宅建士の過去問解説【権利関係】抵当権(付従性・随伴性・不可分性・物上代位性)と設定

テスト

宅建士試験の権利関係で毎年絶対に出題される権利関係の問題が「抵当権」です。

試験に抵当権が出題されない年は「根抵当」が出ます。

この分野は、絶対に試験に出るので、大変でも点が取れるようにしたいものです。

平成28年の宅建士試験で出題された問題を解いてみましょう。

問題6 (3)

Bが、A所有の甲土地が抵当権の目的となっていることを知りながら本件契約を締結した場合、当該抵当権の実行によってBが甲土地の所有権を失い、損害を受けたとして、BはAに対して損害賠償を請求することができない。

正しいか誤りか?

解答を見る

今回は、よく出題される重要ポイントを抑えながら「権利関係:抵当権」を学習しましょう!

宅建士の過去問解説【権利関係】抵当権(付従性・随伴性・不可分性・物上代位性)と設定

宅建過去問解説:抵当権とは

抵当権とは担保物権の一つで、最も重要なものです。

私達が知っている抵当権の代表的なものは、住宅ローンです。

抵当権とは、債務者または第三者が目的物の占有を移さないで、債務の担保として供した不動産から、もし債務が弁済されない場合に債権者が優先弁済を受ける担保物権のことである

参照:「パーフェクト宅建 基本書」より

担保物権には「留置権」と「質権」があります。

債務者から弁済がないときに、その目的物を売却してその代金を弁済に当てることにより、担保の目的を達成できます。

この効力を「優先弁済的効力」と呼び、先取特権抵当権はこの効力を使う制度です。

担保物権のうち、留置権と先取特権は「法定担保物権」といわれます。

法律が特定の債権を保護するために法律上当然に成立するものとして認めたものです。

それに対して、質権と抵当権は、当事者間の契約(約定)により成立するので「約定担保物権」といわれます。

抵当権の4つの性質

抵当権はどのように行使されるのでしょうか?

抵当権には、4つの性質があります。

付従性(ふじゅうせい)

随伴性(ずいはんせい)

不可分性(ふかぶんせい)

物上代位性(ぶつじょうだいいせい)

付従性

抵当権は債権がないと成立せず運命共同体です。

あくまでも特定の債権を担保するものなので、この債権被担保債権と呼ぶがなくなれば、抵当権は消滅します。

弁済や免除で消滅すると、たとえ抵当権の登記が残っていても一緒に効力がなくなります。

抵当権の消滅を第三者に対抗することができます。

随伴性

被担保債権が譲渡されると、これに伴って移転します。

債権を担保するための権利だからです。

随伴性と付従性は保証債務の性質にも似ています。

* 参考記事:「宅建士になるための過去問解説:【権利関係】保証債務・連帯債務」

不可分性

全額弁済が終わるまでは、その弁済の残りについても抵当権はつきます。

抵当権者は、被担保債権の全額の弁済を受けるまでは、目的物の全部について権利を行使できます。

ローンの残金が残っていたら、それまでの返済額は考慮されず、担保物権(購入した家)が丸ごと取られてしまう事です。

物上代位性

抵当権は、目的物の売却、賃貸、滅失、損傷によって設定者が受けるべき金銭、その他の物に対しても行うことができます。

これを物上代位性といいます。

例えば 火災で住宅が滅失した場合、代わりの弁済の手段として、火災保険金請求権を持つことができます。

これは、土地の価値に対してお金を貸しているので、対象となる物権が残る残らまいが、関係ないからです。

ここが、物権との引き換え(所有物を取り上げる)になる留置権との違いです。

もし保険金から支払ってもらう場合は下記の条件があります。

抵当権者は、その火災保険金請求権に対して、その火災保険金請求権に対して、その払い渡し前に差押えをすることが必要です。

保険金が相手に支払われた後は、差押えができません。

住宅ローンを組む時に保険加入を求められるのは、支払いができなくなれば、代わりに保険金を押え、返済に当てられるからです。

抵当権の設定とは

それでは、抵当権は当時者(本人)以外の人でも設定できるのでしょうか?

この契約の当事者は、債権者抵当権設定者です

抵当権の設定者は、通常は債務者であることが多いですが、債務者本人に限らず、第三者であっても差し支えはないです。

兄弟で代わりに第三者の不動産を担保として差し出すような人を物上保証人といいます。

抵当権は質権と異なり、意思表示の合致だけで成立する諾成契約です。

目的物の引き渡しが必要ではなく、登記は第三者に対する対抗要件にすぎません。

抵当権になるうるものは、不動産(土地と建物)と地上権(土地を使う権利)、永小作権などがあります。

また抵当権の一つに根抵当権という特徴的な担保物権もあります。

* 参考記事:「宅建士になるための過去問解説【権利関係】根抵当権とは?」

以下、宅建士試験で出題された抵当権のルールをみていきましょう!

