税理士は財務系では最難関の資格の一つです。
ここでは仕事内容と税理士試験の出題内容・難易度について紹介します。
Contents
税理士試験の難易度と合格率は?試験内容について
税理士の試験は、科目合格制です。
受験者は、一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ受験できます。
一度合格した科目は生涯有効。
受験がしやすいことから社会人に人気の資格です。
税理士試験のスケジュール
試験は、暑い夏に3日間続きます。
- 筆記試験 平日3日間 7月下旬~8月
- 試験時間 9時~17時半 (1科目2時間)
- 合格発表 12月中旬
税理士試験の科目と出題範囲
科目は必須科目と選択制があり、5科目を数年かけて取得する長丁場です。
毎年1科目づつ合格すると5年かかります。
税理士の試験科目
税理士試験は、会計科目と税法科目の2つに分かれます。
会計科目は、「簿記論」と「財務諸表論(略して財表)」の2科目で、税理士資格を得るには2科目共に合格が必須です。
税法科目は、「法人税法」か「所得税法」のどちらかを選択します。
会計科目(必須) |
簿記論 財務諸表論 |
税法科目(選択必須) |
法人税法、所得税法(1つは必須。2つ取得も可能) |
税法科目(選択) |
税法科目、相続税法、酒税法、消費税法、固定資産税法 事業税or 住民税、国税徴収法 |
科目の出題範囲
将来、どんな仕事をしたいか?によって選択する科目が変わります。
仕事に関わる科目を選ぶと実務ですぐに役立ちます。
科目 |
出題範囲 |
簿 記 論 |
複式簿記の原理、その記帳・計算及び帳簿 組織、商業簿記のほか工業簿記を含む。 ただし、原価計算を除く。 |
財務諸表 論 | 会計原理、企業会計原則、企業会計の諸基 準、会社法中計算等に関する規定、会社計 算規則(ただし、特定の事業を行う会社に ついての特例を除く。)、財務諸表等の用 語・様式及び作成方法に関する規則、連結 財務諸表の用語・様式及び作成方法に関す る規則 |
消 費 税 法 又は酒税法 | ①当該科目に係る法令に関する事項の ほか、租税特別措置法、国税通則法 など当該科目に関連する他の法令に 定める関係事項を含む。 |
法 人 税 法 | |
相 続 税 法 | |
所 得 税 法 | |
固定資産 税 | ②当該科目に係る地方税法、同施行 令、施行規則に関する事項のほか、 地方税法総則に定める関係事項及び 当該科目に関連する他の法令に定め る関係事項を含む。 |
国 税 徴 収 法 | ①と同じ。 |
住民税又 は 事 業 税 | ②と同じ。 |
年間通して仕事があるのは「法人税法」と「所得税法」です。
「相続税法」は多額の収入が得られますが、相続問題が発生した時しか仕事がありません。
「消費税法」は今のビジネスには常識的な知識なので、どの仕事でも役立ちます。
大手の監査法人などの就職を狙う場合は、クライアントが法人なので「法人税」は必須です。
また、「国税徴収法」は範囲が狭いので合格しやすいですが、仕事で使える場所は少ないです。
逆に「所得税」と「法人税」は試験範囲が広いので2科目を同時に選択すると大変です。
税理士に早く合格したい人は、1科目に絞る人が多いです。
一般的に「相続税法」や「消費税法」を選択する人が多いです。
自分が将来やりたい仕事や興味がある分野の科目を選ぶ方が、試験勉強が苦にならないです。
税理士の受験資格
税理士の受験は、下記の学歴、資格や職歴、いずれかの条件を満たしている必要があります。
【学歴】
大学や短大の法律学か経済学を履修などの条件があり。
3年次の学生から受験することができます。
- 大学又は短大の卒業者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
- 大学3年次以上で、法律学又は経済学を1科目以上含む62単位以上を取得した者
- 一定の専修学校の専門課程を修了した者で、法律学又は経済学を1科目以上履修した者
- 司法試験合格者
- 公認会計士試験の短答式試験に合格した者(平成18年度以降の合格者に限られます。)
【資格】
簿記検定1級を取得した人であれば、次は税理士をめざすことができます。
