士) | 213,993名 | 15.6% |
・管理業務主任者 | 16,249名 | 21.7% |
・賃貸不動産経営管理士 |
9,379名 | 50.7% |
宅建士の難易度は、マンション管理士と管理業務主任者の中間あたりです。
そして、他の資格よりも断トツに受験者数が多いことも特徴です。
不動産業界の中では、知る人ぞ知る専門資格でも、宅建士と違い専門の業務内容も限られてくると企業からの需要も減ります。
不動産業務全般に関わる汎用性が高いことも宅建士資格の特徴で、それだけ需要があります。
宅建の求人需要は他の資格よりも圧倒的に多い
宅建士の需要の多い不動産業界の平成28年度の売上高は43兆円です。
これは、全産業の売上高の 3.0%、法人数は 11.6%を占めます。(平成 29 年度の法人企業統計のデータより)
日本の全業種の中でも最もボリュームがあり、多くの人が雇用される業界です。
(★ 参考記事:「宅建士が年収アップできる「宅建士優遇」求人を狙う方法。ホワイト会社の探し方」)
転職サイトでわかる宅建士の求人情報
他の資格に比べて、宅建士の求人需要が多いのは、転職サイトをみてもわかります。
下記は、リクナビNEXTで資格名で検索して出た新着求人数です。
資格名 | 求人数 |
・宅建(宅地建物取引士) | 140件 |
・行政書士 | 77件 |
・マンション管理士 | 9件 |
新着の求人数を検索してみると、「宅建」は140件、「行政書士」の77件の2倍近い求人です。
逆に需要が限られる「マンション管理士」の場合は、9件しか求人が表示されません。
転職サイトは、非公開求人も多いので、これだけで断定できませんが、求人数だけでも、宅建の需要の高さがわかります。
(参照引用:【リクナビNEXT】 より)
不動産業界以外の宅建士の求人需要
また、建築業界や金融、様々な業界でも宅建士の需要があります。
店舗施設や住宅物件の開発、社内不動産の管理の部署などで宅建士を求める企業は多いです。
私も建築業界で働いた経験がありますが、どのプロジェクトも建物を造る前に不動産の選定が関わってきます。
実務経験が無くても、業者と対等に打ち合わせができる方が、質の高い仕事ができます。
不動産の知識がある人材は、不動産業界以外でも役立ちます。
(引用;「日本の資格検定」より)
圧倒的に求人コスパが良い宅建士
以上のことからもわかるように宅建士の職に就ける労働者の数は、行政書士や社労士よりも多いです。
少し集中して頑張って勉強すれば取得できる難易度だけど、求人の需要が圧倒的に多い。
そのコスパの良さが、毎年20万人以上の受験者を惹きつける人気の高さです。
このように宅建士を取得するとチャンスが広がるのがわかります。
しかし、宅建は、人気が高い反面、本試験に5万人以上がリタイアする資格です。
簡単だと思って試験勉強に挑戦しても、学習すると意外に難しく、モチベーションの維持が大変なこともわかります。
そんな独学に自信がない人は、モチベーションを上げてくれる通信講座の受講がおすすめです。
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