宅建士の過去問解説【委任契約】善意の無償行為でも責任問題は発生する?!

テスト

今回の宅建士になるための「権利関係」の過去問解説は、

「贈与・請負・委任」の3回目「委任」についてです。

ここで委任についての問題です。

あなたは、無償で仕事相手から商品の保管を依頼されました。

ところが、あなたの管理の不注意で盗まれてしまいました。

あなたは無償で預かっていただけですが、責任を負う必要があるのでしょうか?

解説を先にみる

上記の内容は、受任者の善管注意義務の問題で、平成20年宅建士試験に出題されています。

続きは本文でみていきましょう!

宅建士の過去問解説【権利関係】委任契約。善意の無償行為でも責任問題は発生する?!

宅建の過去問解説:委任とは

委任とは、
当事者の一方(委任者)が法律行為をすることを相手方(受任者)に委託し、相手方がこれを承諾することによって成立する契約である(643条)

(参照:「パーフェクト宅建 基本書」より)

売買や賃貸借などの法律行為を委任する場合もあります。

他にも、不動産売買や賃貸の媒介の委託、

賃貸不動産の管理の委託など、

法律行為以外の事務の処理を委託することもあります。

このような事実行為を委任する契約を準委任と呼び、

これにも委任の規定が準用されます。

受任者の善管注意義務

受任者は、善良な管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負います。

もし、これに違反すると債務不履行の責任を負う必要があります。

この善管注意義務は、

委任が有償(報酬が支払われる)か無償(支払われない)は関係ありません。

たとえ無償でも責任を軽減するべきではないという民法の考えから、無償でも受託者には、責任が生じます。

ちなみに「善良な管理者の注意」とは、

留置権(弁済を受けるまで担保物件を留置すること)でも目的物の占有をする場合でも求められる義務です。

他の「自己のためにする同一の注意」「自己の財産における同一の注意」に比べると、要求レベルが高い注意義務です。

注意義務の他の事例も過去の宅建試験に出題されているので、押さえて下さい。

相続人は、固有財産におけるのと同一の注意をもって相続財産を管理する義務を負う

また、相続の放棄をした者は、放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、固有財産におけるのと同一の注意をもって、財産を管理しなければならない。

(参照:【平成20年 問7-4項】過去問解説より)

受任者の自己執行義務と報告義務

受任者は、原則としては自らが事務を処理しなければなりません。

受任者は、委任者から請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告しなければなりません。

また委任終了は、遅滞なくその結果を委任者へ報告する義務があります。

もし、受任者が委任者へ引き渡すべき金銭を勝手に自己のために使い込んだ場合はどうなるのでしょうか?

その場合は、その金額を消費した日以降の利息も支払い、損害を賠償する責任があります。

委任者の報酬支払い義務

民法では、委任契約の場合は、無償の委任を原則としています。

報酬を請求したい場合は、当事者間で特約をつける必要があります。

特約で有償とした場合には、報酬支払義務はありますが、後払いが原則です。

委任者の費用前払い義務

もし、委任事務を処理するために費用が必要な場合は、

委任者は受任者の請求があれば、前払いをする必要があります。

受任者が委任事務を処理するために、

自己(受任者)に過失がなく損害を受けた場合は、

委任者は、たとえ自分に過失がなくても、その損害を賠償する義務を負います。

立替費用償還義務

もし、受任者が委任事務処理に必要だと認められる費用を支出した場合は、

委任者は受任者に対してその費用とそれを支出した日以降の利息を支払う必要があります。

委任契約の解除と終了

委任契約は、委任者、受任者のいずれからも、いつでも特に理由を必要とせずに解除することができます。

しかし、相手方に不利な状況になる場合は、相手方に生じた損害を賠償する必要があります。

ここで注意することは、委任の場合は、解除の遡及効がありません。

一般的に契約が解除されると、契約の効果は、はじめに遡って消滅します。

しかし、委任契約の解除には、この遡及効がないです。

また委任契約は、下記の理由が、委任者及び受任者にあれば終了します。

・死亡

・破産手続き開始の決定

他に、受任者のみ「後見開始の審判」により終了します。

これは、受任者の事務処理能力が失われたことを示すことになります。

よって、委任終了の事由になります。

しかし、委任者が後見開始の審判を受けてもそのようなことにはなりません。

後見開始の審判は、終了理由にはなりません。

宅建の過去問解答:委任

委任の内容は、いかがでしたか?

無償で引き受けた場合も、委任契約になり責任を問われることを覚えておいて下さい。

序文の問題の解答は、下記になります。

委託契約における受任者は、報酬の有無を問わず、善良な管理者の注意を持って委任事務を処理する義務を負う(民法644条)

寄託契約における受寄者は、無報酬で寄託を受ける場合には、自己の財産と同一の注意をもって、寄託物を保管すれば足りる(同法659条)

(参照:【平成20年 問7-2,3項】過去問解説より)

本文の解説に戻る

以上、3記事にわたり「贈与・請負・委任」について紹介してきましたが、それぞれの特徴は理解できましたか?

下記のポイントは宅建士試験によく出題されるので、覚えて下さい。

・「贈与・請負・委任」の3つは全て諾成契約、書面は必要ではない

・書面によらない贈与は、履行が終わった部分を除き、いつでも取り消しが可能

・請負契約は、材料の供給者によって所有権が決まる

・建物その他の請負契約は、建物の完成後は瑕疵を理由に契約の解除が不可

・委任契約の受任者は、無償であっても善管注意義務を負う。

数年に一度しか出題されない地味な分野ですが、もし出題されれば、確実に得点して下さい!

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