- 日商簿記検定1級合格者
- 全経簿記検定上級合格者(昭和58年度以降の合格者に限られます。)
【職歴】
職歴の場合は、経理や会計関係の仕事に2年以上、従事するなどの条件があります。
資格と関連する実務経験を満たす人は、税理士取得後、キャリアアップに特に有効です。
- 法人又は事業を行う個人の会計に関する事務に2年以上従事した者
- 銀行・信託会社・保険会社等において、資金の貸付・運用に関する事務に2年以上従事した者
- 税理士・弁護士・公認会計士等の業務の補助事務に2年以上従事した者
(参照引用:「日本税理士会連合」より)
税理士の合格率と難易度
合格基準点は各科目60点以上です。
実際は、上位10~15%が合格する相対評価による競争試験なので毎年、難易度によって60点から変動します。
下記は、平成30年度(第68回)税理士試験結果表(科目別)の合格率です。
区分 | 受験者数 | 合格者数 |
30年度合格率 |
(参考) 29年度合格率 |
---|---|---|---|---|
科目 | ||||
簿記論 | 11,941 | 1,770 | 14.8 | 14.2 |
財務諸表論 | 8,817 | 1,179 | 13.4 | 29.6 |
所得税法 | 1,704 | 209 | 12.3 | 13.0 |
法人税法 | 4,681 | 542 | 11.6 | 12.1 |
相続税法 | 3,089 | 363 | 11.8 | 12.1 |
消費税法 | 7,859 | 833 | 10.6 | 13.3 |
酒税法 | 546 | 70 | 12.8 | 12.2 |
国税徴収法 | 1,703 | 182 | 10.7 | 11.6 |
住民税 | 460 | 62 | 13.5 | 14.3 |
事業税 | 418 | 46 | 11.0 | 11.9 |
固定資産税 | 845 | 126 | 14.9 | 13.3 |
合計 (延人員) |
42,063 | 5,382 | 12.8 | 17.0 |
各科目の合格率が10%以上でも税理士試験の難易度は高いです。
難易度が高い理由は、学習範囲が広いことです。
計算問題などのボリュームが多く、制限時間では終わらないです。
2時間分の時間に対して3時間分の問題が出題されます。
また理論では、曖昧な暗記は通用しないです。
税理士では、解ける問題で確実に得点する受験テクニックが必要になります。
よって独学が難しい試験です。
税理士試験に合格できない2つの大きな原因
科目数が多く膨大な範囲が出題される税理士試験に失敗する主な原因は2つあります。
- 全部を細かく勉強する
- 勉強が続けられない
特に税理士試験は、勉強が続かず途中で挫折する人が多いです。
中には何年も高い受講料が払い続けられずに経済的な理由で諦める人もいます。
しかし、税理士は最後まで勉強を継続できれば五分五分以上の確率で合格できます。
上記の問題を解決してくる通信講座があります。
税理士講座の無料の体験コースでは、2021年度の試験動向や学習ポイントも教えてくれます。
税理士の資格とは?仕事内容とメリット
税理士とは税理士法に基づいた国家資格です。
税務・会計の専門家として顧問企業の発展に貢献し、独占業務などの幅広い活躍の場があります。
税理士ができる仕事。税務の独占業務があるので強い
税理士になれば以下の仕事ができます。
1税務業務(独占業務)
独占業務の内容:税務書類作成、税務代理、税務相談
2会計業務
3その他の業務
経営コンサルティング(経営計画・財務戦略)など
税理士は様々な分野で活躍できる
税理士の知識は、ビジネスに不可欠なので様々な分野で活躍できます。
- 税務・会計業務(独立開業)
- 税理士法人
- 会計事務所
- 一般企業(財務・経理部門、CFOなど)
- 金融機関(銀行・証券・保険・リースなど)
税理士資格の取得メリット
税理士資格を取得すると以下のメリットがあります。
- 独立開業ができる
- キャリアアップになる
- 転職就職に有利
- 副業などで在宅ワークができる
- 定年を気にしないで働ける手に職がつく
- 日常生活に活かせる
定年後も働き続けられる人が多いことも税理士の魅力です。