抵当権で認められないもの

不動産賃借権は、たとえ登記がなされていても、抵当権の目的にすることはできません。

その理由は、通常の不動産賃借権の登記は、大家の協力がないとできないからです。

賃借人が登記をすることは普通は無いですが、仮にあっても認められないです。

共同抵当

一括して抵当権を設定することを共同抵当といいます。

例えば住宅ローンで、土地と建物など別の物でも両方を一括して設定することなどです。

・複数の不動産から抵当権者が同時に配当を受ける場合の注意点

後順位の担保権者との公平を考慮して、各不動産の価格に応じて優先弁済を受ける金額を按分しなければなりません。

抵当権の効力(担保の債権の範囲)

抵当権は、抵当権当時の元本を含みますが、利息は満期となった最後の2年分を含むにとどまります。

しかし、抵当権者が1人だけであれば、利息の全額の弁済を受け取ることができます。

抵当権により担保される債権の種類

この共同の抵当権により担保される債権は、金銭債権に限らないです。

金銭以外のものであっても、不履行がある場合は、代わりに金銭で損害賠償請求ができるからです。

抵当権の効力が及ぶ目的物の範囲

抵当権は下記の3つにも効力が及びます。

・付加一体物

・従物

・抵当不動産の果実

付加一体物とは、建物に一体でついている物のことです。

樹木や家の造作、増築部分です。

従物とは、畳、建て具、母屋に対する離れ座敷などです。

抵当不動産の果実とは、家賃収入や、例えば庭から石油が出たという場合のことです。

建物と関係するものは、同様に抵当権の担保になります。

優先弁済を受ける権利

借金を相手が返さない時は、優先的に物権を処分して、貸した金額を取れる権利があります。

この時に優先的に弁済を受けられる場合があります。

競売が原則ですが、当事者間の契約によって、目的物を直ちに抵当権者の所有にしてしまうこともあります。

例えば、抵当の担保だった家が、そのまま相手の持ち物になるなどです。

この特約を抵当直流(ていとうじきながれ)といいます。

注意することは、質権の場合は抵当直流が禁止されています。

これは借りる側が足元をみられて、安い金額で担保が取られないように保護することが目的です。

優先弁済の順位

それでは、弁済の優先順位は、どうなっているのでしょうか?

まず登記した順番から優先されます。

順位上昇の原則は、1番が無くなると2番が繰り上がります。

また、弁済は他にも、不動産を適切な状態に保つ不動産保存工事の先取特権が優先されます。

家の雨漏りの工事などの修復工事などは、そうしないと不動産価値が落ちるので、優先的に弁済されるべきと考えられています。

弁済時の抵当権の種類

・転抵当

自分が他の債権者に対して負っている債務の担保のために供することができます。

・抵当権の譲渡

抵当権者は、その範囲内で無担保の債権者となります。

・抵当権の放棄

債権額について同順位になり、両者の債権額に比例して配当を受けることになる。

・抵当権の順位の変更

同一の債務者に対して数人の抵当権者がある場合には、抵当権者全員の合意によって、先順位の抵当権と後順位の抵当権の順位の変更ができることになっている。

債務者などの抵当権設定者の承諾は要しないです。

第三取得者を保護するための制度

第三取得者とは、抵当権設定に抵当不動産の所有権地上権を取得した人のことです。

これらの人が不利益にならないように定められています。

第三取得者の代価弁済

代価弁済は、抵当権者の請求がなければできません。

抵当権を抹消してあげると債権者から第三取得者に対して行います。

抵当権の消滅請求

第三者から債権者に対して、債権を消滅させて下さいと請求する権利があります。

しかし請求は、競売による差押さえの効力発生までに行う必要があります。

この制度は、第三取得者は債権者によっては物件がなくなってしまうリスクがあるので、

それを保護するためにできた制度です。

そして主たる債務者、保証人及び、それらの承継人(しょうけいにん)は、この抵当権の消滅請求をすることができません。

理由は、本来ならば全額を返済しなければならない立場なので、返済額よりも少ない金額で抵当権を消滅させる権利を持たせるのは、妥当ではないからです。

抵当権のついた物件の一括競売

土地に抵当権を設定したのち、抵当土地の上に建物が築造された場合は、抵当権者はその土地と一緒に建物も競売することができます。

理由は、土地だけ売って建物だけが残っても仕方ないからです。

土地だけを売却するために建物(特に新築)などを壊すのも社会的な損失になります。

賃貸借人との関係

抵当権の登記よりもの賃貸借は、抵当権者及び競売の買受人には対抗できません。

賃借人は、借りている建物から出て行く必要があります。

しかし、猶予期間や出ていかずに済む特例もあります。

・賃貸借の期間は関係ない

・明け渡しの猶予期間:6ヶ月間

・明渡さずに済む場合 : 抵当権者が全員同意して、その同意について登記がされた場合

宅建過去問まとめ「抵当権」

以上、抵当権は、覚えることが多いですが、いかがでしたか?

過去問の解答

序文の過去問題の答えは、売買契約は無効にもできるし、損害賠償も請求できます。

売買の目的物に付いていた抵当権が実行されて、買主が所有権を失った場合、買主は善意、悪意を問わず、契約を解除できる。

損害賠償も請求できる

(参照:【平成28年 6問-3項】過去問解説より)

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ポイント! 

抵当権により、買主が所有権を失った場合、不利益にならない様に保護されています。

これは、善意と悪意(知る知らない)関係なしが特徴です!

宅建試験に出るポイント

・抵当権は、目的物の占有を債権者に移さないところに質権との大きな違いがある。

・抵当権によって担保される債権の範囲は、元本のほか、利息は満期となった最後の2年分である。

・法定地上権は、抵当権設定当時、既に建物が存在し、その土地と建物の所有権が同一人に属していた場合に生じる。

・抵当権の登記よりに成立した賃借権は、たとえ短期賃貸者であっても、原則として競売の買受人に対抗できない。

・根抵当権とは、一定範囲内に属する不特定の債権を極度額まで担保する抵当権で、元本確定前は抵当権の付従性と随伴性を有しない。

以上、少し長くなりましたが、「抵当権」の宅建試験で出題されるポイントは、理解はできましたか?

より権利関係を理解したい人は、プロの講師が丁寧に解説してくれる通信講座を受けてみるのもおすすめです。

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